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カードゲームで世界を救う!?  作者: ライプにっつ2
ゲームの世界と現実世界
77/108

第七十七話「押し問答」


「彼女の世話を頼む」


 え? 嘘? どういうこと?

 もっと大事な頼みかと思ったんだが……。

 ってか何で俺がこんな女の面倒を見なきゃいけないんだよ。


 ”アダム:そんなこと言われても困ります”

 ”クレス:彼女もSSSスリーエスのメンバーだ”

 ”アダム:確かにそうなりたいとは言ってましたけども”

 ”クレス:君には彼女の育成をお願いしたい”

 ”アダム:育成ってあれでも彼女充分強いですよ”


 俺とクレスの押し問答は続く


 ”クレス:レア度5のモンスターを持ってないうちは強いとは言えない”

 ”アダム:それじゃあ、俺の役割はどうするんですか?”

 ”クレス:それは彼女を育成した後でも出来る。それに”

 ”アダム:それに?”

 ”クレス:この世界に迷い込んだからと言って簡単に死ぬわけではない”


 確かにラーラもカードバトルオンラインのモンスターを持ち越しているようには見えた。

 モンスターを持ち越していればそう簡単に死ぬことはない。

 だけど……。


 ”アダム:俺とブラみたいな事例もありますし”

 ”クレス:それはイレギュラーなことだ。なかなか無い”

 ”アダム:それでも”

 ”クレス:分かった。こうしよう”


 クレスは名案でも思いついたような顔をした。


 ”クレス:他の人をシャイリアに向かわせる。それなら文句は無いだろう”

 ”アダム:……”


 参りましたとでも言うべきなのだろうか……。

 確かにSSSのメンバーには優秀な人達が多い。

 だけど何で俺が彼女の世話なんてしなきゃいけないんだろう。


 ”クレス:それじゃあ頼む”


 クレスとのパーティチャットが終わった。


「皆、僕は今日も地図作りに専念しようと思う」

「またですか。クレスさん」

「すまない。狩りは自分達の好きなようにやってくれ」


 クレスは話を続ける。


「ちなみに僕のルシファーはバウンドケルベロスリーダーから出たカードだ」

「へえ、ってことは」

「ああ、必ずしもヘルフェスを狩る必要は無い」

「マジかよ。初耳だぜ」


 周りのプレイヤー達が喜びの声を上げる。

 バウンドケルベロスリーダー。

 地獄界で最も弱いモンスターだ。 

 ただ地獄界最弱と言ってもレア度6。

 それなりに強いだろう。

 まあヘルフェスよりかは相当弱いが。 


「それじゃあ僕はそろそろ行くね」

「待ってください。クレス様」


 迷惑女のラーラがクレスに話しかける。


「どうしたんだい? ラーラ」

「私もお供したいなと思って」

「済まないが君を連れて行くことはできない」

「そんなあ、お願いします!!」

「って言われても」

「お願いします!!!」


 ラーラは食い下がる。

 クレスはそんなラーラの頭に手を置きこう発言した。


「僕の帰りを大人しく待ってくれる女性は嫌いじゃないよ」

「クレス様……」


 その言葉をラーラはあっさりと受け入れた。

 さすがクレスさん。

 現実世界ではホストでもやってたんだろうか?

 女の扱いが上手い。


 クレスはSSS本部を出ていった。

 しかし、彼女の面倒を見れと言われてもなあ。

 

「ん?」


 彼女が俺に近づいてきた。

 一体何の用だ?


「アダム、腹減った。飯おごれ」






 ああ、厄日だ。

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