魔王軍襲来
「まずは相手の戦力を確認する必要がある。敵が自分の手に負えない場合は逃げるのも大事だからだ。勇気と無謀をはき違える連中は多くて困るからカノーは注意しておいてくれ」
「分かった」
「相手の戦力を確認して自分の手に負えそうならなるべく大人数で固まって行動するんだ。1人での行動は絶対にダメだ。けがをしたときや相手に囲まれた時にどうする事も出来ないからな」
「分かった」
「そして敵と遭遇したら他のグループの冒険者にも伝えるんだ。情報共有は何よりも大事だからな」
「そうだな」
「まぁこんなところだな。そして一番大事なのが必ず生きて帰ることだ。誰かを守るために死ぬのはカッコいい事じゃないからな。ダサくてもカッコ悪くても生き残ればそれでいいんだ」
「大丈夫ですよ」
「そうか。じゃあ俺から教えられることはこれでおしまいだ。帰ったら今日の報酬でうまい酒でも飲もうぜ」
「そうっすね。俺今まで酒とか飲んだことないんでうまい酒とか教えてくださいよ」
「おう任せとけ。じゃあ俺は行ってくるよ」
「なんかあのおっさん普通に役立つことを言ってたな。もうちょっと貪欲にウケを狙いにいくかと思っていたんだが」
まぁ良いか。じゃあとりあえず行ってみるか
「いないな。あちらこちらでドンパチ起きてるのになんで俺のところには何にも来ないんだよ。あれか?野生の本能的なので俺を避けているのか?」
「グへへへこんなところに間抜けが居やがるぜ」
「本当だな。こいつの首持って帰ってボーナス貰おうぜ」
「そうだな。っつー訳で死ねや」
「ちょっと待ってくれ。あんたら名前は?」
「あぁん?今から死ぬやつに一々名前を教えないといけないのか?」
「良いじゃんかよ」
「ちっ仕方ないな。俺はグレムリンのゴイだ」
『ゴイ グレムリン
LV 62
HP 642
MP 26
POW 106
DEF 53
MPOW 18
MDEF 38
LUK 5
MEN 83』
「やっぱりか。魔物でも名前さえ分かればステータスは分かるんだな。これは良いことを知ったな」
「なにをゴチャゴチャ言ってんだ。もう気が済んだなら死ねよ」
ブン
「なにかしたか?」
「ふぁ!?」
「あぁちなみに言っておくと俺レベル999だから。お前の約40倍ぐらい強いから」
「う、ううう嘘を吐くな。999と言えば魔王様よりも・・・・」
「まぁ信じるか信じないかは別にどうでも良いけど俺今まで魔物とかを殺したことないからまだ抵抗あるんだよね。できれば逃げてもらえると楽なんだけど」
「クッ。おいお前はハンス様に報告をしてこい。俺はここでこいつを食い止める」
「分かった。その代わりにまた後で生きて会おう」
バタバタ
「ちょ・・・まっ・・・」
「さぁ俺が相手だ」
「なにお前等2人で主人公っぽい事やってるの?これじゃあ俺が悪者みたいじゃん」
「さぁお前のレベルが999なら俺に証明してみせろ」
「いや証明してみせろって言われても・・・」
「行くぞ」
ドガッバコッギャーーーーー
「だから言ったじゃん。ねぇそれよりもハンス様って誰?」
「ゲホッ。貴様ハンス様を知らんのか」
「知らんから聞いているんだが」
「ならば教えてやろう。先の戦いでは20と8の首をあげ我ら第13師団の団長なのだ」
「つまりこの前の戦いで28人も殺したのか?」
「そうだ」
「うっわ。ヤバいんじゃない?」
「そうだ。貴様らはどのみち終わりなのだゲフッ」
「これは誰かに伝えた方が良いのかもしれんな。じゃあ俺はこれで」
「ゲフッどうせ貴様らは皆殺しだ」
「はいはい」
「本当に次から次に来ますね」
「大丈夫ですか?カルラさん」
「えぇ大丈夫です。ですがこの量は多いですね」
「そうですね。聞いた話だと複数の師団が来ているみたいです」
「やはりですか」
「どうしますか?もしかしたら師団長も来ているかしれません。というか13師団の団長が来ているのは確実らしいです」
