第八十二話「死」
「話はミハエルから大体聞かせてもらったよ」
「……」
「何か言いたいことはあるかい?」
「すいません、俺が悪かったです」
「君、内心では自分は悪くないと思っているでしょ」
「!!」
さすがクレスといったところか。
そう、俺は内心悪いとは思っていない。
大体グレの方から俺に文句を言ってきたんだ。
モンスターを召喚したのもグレが先だし。
「君にグレの過去を話そうか」
グレの過去。
一体何だろうか?
クレスは語りだした。
グレは幼い頃、両親に見捨てられ、孤児院で育ってきたらしい。
だが、その孤児院は表立っては子供に優しいように見せてるが、
裏では子供の虐待が耐えなかったらしい。
グレもその被害者の一人で、ずっとそれで苦しんできたそうだ。
やっと大人になって独り立ちしてもまともな職に着けず、
ネカフェに泊まっては日雇いで頑張っていたらしい。
そんな彼の唯一の救いがカードバトルオンラインというゲームだった。
彼はこのゲームがあったおかげで、今の自分があるとよくクレスに言ってたそうだ。
……俺はグレを誤解していた。
俺は彼を現実逃避して、ゲームばかりしていたニートだと思っていたのだ。
でも実際は違った。
彼は俺よりも苦しい人生を耐えながら頑張ってきたんだ。
俺よりも何倍、いや、何百倍も。
どうしよう。
今グレに謝りたい気持ちでいっぱいだ。
「グレの気持ち……少しでも理解してくれたかな?」
ああ、理解した。
充分すぎるほど理解した。
「クレスさん、俺、グレに謝ってきます」
「そうだね。グレと仲直りしておいで」
そうと決まれば……!
俺はSSS本部に入った。
謝ろう。
グレに謝ろう。
俺が間違っていた。
絶対に謝ろう。
「グレ!!」
あれ……?
俺は目の前の光景が理解出来なかった。
グレが倒れていた。




