第八十一話「アダムの心情」
俺はただ浸すら上の空だった。
グレと喧嘩をした。
ブラの時と全く同じだ。
ブラともグレと似たような事を言って喧嘩をした。
俺はどこかでこの世界で生きているプレイヤー達を馬鹿にしてたのかもしれない。
だけど、それの何が悪いんだ。
ここはゲームの世界。
現実世界でもそうだがゲームのことで熱くなる人を見ると馬鹿だと思ってしまう。
現実世界のネトゲでも俺はそういった人たちを小馬鹿にしてきた。
現実世界のカードバトルオンラインでスライム育成に励んでる俺を見て、
周りの廃人どもはふざけてるのか? とか言ってきた。
ふざけて何が悪い。
ゲームなんだぞ。
ふざけて楽しむのがゲームなんじゃないのか?
この世界も同じゲームの世界だ。
俺はこの世界で純粋にスライム育成を楽しんでいるだけなのだ。
それをふざけてるの一言で済ませてしまうのが許せない。
いや、俺も馬鹿なのかもしれないな。
ただ廃人様とはちょっと思考が違うだけで、
ゲームの世界で熱くなってるのは俺も同じなのだ。
ただ、俺はあいつらとは違う。
現実世界でも一生懸命に生きている。
現実世界も楽しんでいる。
苦しいこともあるが、それに対しても頑張って立ち向かっている。
あいつらはどうだ?
現実世界から逃げて、浸すらゲームにばかり集中する。
俺は大人になっても、働きも何もしないで、ゲームにばかり熱中する廃人どもはゴミクズだと考えている。
俺はそうなるつもりはない。
高校生になったら家計を支えるためにバイトだってやろうと思っている。
俺はあいつらとは違うんだ。
俺はあいつらとは……。
「ただいま」
そんなこんな思考を巡らせてる間にクレスが帰ってきた。
クレスは今の俺たちの状態を見て、何か察したようで、
どうしたんだ? と聞いてきた。
ミハエルはクレスに耳打ちをする。
クレスはそれに頷き。
なるほどと言った。
「ん?」
クレスからダイレクトメッセージが届いた。
”クレス>>アダム:アダム。話がある。ちょっと外に出てもらっていいかな?”
何だろう?
グレとの喧嘩のことだろうか?
とりあえず俺はそれに了解と返した。
説教でもするのだろうか?
言っとくが俺は何も悪くはない。
俺は口を出しただけで、先にモンスターを呼び出してきたのはあいつのほうだ。
俺は悪くない。
そう思いつつ、俺はクレスと共に外に出た。




