第七十九話「バウンドケルベロスリーダー狩り」
俺たちはSSS本部に向かった。
中に入る。
中にはグレがいた。
クレスはいない。
彼は地図作りで忙しいのだろう。
「チッ」
グレが俺を見た途端、舌打ちをした。
出会ってそうそう舌打ちとは、
俺も嫌われたもんだな。
「ん?」
グレからパーティ申請が届いた。
どういうつもりだ?
とりあえず受理する。
「クレスさんがバウンドケルベロスリーダーを倒すならお前とラーラは誘えってな」
なるほど。
クレスがか、
彼がそう言ったのなら今の状況は納得出来る。
「ラーラはまだいいが、何でお前みたいな乞食なんか」
グレは不貞腐れながらそう呟いた。
俺だってこの状況はあまり好ましいと思わない。
ここは断っておこうか?
いや、やめておこう。
嫌でも相手は俺を誘ってくれてるのだ。
それを断ると余計悪化するだろう。
ということで俺たちはバウンドケルベロスリーダを討伐しに行くことになった。
メンバーは
俺、
グレネードランチャー、
ラーラ、
ミハエル、
ファイヤーラビット、
ロビン、
エリック
の七名だ。
しかし、グレと一緒に狩りをするのは何かやりにくいな。
まあいい。
難易度5の依頼を受けるより、こっちのほうがスライム育成が捗りそうだしな。
俺たちはバウンドケルベロスリーダーを狩りに地獄界へと向かった。
道中光る壁を見て、ラーラが
「すごい! すごい! すごおい!」
と叫びだした。
「うるせえよ」
それに対してグレは文句を言う。
「何よ! まあ鈍感な頭の持ち主のあなたには、この凄さが分からないでしょうね」
その言葉を聞いて、某議員を思い出した。
ってそんなことはどうでもいいか。
「何だと!!」
グレが怒る。
「まあまあやめなよ。二人とも」
ミハエルが慰める。
「フンッ、次、何かふざけたこと抜かしやがったら許さねえからな」
グレが捨て台詞を吐く。
「何よ。あいつ」
ラーラが俺に耳打ちをしてきた。
「いろいろと可哀想なやつなんですよ。許してやってください」
「アダムがそう言うならいいけど」
さて、地獄界への扉が見えてきた。
この向こうにバウンドケルベロスリーダーがいる。
行ったことがあるのに俺は緊張していた。
恐らく今回の討伐にはクレスが参加していないからだろう。
周りの皆も初めてのことのようで緊張している様子だ。
緊張の瞬間。
俺たちは地獄界への扉を開ける。




