第六十二話「進歩2」
「私、ゲームの世界に行ったことありますよ」
俺はこのメールの内容を見て衝撃を受けた。
やった! 俺のやったことはは無意味じゃなかった。
俺は早速そのメールを寄越してくれた人に返信した。
「あなたもカードバトルオンラインをプレイしてゲームの世界に巻き込まれましたか?」
「はい、クレスさんにはお世話になりました」
おおっ! クレスの名前が出てきた。
「今もこのゲームをプレイしていますか?」
「まあ、一応は」
なるほど。
ってことはやはり俺はイレギュラーだったか。
ただあのゲームの世界に巻き込まれること自体がイレギュラーみたいなもんだからな。
浅はかにそう決め付けるのは良くないだろう。
「今現在俺はゲームの世界と現実世界を行き来してますが信じてもらえますか?」
「ええ、もちろん信じますとも、私もゲームの世界に行ったことがありますから」
良かった。
信じてくれる人がいて。
「今現在俺はこのゲームをプレイしないように訴えていますがその事に関してはどう思いますか?」
「そのことに関して言及するつもりはないですけどよくあそこまでやろうと思いましたね」
やはりあそこまでやるのはやりすぎだったか……
まあいい。
「出来ればでいいのですが皆にカードバトルオンラインというゲームをやらないように伝えては頂けませんか?」
「う~ん、2chに書き込む程度なら構いませんよ」
よし!
これで手間が省ける。
さて、後は適当に何か聞くか。
「ゲームの世界に飛ばされたとき最初はどこに飛ばされましたか?」
「どっかの平原みたいなところですね」
おおっ! ってことは俺たちと同じところか?
さらに聞いてみる。
「初めて来た街はシャイリアでしたか?」
「それは違いますね」
なるほどそれは違うか。
他にも適当に聞いてみる。
「最初の頃の能力値は全て1でしたか?」
「いや、1ではなかったですね」
「モンスターは持ってましたか?」
「ええ、現実世界のカードバトルオンラインと同じモンスターを持っていました」
なるほど。
ということは俺とブラはイレギュラーになるな。
さて、聞きたいことは概ね済んだしこれぐらいにしとくか。
「いろいろと質問に答えて下さりありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ何かと参考になれば幸いです」
こうしてメールを送ってくれた人物とやり取りを終えた。
少しずつだが進歩している気がする。
この調子で頑張ればカードバトルオンラインがサービス終了をする日も近いかもしれない。
俺は家事をこなしつつ、母ちゃんと食卓を囲んでその後は風呂に入った。
「もう夜の10時か。そろそろ寝よう」
さて、ゲームの世界でスライムの育成を頑張るぞ!
そう思いつつ俺は眠りについた。




