第七十八話「ダイナミックあ~ん」
「ファイアゴッドスピン!!」
という意味不明な肘打ちをお腹に食らう俺。
「おはよう。アダム」
おはようございます。
お休みなさい。
そう言いたくなる朝だった。
「あのーお願いがあるんですが」
「何かしら?」
「この起こし方やめてもらえませんかね」
スゲーやめてもらいたい。
少量だが、体力が減っているのが怖い。
この世界では体力が0になったら死を意味する。
そう考えると余計怖い。
「だってアダムこうしないと起きないじゃない」
どうやらラーラは俺を普通に起こしても起きないため、
わざとこの意味不明な必殺技で俺を起こしてるらしい。
「ですがやめてもらえませんかね」
「でもそうしないと起きないでしょ?」
「7時にはちゃんと自分で起きれるから大丈夫です」
「それじゃあ遅い!」
別に遅いとは思わないが……。
そのことを彼女に伝えると彼女は真顔で、
だって暇なんだもんと呟いた。
う~ん。
まあ元々俺はこの世界では寝る必要がないように出来ているしな。
この際、ずっと起きてスライム育成に励むのも悪くはないかな。
どのみち、彼女と一緒にいる限り俺は元の世界に戻ることが出来ないだろう。
そういえばこの状態でヘルフェスを倒して魔法陣に乗ったらどうなるのだろうか?
普通に元の世界に戻れるのだろうか?
少し興味がある。
が今はそれはどうでもいいな。
さて、俺とラーラは宿の食事時間が始まるまで会話を交わしていた。
しかし、話すのはずっとラーラのほうから。
話題はクレス。
クレス様のここがいいだの。
オーラがすごいだの。
イケメンすぎるだの。
話の内容の99%はクレスで出来ているんじゃないかと思うほどだ。
ただ俺もクレスが格好良いのには賛成出来る。
実際男にも女にも好かれそうな容姿をしているしな。
さて、宿の食事が出てくる。
腹も減らない俺は食べる必要はないのだが、
ラーラが変な心配をして、
俺の口に無理やりパンを押し付けた。
名づけて”ダイナミックあ~ん”だ。
とりあえずこの子の性格なんとかならないものだろうか?
まあ今更……だな。
朝食を終えた。
さて、今日は何をしよう。
無難に難易度5の依頼を受けてスライム育成か?
そう思った矢先。
俺にダイレクトメッセージが届いた。
グレからだ。
”グレネードランチャー>>アダム:SSS本部に来い。話はそれからだ”
わざわざ。
しかもあのグレが俺に対して、
SSS本部に来いと行ってくるとは……。
何だ? 今までの無礼を許して欲しいとか言うんだろうか?
そうであって欲しいなあ。
とりあえず俺はそれに了解と返して、
SSS本部に向かうことになった。
しかし、何の用だろう?
グレが俺に用があるなんて……。
今日は何か起きそうな気がする。
俺は一抹の不安を覚えながらSSS本部へと赴く。




