第九十六話「勇者」
カーラ遺跡へと辿り着いた。
結界が張られている。
クレスが言うには、ヘルフェスがとあるキーカードを落とすというアナウンスが流れたらしく。
そのキーカードはこの結界を解くのに必要らしい。
クレスは結界の前にそのキーカードを振りかざした。
すると結界がだんだん消え去っていった。
俺たちはそのままカーラ遺跡の中へと入る。
あの石版の内容によると、この遺跡の十字架に勇者を磔にし、
この世界に一番初めに来た人物が、その勇者の胸に剣を突き刺す儀式をすれば、
この世界に巻き込まれる人も出なくなり、皆が元の世界に帰れるという。
この世界に一番初めに来たのはクレス。
勇者は俺。
条件は揃っている。
俺たちは数時間の間カーラ遺跡の奥へと進んでいった。
だんだん終わりが近づいてくる。
それと同時にだんだん緊張してくる。
遺跡の奥へと辿り着いた。
目の前には十字架がある。
「これが例の儀式に必要なやつか」
「!!」
クレスがその言葉を発した瞬間、突然空間から物凄く強そうな魔物が出てきた。
魔物というより魔王じゃないか? あれ。
「想定内だ。皆、俺の指示通りに動いてくれ」
皆、それぞれがモンスターを呼び出した。
しかし、クレスのルシファー以外のモンスターたちはあっと言う間に全滅してしまった。
残りはクレスのルシファーのみとなる。
こいつ、ヘルフェスとは比べ物にならないほど強い。
ルシファーの体力が一気に一割まで減る。
しかし、皆がルシファーにヒーリングをしてるおかげか、何度も体制を立て直すことが出来た。
「クレスさん。ダメです! もうヒーリングが出来ません!!」
「こっちも同じです」
俺の精神力ももう限界だ。
このままではルシファーまでもがやられてしまう。
そう思った矢先。
魔王が消えた。
「どういうことだ?」
クレスがそう発言した。
俺にも正直分からない。
あの魔王は体力を残り半分まで残していた。
それとも、あの魔王の体力を半分まで減らせばそれで良かったのか?
まあいい。
終わったんだ。
俺はラスボスを倒したかのような気分に浸っていた。
俺たちはそのまま十字架へと向かう。
「アダム。本当にいいんだね?」
クレスが俺に確認をする。
もちろん、俺はそれを承諾した。
俺は十字架に磔にされた。
クレスが右手に剣を出現させる。
本当に……これで……終わりなんだな……。
「アダム。君は立派な勇者だったよ」
クレスはその言葉と同時に俺の胸に剣を突き刺した。
不思議と痛みは感じなかった。
俺はそのまま意識を失った。




