第六十八話「ゲームの世界と現実世界」
俺は現実世界とゲームの世界を行き来していた。
現実世界では学校に行き、友達と遊び、家では家事をして過ごす。
ゲームの世界ではスライムの育成に励む。
そんな生活を送っていた。
「用太郎、ナイッシュー」
「さすが用太郎」
現在、現実世界の体育の授業でサッカーをやっている。
現実世界ではサッカー部を辞めた俺だが、
そこは元エース。
意地ってもんがある。
俺はそこで大活躍していた。
ゲームの世界でスライムちゃんの成長を観察するのも悪くないが、
やはり現実世界でサッカーをやって友達に褒められるのが楽しい。
「ホント、もったいないよな用太郎」
「ああ」
周りの友達は俺によくサッカー部に戻ってこいと説得してくる。
俺はそれをやんわりと断る。
そんなやり取りがしょっちゅうだ。
父ちゃんが生きていれば……。
俺は大好きなサッカーを続けることが出来た。
ってその話はもういいか。
さて、家に帰るとカードバトルオンラインの状況について調べる。
正直、そこまで変わった様子がない。
アダムという荒らしキャラクターを作って遊んでいる人たちも飽きたのか、
それに関しての話題も挙がっていない。
また、新たにキャラクターを作ってゲーム内でこのゲームをやってはいけないと訴えることも出来るが、
どうせ垢BANされて終わりだろう。
やるだけ無意味な気がする。
夜になった。
俺は眠りに着き、ゲームの世界のグランガの宿で目を覚ます。
さて、今日もスライムちゃんの育成を頑張るぞお!
俺は張り切って起き上がった。
「ん?」
クレスから俺指定でメッセージが届いた。
「アダム、頼みがある。君にしか出来ないことだ」




