〜俺と彼女の出逢い〜
タイトル:俺と彼女の行く末は…。
【プロローグ】
恋愛、そんなものを必死になってまでしようとしたがるのか俺には理解が出来ない。
いまも昔も、恋する乙女は可愛らしいなんていう奴がいるがそんなもの奴らの傲慢であり客観的な意見だ。
しかし、そういうことを口に出せは批難されるのが落ちで有ることは間違えない。
だから、俺は恋愛はしない‼︎断じてしない‼︎
俺は駅で電車を待っている。
騒々しい学生の群れや、あーだこーだ言っているバカップルや、休みをどう過ごすかを話し合っている男女…。
全く、羨ましいなどとは思わない。
第一自分の時間を割いてまで、誰かと居たいなんて思いもしないわけだ、だからいくらムカついたといっても、じゃれ会うジャリに向かって唾を吐き捨てたりなんてしない。
恋愛小説なんてもってのほかだ、甘い甘すぎる、あれらは現実をみていないのである。
本当の現実とは、女は自分に見あった相手を探しそいつが良いなと思ったら自らアタックしに行く。
そして、見たてが悪い奴はお払い箱なわけだ。
本当、頭ん中お花畑な奴らが多い。
そんなことを考えているうちに電車がホームに入ってきた。
扉が開くと中はたくさんの人でいっぱいだった。それを見てため息をつきつつ中へと入って行った。
電車に揺られ目的地まで向かう。
(くっそー、こんなに混むならもう一本早く乗るべきだったな)
とそんなことを思いつつ何もそれ以上は話をせずにただただ電車に揺られていた。
【二章】
学園でラブコメなどベタにもほどがある。
学校について、教室にいくと誰かがいてその人と仲良くなるなんてのはザラだ。
そう、漫画やゲームの世界でわだ。そんなこと早々現実身が無い。
まさに、今がそうだ。
こうやって教室の扉を開けようとすると鍵がかかっていて取りに行く羽目になるのだ。
だから、俺は適当な気分で扉に手を伸ばす…鍵がかかっていなかった。
それならそれでラッキーだ…。
しかし、さっき思っていたことが現実で起こると少し怖かったりする。
そう、これはたまたまだ。
狙ってやっているわけでは無い。
偶然の賜物なのだ。
そうだから、美少女が中に至りなんてことも無いはず、どうせ冴えないモブキャラみたいな奴がいる筈、期待するだけ無駄という奴だ。
だから、期待せずに中へと入るとそこには、
思わず息すらも詰まらせてしまいそうな美少女が席に座り読書していた。
そんなありえもしない現実を見せられて固まってしまった。
これは、あれか?フラグか?フラグというやつなのか?俺は驚いたため心の中で声にもならない、叫び声をあげて急いで自分の席を探す。
やっと息がつけるかと思って隣を見るとその美少女は読書をしていた。
どうやら出席番号が近かったらしい。
こんな事あって良いのだろうか。そうしてまた苦悩する…。
悩んだ末に、隣りの彼女に声をかけてみようと思い、朝の挨拶であるおはようを選択した。しかし、俺の口からでた言葉は悲惨なものだった。
『おひゃほ』頭を抱えたくなってしまった、緊張のせいで噛んでしまったものの、ものすごく恥ずかしかった。
しかし、ここで折れるわけにはいかないと思い、再度声をかけた。
『あひゃはやいでふね』
危うく舌を噛んでしまいたくなる衝動に駆られた。
まさか、こんなにも盛大に噛むとは思っていなかったからだ。
そして、隣に座っている彼女の方をそっと横目で見てみると、くすくすと笑っていた。
その時の笑顔はまるで絵に描いたように完璧で思わず見とれてしまったのだが、彼女はすぐに笑うのをやめた。
ずっと眺めていたい衝動に駆られるが流石にまずいと思い自制する。そうして、俺が悶々としているのも知らず彼女は只管本を読んでいた。仕方ないので俺も鞄の中から本を出して読み始めた。
そして、教室には静寂だけが訪れていた。これだけ静かだとちょっとした椅子をずらす音が嫌なほどに響き渡り、折角の静かな空間は水を打ったように終わる。
音の正体を知りたくて顔を上げるとそこには、隣に座っていたはずの彼女が目の前にいた。
『え、えっと…どうしたんですか?』
『私は貴方に興味がある…』
すると、いきなりそんなことを言われ当然ながら狼狽した。
『え、えっと…ど、どういうことですかね?』
何故か焦りすぎて敬語になってしまっているが、そんな小さな事はもう頭の中から消え去っていた。
『私は貴方に興味がある…それだけ。』
彼女に関してはそれだけを告げるのみ…これは、これは告白なのか?全然頭がついていかなくなってしまっている。
『え、えっと…なんで俺?』
『貴方は見ていて面白いし観察し易いから』
明らかに珍獣扱いされていた。
『ごめん意味がわからないんだけど。』
『私の気持ち届かない?』
そんなことを言われ俺は心の中で悶絶した。
(あ〜なんでそういうこと言うだよ〜俺がまるで振ったみたいじゃねぇ〜か!)
