第七話「初めての依頼」
俺とブラはギルドに寄った
ブラも”マジックナイトリーダー”を手に入れたし
俺もスライムを育成してきた
たぶんある程度の依頼ならこなせるはずだ
俺たちは”ウルフ”の討伐依頼を受諾した
目標討伐数は最低でも十匹
ウルフはレア度1コスト4でカードバトルオンラインでは雑魚に部類する
恐らくこの世界でも一緒だろう
「お二方、これを」
受付嬢が発信機を俺たちに取り付けた
聞くところによるとこの発信機
受諾者が依頼をこなせてるかどうかを判別できるらしい
進んでるなこの世界
ちなみに受ける依頼は自由だが複数の依頼は受諾出来ない
理由は不明だ
恐らく複数の依頼を受諾してわざと達成させないように目論む愉快犯がいるのだろう
それとこのギルドはサービスとして討伐目標まで運搬してくれる車みたいなものを貸出ししてくれるそうだ
その車らしきものは俺たちの世界と比べて未来を想像させるような形だった
やはり進んでるなこの世界
さて、俺たちはそのサービスを利用し
早速ウルフを討伐しにウルフがいる目的地へと向かった
「楽しみだな! アダム」
「そう呑気なこと言うなよ、スライムより強いウルフと戦うんだ、死ぬ可能性だってある」
「別に死ぬとは限らないんじゃね?」
「アナウンスで流れてただろう ”HPが0になると死亡するので気をつけましょう”って」
「あんなの気にする必要ないだろ」
「用心がないな、ブラは」
こいつそれでも社会人か?
ああニートだった忘れてた
そうこうしているうちに目的地へとついた
目的地は森だった
俺たちは森の奥へと進んでいった
「おっ早速発見♪」
ブラが喜びの声をあげる
「出でよ!! マジックナイトリーダー!!」
ブラがそう叫ぶとマジックナイトリーダーが出てきた
「ほらアダムも早くスライムを呼べよ」
「ああ、出でよ、スライム」
スライムが出てきた
「全然楽しくなさそうだな」
「ああ」
「ゲームだぜ、もっと楽しもうよ」
真剣にゲームをやってるとか抜かすニートに言われたくない
この世界ではプレイヤーの体力、すなわちHPが0になったら死ぬかもしれないのに
さて、ウルフたちもこちらに気づいたようだ
近づいてくる
しかし、ウルフは走ってきているんだが
スピードはそこまで速くは感じなかった
現実よりも遅いと言っていい
まあ俺たちよりは速いが
「やっちまえ!! マジックナイトリーダー」
ブラがそう叫んだ
マジックナイトリーダがウルフを剣で切り裂く
「さすがはマジックナイトリーダー」
「へへん、どうだい」
マジックナイトリーダーがウルフを倒したことでブラは得意げになった
俺のスライムも負けてられないな
「次来るぞ!」
森の中にウルフの群れが出てきた
「これ逃げたほうがいいんじゃね?」
「もう心配性だなアダムはモンスターが何とかしてくれるって」
「はあ……」
正直死ぬことが怖かった
しかし、俺たちのモンスターがウルフを倒している間あることに気づいた
敵モンスターであるウルフは俺たちに近づいてこなかった
どちらかと言うと俺たちのモンスターに近づいていた
これは推測だが敵モンスターの優先順位は俺たちよりも召喚しているモンスターなのだろう
「さて、十匹以上狩ったしそろそろ帰るか」
「待てよブラ、ガシャの確認忘れるなよ」
そう言えばそうだった
ガシャの内容を確認する
ウルフを十匹以上狩ったため十回は回せる
俺たちは早速ガシャを回した
目星いものは出なかった
主にウルフとかスライムぐらいだった
と思っていた矢先
「おお!!」
ブラが感嘆の声をあげた
「どうしたブラ?」
「”瞬足”というカードが出たんだよ!」
「マジで!?」
瞬足とは言うまでもないが素早さを上げるカードだ
ブラはそれをガシャで出した
ってことはだ、そういったカードもゲームメニューの買い物欄で買う意外に手に入れる方法があるってことだ
「早速人体コストに設置と♪」
瞬足というカードを手に入れたブラは嬉しそうだった
「さてと、俺はスライムの育成に」
「ちょい待ち」
「何だ?」
「売って街のガシャ引いた方が強いモンスターを手に入れることができるだろう」
確かにその通りだ
スライム愛好家の俺は迷った
「やっぱりスライムの育成に専念するわ」
「そんなにスライムが好きなのかよ、スライムのどこがいいのかね」
ブラは呆れた様子で言い放った
スライムの良さが分かるのは俺だけでいい
「まあ今回の依頼の報酬で250Gはもらえるからその金で街のガシャ引いて、そのモンスターは使うよ」
「まあ、それならいいけどよ」
俺たちは車みたいな乗り物へ目指して歩いていった
「あの乗り物乗るの楽しみい」
ブラが小学生みたいにはしゃぐ
子供だなこいつは
まあ俺もあの乗り物に乗るのは楽しい
近未来的な作りだからな
そうこうしているうちに乗り物のところに辿りついた
俺たちはその乗り物に乗る
乗り物は俺たちが乗ったと分かった瞬間走り出した
街に着いた
俺たちは早速ギルドへと向かう
「発信機の内容を確認しました、お疲れ様でした」
受付嬢はそう言うと報酬を俺たちに渡した
これで俺たちの初めての依頼は完了した