第七十三話「ざるそば」
とりあえず俺はいろいろと事情を説明して、
何とか少女を説得することが出来た。
聞くところによるとこの少女もカードバトルオンラインをやっていたらしい。
ちなみに少女のステータスを確認したが全て25もあった。
やはりこれも個人差があるのか。
俺とブラがこの世界に来たときは1だったっていうのに……。
さて、クレスの元に少女を連れて行くか。
俺はクレスに連絡を取ろうとした。
その時。
「腹減ったあ」
少女が喋りだした。
無視する。
”アダム>>クレス:クレスさん”
「腹減ったあ」
”クレス>>アダム:どうした? アダム”
「腹減ったあ」
”アダム>>クレス:今からこの世界に迷い込んだプレイヤーを連れてきますね”
「ねえ、腹減ったってばあ」
”クレス>>アダム:分かった。僕はSSS本部で待機していよう”
「腹が減ったってばあ」
”アダム>>クレス:お願いしま”
「腹が……減ったあああああああ!!」
うるせええええ!!!
適当にそこら辺に落ちてる石ころでも食ってろ。
とそんな感情は表に出さない。
とりあえずこの少女を満腹にさせないと事が進みそうになさそうなので、
適当にレストランを探してそこに入った。
「それで、何が食べたいんですか?」
「ざるそば!!」
「ざるそば、ざるそばっと」
おう、あった。
とりあえず俺はざるそばを注文する。
しばらく待つこと数十分。
ざるそばが俺たちのテーブルに到着した。
少女は美味しそうにざるそばをすする。
しかし、見たところこの少女、食欲はありそうだ。
これも個人差か。
この世界の俺は食欲というものがない。
正直、この少女が羨ましい。
まあ現実世界に戻れば食欲も普通に戻るので、
特に気にはしていないが。
「ごちそうさま」
と思考を巡らしてる間に少女はざるそばを食べ終わっていた。
食べるのはやっ!
この少女、大食い選手権出たら優勝するんじゃね?
「それじゃあ移動しますよ」
「待ってよアダム」
「元の世界に帰りたいんじゃないんですか?」
「それはそうだけど……」
少女はしばらく黙り込んだ末、こう言い放った。
「もう少しこの世界を冒険したいなあ」
はあ……。
この少女が元の世界に戻るのは当分先になりそうだ。
とりあえずこのことをクレスに連絡しておかないとな。
そろそろこの少女を少女と呼ぶのはやめるか。
この少女のプレイヤー名はラーラだ。
俺とラーラはこの世界を冒険することになった。
アダムの……お便りコーナー!!
パチパチパチパチパチイ
酷評を受けたこのコーナー。
あとがき枠で頑張っちゃいます。
それでは、早速お便りを紹介しましょう。
北海道(仮県)在住のみひろ(仮名)さんから頂きました。
みひろさんのお便り、拝見させて頂きます。
「ゲームで死んだらリアルの方も死ぬってことは植物状態のリアルの方が死んだらゲームの方も死ぬんじゃないの?」
なるほど。
的を得た質問ですね。
結論から述べましょう。
「分からない」
です。
以上。
ってこれで終わらせるわけにはいきませんよね。
といっても何から話したらいいんでしょう。
まずゲームの世界に巻き込まれた人間が現実世界で植物状態になるということ。
これは主人公アダムが現実世界に戻った時に病院にいたこと。
そして、ブラの母に電話をしてブラが病院に入院しているということを知ったこと。
この二つを根拠として、アダムがゲームの世界にいるプレイヤーたちは現実世界では植物状態と結論付けていますね。
果たしてこれは正解でしょうか?
アダムは自分とブラ。
この二つの事例のみを根拠として他のプレイヤーたちも現実世界では植物状態になっていると結論付けている……。
確かに根拠は根拠です。
ですが100%ではありません。
つまり、ゲームの世界にいるプレイヤーたちが皆、現実世界で必ず植物状態になっているかと言うと……。
それは分からないということになります。
もしかしたら、他のプレイヤーたちもプログラムで作られていて本物のプレイヤーはアダムとブラのみ……。
とも考えることができます。
この根拠を100%にするのならゲームの世界全てのプレイヤーたちの個人情報を調べ、そのプレイヤーたちの現実世界での状態を調べる必要性がありますね。
ちなみにそれは可能です。
ですがアダムはそこまで頭が回らなかったようです。
中学二年生ですもんね(笑)
さて、本題に戻りましょう。
「植物状態のリアルの方が死んだらゲームの方も死ぬんじゃないの?」
これも分からないです……。
まず試すのがほぼ不可能です。
アダムを殺人鬼にする必要があります(笑)
さてアダムのお便りコーナー。
これにて終了です。
え? なに?
感想欄ではそうなるって言ってた?
果たしてその言葉……信じていいんでしょうか?
嘘を付いている可能性も(殴
それでは皆さん。
アデュー…………。