『正直いきなり言われて驚きが隠せないんだけど』
『その割りに全然焦った様子が見えない。経験済み?』
『何を!』
『こんなか弱い女の子に言わせる気?』
『自分でか弱いとか言うな!後何を言うつもりなんだ!』
『恥ずかしくて言えない…もしかして性格はドS?』
『なんでだよ‼︎』
神よ、目の前にいた美少女はかなりの残念っぷりを帯びております…アーメンと心の中で十字をきる。
綺麗なバラには棘があるらしいけど、彼女は棘どうこうの問題じゃ無い。
もう棘とかいう段階を通り越していた。
だから俺は彼女が苦手になった…。
【三章】
俺がこの学校に入って、もうすぐ一ヶ月が経とうとしているが友達と言える存在はいなかった、正直人見知りで有る俺が友達を作るために頑張ろうと思っても最後の最後で下手れてしまうのだから、誰が悪いのかと言われれば明白なのだ。
部活に入るにしてもどこに入れば良いのか全く検討がつかない。
確かに、運動部と文学部で人気ランキングらしい資料もあるにはあるのだが、これだと思うものは無かった。
仕方ないのでまた明日に決めようと思いプリントを鞄にしまって席を立つ。
すると、ドアの前にあの時の子が立っていた。しかし、もう俺は彼女に関わらないと決めている、だからそのままスルーしようとするが彼女の方からこちらに近寄って来きて、いきなり抱きつかれた…。
『ふふふ、やっと見つけた…。これは運命ね。』
『いやいや、同じクラスだから』
『っえ?そうだったの?』
『知らなかったのかよ‼︎どんだけ俺影薄いんだーよ‼︎』
『少し落ち着くといい、それと、やっと捕まえた…二度と離さないと誓った』
『っえ?誓われた覚えないけど…』
『誓った、夢の中で…。』
『夢かよ‼︎そりゃ知らないわけだ‼︎』
『そ、その時にキスをする約束もした…。』
『ごめん言っている意味かわからない…。』
『貴方はキス知らないの?接吻の事、魚じゃ無い。』
『そんなこと、百も承知だボケ‼︎』
と彼女の脳天めがけてチョップをする
『ひゃう〜痛い〜よ〜』
『いい気味だね。』
『貴方は私の飼い犬なのに〜』
『おい‼︎誰が飼い犬だ!』
『貴方。』
『指差すな!この妄想女!』
そして、俺は踵を返し自分の机に座る。
『お前がでてか無い限り出ないからな‼︎』
『構わない。そうすれば、今日は二人でお泊まり』
『ごめんなさい、帰らしてください。』
『嫌だと言ったら?』
『そ、そんなの強行突破するだけだ。』
『やってみたら?』
俺は椅子から立ち上がり強行突破する準備を始める。
俺と彼女の体つきをみても男である俺の方が多分上まっているはず。
一気に駆け出した時に吹っ飛ばす勢いでいくと何があるかわからないので鞄を盾に突き進むことにした。そして、お互いに準備を終える。(俺の中では)
そして、一気に駆け出す。向こうも止める気でいるのか腕を伸ばしている。
そして、段階的に速度を落として前のめりになる。
これで体重が前にかかっているからそう簡単に捕まる心配は無い下手しら吹っ飛ばすかもしれないが。
そして、いよいよ彼女の体に鞄が触れ彼女は倒れそうになる。そして、思わず鞄から手を離し彼女の手を取り自分が彼女の下になるようにした。
『いててて、大丈夫か?』
『うん、大丈夫…やっぱり助けてくれると思った』
『アホか。偶々だ偶々。』
『そう…。後ひとつ良い?』
『なんだよ…。』
『手を胸から離してくれると嬉しい。』
『ふえ?‼︎ご、ごめんそんなつもりじゃ無かったんだ…。』
『気持ちよかった?』
『へ、変なこと聞くな‼︎』
『気持ちよかった??』
『だから聞くなって‼︎』
『気持ちよかったんでしょ???』
『え、えっと…。はい』
『一緒にいてくれるならこの胸もついてくる』
『テレビショッピングじゃ無いんだから、そんなおまけみたいな言い方やめろ』
『私は平気』
『俺が平気じゃ無い』
『何故?』
『それをおれに聞くのか?』
『肯定』
そう言われて俺は困ってしまった。確かに人としてはそう発言することにおかしいことは無い筈なのだが、俺にとって彼女は何なのだろうか。
俺にとって彼女は…。
『それはだな、人としてそういうことを言うのはおかしいということなんだよ。』
『私はおかしい?』
『あー変だよ変わり者だよ』
