第六十四話「白虎リーダー」
俺はSSS本部に赴いた。
SSS本部に辿り着くと丁度中からクレスが出てきた。
「あっ、アダム。おはよう」
「おはようございます」
「それじゃあ行こうか」
「はい」
街の外へ出るとエレーナという超絶美人が待機して待っていた。
「お待ちしていましたクレス。ん? その子は?」
エレーナは首を傾げてクレスに聞いた。
「ああ、彼はアダムといって僕の重要な駒だよ」
はあ!?
人を駒扱いとは……。
クレスさん意外に腹黒いですね。
「そう」
「それじゃあ白虎リーダーを頼む」
「ちょっと待ってくださいクレスさん」
乗り物なら俺のモンスターのキングレオタイガーでも行けるはずだ。
それに関して聞いてみる。
「乗り物ならキングレオタイガーでも行けると思うのですが」
「残念ながらそれは出来ないよ」
クレスはきっぱりと答えた。
「試しにやってみるといい」
俺は言われた通りキングレオタイガーを召喚しその背中に乗ってみた。
「あれ?」
キングレオタイガーの背中に飛び乗ろうとした途端。
消えた。
どういうことだ?
その瞬間アナウンスが流れた。
”プレイヤーのモンスターは乗り物として扱うことが出来ません”
「どう? 今頃君のところにアナウンスが流れたと思うけど」
クレスが見透かした眼差しで俺に対して聞いてくる。
「はい、流れました」
「残念ながら、そういうことだ」
そうか……しかし、クレスは何でも知ってるな。
博学というか何というか。
教師が向いていると個人的に思った。
まあ生徒からの評判は別として、ね。
「それじゃあ行こうか。エレーナ、白虎リーダーを頼む。」
「クレス、何度も言うようだけど私が召喚しているのは白虎であって白虎リーダーではないわ」
「まあまずは召喚してみてよ」
「ええ、構わないけど」
エレーナは言われた通りモンスターを召喚した。
カードバトルオンラインでは白虎も強力なモンスターとして扱われていて、
レア度5コスト25とこのモンスターも廃人様ご用達だ。
しかし、エレーナが召喚した白虎は白虎であって若干白虎とは違う気がする。
何というか色合いが。
しかし、エレーナはNPCなのにこんなモンスターを召喚できてすごいなあ。
「どうだい? アダムもそう思うだろう?」
「何がですか?」
「彼女のモンスター」
ああ、確かにこれは白虎リーダーですわ。
まず白虎を召喚したことが無いので分からんが、
オーラを見て白虎リーダーだと言うことが分かる。
「確かに……そうですね」
「もう! アダムさんまでそう言いますか」
エレーナはプクーと膨れた様な顔をした。
普段の凛々しい姿とはギャップがあって可愛い。
「そろそろ行こうか」
「はい、分かりました」
俺たちは白虎リーダーに乗って地図作りを始めるために移動した。
いやあ、旅行みたいで楽しいな。
ギルドサービスの車に乗って景色を眺めるのも楽しいが、
こうやってモンスターに乗るとまた、景色が違って見える。
さて、クレスには話したいことがいくつかある。
現実世界での出来事。
この世界の仕組みなど。
俺はそれらを聞くためにクレスに話しかけた。