「絶望的ですね。とりあえずできることをやりましょう」
「分かりました」
『ブラックホール』
「お願いします」
「えぇ」
『ボルケーノトリガー』
「「「「ぎゃーーーーーーーーー」」」」
ドシン
ドシン
「まさか」
「恐らくサイクロプスでしょうね」
「とりあえず私はあっちに行きます。あなたは他の冒険者に今の状況の説明とまだ動けそうな人を連れて来てください」
「わかりました」
「なんかあっちがえげつないことになっていたような気がするが」
「キシシシシいいカモが(以下略)」
「邪魔」
「ゲフッ」
ドシン
「え?」
ドシン
ドシン
ドシン
「なにあれ」
遠くから超巨大な一つ目の化け物が来ていた
「キシシシシテメェら終わりだよ。援軍が来たからな。無様に命乞いでもしてみたゲフッ」
「あれも13師団のやつらなのか?」
「いや違う。あれは第8師団のギーガ様の部下だ」
「なんだよ第8だとか13だとか多いんだよ。こういうのは大体4人とか7人とかだろ。多すぎるんだよクソが」
「なにを言っているか分からんがさっさと逃げるのが得だと思うね」
「まぁ良いや。とりあえずカルラさんと合流したいな。さっきの火柱のところに行くか」
『ワープ』
「うぇぇ。何度やってもなれそうにないな」
「カノーさん。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈夫じゃないけど大丈夫」
「すぐそこまでサイクロプスの軍勢が迫ってきていますよろしければ力を貸してもらえませんか?」
「あれサイクロプスなんだ。あれでしょ?目を殴ればそっこーで殺せるやつでしょ?」
「そうなのですか!?」
「違うの?」
「分かりません。ですがもしその情報が確かならとても優位に戦えます」
「いや分からないけど何となくそんな感じしない?」
「言われてみればそんな気もしますね」
「じゃあとりあえず目が弱点って事で戦おう」
「分かりました。それでどのようにしますか?」
「どのようにって言われても俺は肉弾戦しかできないし。したくないけど」
「ではこう致しましょう。私が魔法であいつらを地に伏せましょう。そのすきにカノーさんが目を狙う。いかがですか?」
「できるの?結構沢山いるよ?」
「あの程度赤子の手をひねるよりも簡単です」
「じゃあ頼むよ」
「任せてください。ギルド長は伊達ではないってことをお見せいたします」
「じゃあとりあえずこっちに来るまで待っておくか」
「そうですね」
ドスン
ドスン
「や~~~~っと来たか。マジで待ちくたびれた」
「ではやりますね」
「分かった」
『グラビティルーム』
「お願いします」
「はいはい」
ボコッバカッドゴッ
「グワーーーーーーーーーーーー」
「なんか滅茶苦茶しょうもない感じになったな」
「そうですね。というかなんであんな重力が大きい所で身軽に動けたんですか?」
「どういう事?」
「先ほどの魔法は一定の範囲に重力を強める魔法なのですよ」
「つまりカルラさんは重力がかなり強い所に俺を行かせたってわけか?」
「まぁそうなりますね」
「なぁ俺って最初勇者だ何だともてはやされていたのにその割に扱い雑じゃない?さっきも俺の事置いてワープして俺を置き去りにしたし」
「そ、そんなことはありません」
「まぁ別に良いけど。それよりもさっき魔物が13師団の団長が来ているって言ってたけどどんな奴か知ってるか?」
「やはり来ていましたか。13師団の団長は魔物の団長の中でもかなりの実力者として知られており『首狩りハンス』の異名を持っております」
「そういえばさっきも二十何人殺したって言ってたな」
「これは大変なことになりましたね。彼は魔法防御がかなり高く接近戦でしか倒せない上にかなりの剣の使い手で近寄れば手練れな冒険者でも10秒も持たないと言われています」