『貴方も変わり者』
『はぁ?俺が?俺がおかしいというのか?』
『貴方は私みたいな人にも優しい、普通の人ならば、みんな私を無視する筈だから』
『そんなこと無い。俺だって君の事は…。』
『私は貴方が欲しい。』
『そんなこと言われても困る‼︎じゃあな。』
俺はそう言って教室を出た。
【四章】
あの後、家に帰り今は自分の部屋のベットに横になっている。そして、ずっと彼女に言われたことが頭の中を駆け巡っていた。
『あんな事初めて言われたな。』
彼女にとって、俺の存在とは何なのか…。
この胸の中に渦巻いているものは何なのか不思議でたまらない。昔抱いたことの有るものにも感じるが…。
(無い無い、俺に限ってあいつは無い。あいつは俺のことなんて珍しく動物みたいにみてる筈だし)
だから、恋愛感情など持ち合わせては行けないと自分に言い聞かせようと一生懸命に今日の事を忘れようとする。
『寝れば今日の事忘れられるかな。』
そう呟きながら、手を開いたり握ったりして弄ぶ。すると、放課後にあったことをつい思い出してしまい布団の中に入り身悶える。
『あーーやべぇーよまじやべぇーよー!思い出しちゃいけないのにー!』
少し落ち着いたところで目を瞑ろうとすると、ドアのノックが聞こえてきた。
まだ目を瞑ったところで、寝れるとは思えなかったため部屋の電気をつけてドアノブを捻りドアをあける。すると、そこには父がいた。
『どうしたの?父さん…。』
『息子よ話がある。』
『父さん…俺のことは名前で呼べって言ってんじゃん。』
『息子よ。話なんだがな。』
『いや、人の話聞けよ。』
『息子よ。そろそろ、春樹さんと呼んではくれないか?』
『なんで実の親を名前で呼ばなあかんのじゃ…しかも、さん付けだし…。』
『気にするな息子よ。』
『気にするわ‼︎』
『なんだ、息子よ。何か不満があるのか?』
『大有りだ‼︎』
『最近、ツッコミにキレがましたじゃないか。』
『全然嬉しく無いんだけど。』
『私は嬉しいぞ息子よ。さぁ〜そろそろ春樹さんと呼べるな…。』
『待ってくれ、今の会話の中で俺が父さんのことを名前で呼べるようなことがあったか?』
『なんだ、たくさんあったじゃないか。』
『例えばどこよ?』
『それは…。』
『それは?』
『それは…。私もわからん』
『ふざけんな‼︎』
『さぁ〜息子よ。春樹さんと呼べ。』
『嫌だ。』
『どうしてもか?』
『あーどうしてもだ。』
『そこをなんとか…。』
『わかったよ、父さん…。』
『そこは、春樹さんだろ‼︎』
『めんどくせぇ〜な、おい!』
そんなやりとを父とやり、父はそのまま自分の部屋に行ってしまった。
『一体何がしたかったんだ…。』
そして夜は更けていったのであった…。
【五章】
その日、事件が起きていてた…。彼女の上履きが無くなるという事件だ。一端的には可愛らしいものに感じるかもしれないがこれは異形なのだ。しかし、された当人は全く顔色を変えずまるで、またかといったような表情をするだけでそのまま教室にむかってしまった。急いで、俺は彼女の後を追いかけていった。
『お、おい…。』
『誰かと思えば、貴方だったのね。』
『なんで、怒ったりしないんだよ。お前の上履きがなくなったんだぞ!』
『なんでって、所詮その程度でしょ?上履きがなくなったところで問題では無いわ。』
俺は彼女のその言葉を聞いて酷く胸が痛くなった…。こいつは、そんな事と言ったこれしきのことなんの問題ですらないと実感しているのだ。こんな悲しいことがあるだろうか、俺は彼女にこの言葉を言わせたやつを許すことが出来ないかもしれない。でも、俺が出来ることなんて本のわずかなことも知っている。なんとか助けてあげたいと思った…。
『あのさ、俺のでよければ貸してやるよ。そのままだと足冷たいだろ。』
『それは出来ないわ。そんな事をすれば今度は貴方が狙われるわ。』
もう今の彼女は昨日の放課後の出来事がなかったようにとても冷たい態度をとっている。
『そんなの関係無いだろ。俺はお前の事…。』
『私の事がなに?』
俺は、彼女の事を一体なんだと思っているのだろうか。彼女は俺にとって大事なのだろうか。そこが未だにわからない。
『お、俺は君のと、友達だよ。』
