第九十三話「最後の晩餐」
俺はまたもやクレスを呼び出した。
クレスは俺の呼び出しに素直に応じてくれた。
俺がクレスを呼び出すとそれを待ったとばかり、
クレスはSSS本部から出てきた。
「答えは……出たのかい?」
「はい」
俺は決めた。
自分の命を差し出すことを。
母ちゃんを悲しませるのは嫌だ。
だけどそれ以上に人を殺した事実を受け入れながら生きていくのは、
中学二年生の俺にはとても厳しく、重たいことだった。
って中学二年生じゃなくても重たいよな。こういうことって。
そう言った内容をクレスに伝えるとクレスはこう言ってきた。
「本当にそれでいいんだね」
その言葉が俺の頭の中を反響する?
本当にそれでいいんだろうか?
いや、いいんだ。これで。
これが俺が選んだ選択肢。
悩んだ末に選んだ答え。
この答えを選んだことに悔いはない。
「それで……構いません」
「よく言ってくれた」
クレスはそう言い放つと踵を返しSSS本部に戻っていった。
俺は宿に戻り、しばらくボーっとして過ごすことになった。
「これで……いいんだよな。」
俺はその言葉を何回も自分に言い聞かせる。
そんな風に考えてた矢先。
クレスからダイレクトメッセージが届いた。
”クレス>>アダム:アダム。至急SSS本部に来てくれ”
何だ? 何か問題か?
とりあえず俺はそれに了解と返し、急いでSSS本部に向かった。
SSS本部に辿り着く。
俺は急いでそのドアを開けた。
その瞬間。
クラッカーが俺の前で鳴り響いた。
周りの皆はアダム~と嬉しそうに喚き叫んだ。
「クレスさん。これはどういうことですか?」
今いち状況が飲み込めてない俺にクレスはこう言い放った。
「いや、お別れ会みたいなものを開こうと思ってね」
テーブルには大量の食事が用意されている。
「別にいいですよ。こんな」
「遠慮しないで、どんどん食べてよ」
この人、俺が食欲ないこと知らないのだろうか?
まあいいか。せっかくパーティを開いてくれたんだ。
それを無下にするのは酷というものだろう。
俺はテーブルにある食事に手をつけた。
「!!」
美味い!!
この世界で、今まで味を感じたことがなかった俺が、
こんなに美味しいと思える食事にありつけるとは。
「どうだい? これはエルタカレタと呼ばれる食事なんだけど」
クレスは語ってくれた。
どうやら味覚がないプレイヤーでもこの食事だけは美味しく感じるらしい。
しかし、そんなことまで知ってるとは、クレス先輩やりますね。
俺たちは皆で、ワイワイガヤガヤと騒ぎ
最後の晩餐を終えるのだった。