「うん。逃げよう。これだけ倒せたんだ。頑張った方だろ」
「いえ。それはできません。他の者が命を掛けて戦っているのに私1人逃げ出すわけにはまいりません。カノーさんだけでも逃げてください」
「いや逃げれるわけないでしょ!!今ここで逃げたら流石に男じゃないわ」
「ですが・・・」
【そうでないと殺しがいがなかろうて】
「誰だ!?」
【俺の名はハンス。魔王軍13師団の師団長にして貴様ら人間を滅ぼすもの。デュラハンのハンスだ】
「こ、これが・・・・魔王軍の師団長クラ・・・ス。圧倒的威圧感」
【お褒め頂き光栄に極まる】
「首狩りって言うか自分が狩られてますよね?首」
【そうなのだ。俺は何百年も前になるが俺は騎士だった。だが冤罪のせいで死罪になり首を刎ねられたのだ。そのことを憎み恨みしているとアンデットのデュラハンとして復活したのだ】
「聞いてもいないのに勝手に自分語り始めやがったぞ。最近はやりのめんどくさい奴じゃん。お前それやめた方が良いぞ。マジで嫌われるから」
【ふむ。よく分からんが今度からそうするとしよう】
「そうするといい」
「そんなことより何しに来たのですか」
【何と言われると貴様ら人間を滅ぼしに来たというしかないな】
「なぜそのようなことをするのですか?」
「それは俺も気になるな。異世界系ではほぼ絶対に人間と敵対している魔王がなぜ人間を滅ぼそうとしているのか」
【時が来たからだそうだ】
「時が」
「来た?」
【魔王様はそれだけ言って不敵に笑っておった】
「なんかカッコいいな。俺も一度は言ってみたいな『時が来たからだ』って」
「たったそれだけのために人間を、私たちを殺して回っているのですか?たったそれだけのために」
【では聞くが貴様ら人間こそ我らの仲間や部下をさんざん殺しているではないか。それと何が違うのだ?我ら魔族は人間の命よりも軽いというのか?】
「そ、れは」
【どうだ?何か反論ができるのか?】
「ですがあなた方は関係ない者も殺しているではありませんか。ただそこに居ただけの一般の方々や子供など」
【では聞くが貴様らは子連れの魔族を見つけたからといって見逃すか?それに貴様は知らんかもしれんが先の戦いでは一般の者はほとんど殺していない】
「どうしてだ?そこら辺の人間も殺した方が楽じゃないか?」
【魔王様がそうおっしゃったのだ。歯向かってこない人間は極力殺すなと】
「それは本当ですか!?」
【あぁ。俺にはさっぱり理解が出来んがな。世間話はこの辺にしておいてさぁ殺ろうか】
「どうしてもこのまま帰っては貰えないのですね」
【それが命令だからな】
「ハンスね」
『ハンス デュラハン
LV 286
HP 1586
MP 305
POW 630
DEF 483
MPOW 186
MDEF 204
LUK 83
MEN 103
死の瘴気・魔法耐性・死者強化』
「うっわ。めちゃつよ。これ勝てんのか?」
【俺レベルになると見ただけでその力の差がはっきりと分かるようになるんだろうな】
「死の瘴気ってどんなスキルだ?」
「死の瘴気?なんですかそれは」
【ふむ。なぜ俺のスキルを知っているのかが気になるが説明してやる。MENが60以下の者の精神を破壊し半径15m以内にいる生物のHPを削っていくスキルだ】
「そ、それマジ?」
【あぁ】
「いかがいたしましたか?カノーさん」
「俺さ・・・MENが0なんだけど・・・」
「0!?」
「あぁ。大丈夫かな?」
【今度はこっちから聞くがなぜ貴様は俺のスキルを知っていたのだ?】
「LV286ね」
【LVまでか。貴様魔王様と同じ力を?いやまさかそんなことはあり得ない。まぁ試してみれば分かるか】
「マジかよ」
【行くぞ】
最後までお読みいただきありがとうございました。
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