俺がそういうと、彼女は目を大きく見開いていたまるで珍しいものを見るような目だった。
『貴方が私の友達だというの?』
『い、いやか?』
『正直驚いた。貴方のほうからそんなふうにいわれるとは思わなかったから…。』
『俺は、俺はもっと君のことを知りたい…。だから何でも相談してくれ』
『なんだ、てっきり愛の告白をするのかと思った』
『な,ななな、なわけあるか!へ、変なこと言わないでくれ』
『照れちゃって可愛い。』
『アホか、変なこと言ってないで教室に行くぞ。』
チラリと振り帰り際に見た彼女の顔は先程の冷たい表情では無くなっていた。こんな事で、そんな顔をしてくれるなら俺は彼女友達であり続けようと思った。
しかし、教室に着いた時下駄箱での出来事が可愛らしいものに見えた。彼女の机には油性のマジックで大きく、『死ね』や『消えろ』などの文字が満遍なく書かれていた。しかも、亡くなったものだと思った上履きはチョークの粉まみれにされ教卓の前に置かれていた。
とても不愉快だ、なぜ彼女がこんなことをされないといけないのだろうか…。俺は、拳を握って、目の前の現実に耐えることしか出来なかった。
しかし、彼女は机の上に書いてある文字を自分のハンカチで拭き始めていた。俺も見ているだけなのは嫌なので自分のハンカチで机の上に書かれた文字を消す手伝いをする。全ての片付けを終えた頃に予鈴がなっていた。
放課後に俺は彼女に呼び出された。
『なんで、朝の時に手伝ったの?』
『なんでって、当たり前だろ。友達が目の前でいじめを受けていたら助けるのが筋ってものだろ。』
『そんな事をすれば、自分がやられるとは思わないの?』
『そんなの、そんなの関係無いだろ。いじめなんて弱いやつのやることだ。こんな事に怖気付いいられるか‼︎』
『貴方は強いのね。でも、こういうこと私はもう慣れているから、そこには首を突っ込む必要は無い。』
『な、なんだよ。なんなんだよそれ…。なんでも相談してくれって言っただろ。そんなこと言わないでくれ。』
『貴方はやっぱり優しいのね。』
その時の彼女の顔はとても穏やかだった。
しかし、俺には必死に耐えようとしている様ににしか見えなかった。
【6章】
彼女に対するイジメは無くなるどころか更にエスカレートしていって其の凄まじさに思わず息を飲んでしまう。最初の頃のほうが可愛らしく思えてくるようなものだった。そして、変わったのは彼女に対するイジメだけではなく、彼女が恐れていた俺への飛び火だ。
新聞の切れ端で作ったのか、彼女に近づくとお前にもやるぞと言った脅しの文書が机の上や下駄箱に入っていた。
今後のことを相談したいと彼女に呼び出された。
『もう、これ以上私と一緒にいるのはやめた方がいい。貴方を巻き込みたく無いの』
彼女はそう言って俺を説得しようとする。しかし、俺も言いたいことは言わなければならないと思い彼女に自分の気持ちをぶつけることにした。
『嫌だ。それに俺はお前の友達であり続けると決めたんだ。巻き込んでしまうから嫌だ?もう巻き込まれてるんだよ‼︎お前一人で戦わせるなんてこと絶対にしない‼︎俺は俺の意思で動く。あんなイジメなんかに屈したりしねぇー‼︎』
『貴方は、強いのね…。私が憧れてしまうほどに強い意志を持っている。』
『言ったはずだぜ、俺とお前は友達だ。辛いこと嬉しいことは分け合おうぜ。俺がお前の心の支えになってやるから。』
俺は彼女に思ったことをそのままぶつけた。
すると彼女の目には涙が溜まっていた。そんな泣きそうな顔でさえも不意に綺麗だと思ってしまった。
『ありがとう。私は貴方に頼ることにしする。』
そう言って、彼女は俺の胸の中で涙が止まるまで泣き続けていた。
この時から、俺の彼女への対する気持ちが少し変わったかもしれない。彼女を泣かせて奴らをもちろん許すつもりも無いのだが俺自身が強くあり続け彼女を外敵から守れば良いと思うようになった。俺の彼女に対する気持ちが友達としてなのかそれ以上としてなのかは勿論今でもわからない。でも、今彼女を守ってあげれるのは自分しかいないのだろうと思ってしまう。そう思うことによって俺は彼女のために踏み出す決意をした。誰かに褒められたいわけじゃ無い。誰かのために体を張るわけじゃ無い。全て、彼女の為に俺は自分の体に鞭を振るった。