第六十話「キチガイメール」
さて、俺は現実世界へ戻った。
時計を確認する。
やはり丁度7時だ。
さて、これからどうしたものか……
俺の役目はこの世界からカードバトルオンラインをプレイしてゲームの世界に迷い込む人が出てくるのを阻止することだ。
しかし、いい手があるとは思えない。
前は2chにも書き込みをしたりしていたが結局荒らし認定されちゃったしなあ。
どうするか……
とりあえず運営にメールでも送ってみるか。
”拝啓 運営様
こんにちは
要望があります
実はこのゲームをプレイしたせいでゲームの世界に迷い込んだ人たちがいるんです
その犠牲者を防ぐために
このゲームのサービスを終了して欲しいです
どうかご一考くださいませ”
とりあえずこんな感じで送ってみたが。
どっからどうみてもキチガイが書いたメールにしか見えない……
まあいいや。
「ん?」
俺の携帯電話が鳴った。
友達からだ。
「はいもしもし」
「用太郎。今日遊ばね?」
そういえば今日は土曜だったなあ。
俺は休みの日は友達を誘って遊びにいくことが多い。
しかし、向こうから誘いに来ることはほとんどない。
「別にいいけど」
「じゃあ俺の家集合な!」
「ちょっ!」
電話が切れた。
ちぇっ折角外でバスケして遊ぼうと思ったのにい。
まあいいや。
ってか家の中でどう遊ぶんだろう。
これから決めるのかな?
カードバトルオンラインとかだったら俺泣くぞ。
スマフォ持ってねえしなあ。
俺は自分の家を出た。
さっきの電話の友達の家と俺の家は近い。
歩いて20分ほどで着いた。
俺は友達の家のチャイムを鳴らす
「はあい」
「あの、光雄の友達の用太郎です」
「あら、久しぶりねえ」
友達の母は嬉しそうだった。
「さあ上がって」
「失礼しまーす」
俺は客間に案内された。
「ん?」
客間のふすまが閉まっている。
前来た時は開いていたのにな。
「さあ、開けてちょうだい」
友達の母が促す。
なぜ俺に開けさせるのだろう?
まあいいか。
俺はふすまを開けた。
「ほえ?」
俺がふすまを開けた瞬間クラッカーが鳴り響いた。
クラッカーのゴミクズが俺の頭の上に乗る。
「用太郎! 退院……おめでとう!!」
俺は呆然としていた。
「どうした用太郎? 俺たちの友情に涙ってか」
「う、うるせえ! 泣いてねえし」
「アハハハハ」
俺はいい友達を持ったな。
やっぱゲームの世界よりこっちの世界だ。
テーブルにはケーキが置かれていた。
プレートには”用太郎 退院おめでとう”と書かれていた。
俺たちはケーキを食べ、夕方まで駄弁っていた。
いやあ、楽しくて時間があっと言う間に過ぎちまったな。
「それじゃあ用太郎。元気でな!」
「ああ」
こうして俺たちは別れた。
家へと帰る。
家の中に入ると早速パソコンを付けた。
そして運営に送ったメールの返信を確認する。
”お問い合わせありがとうございます
今後のサービス向上に生かしたいと思います
これからもカードバトルオンラインをよろしくおねがいします”
うん、テンプレだ。
やはり運営も俺みたいなキチガイは相手にしてくれないか。
ってか俺キチガイじゃねーし! 本当にゲームの世界に迷い込んじゃっただけだし!
さて、他にやることと言えば2chに書き込みを続けることぐらいだが……
何かいい手は無いのかな?
あっ! そうだ!!
これもやる価値はありそうだな!
2chで書き込むだけよりはこの方法も併せてやったほうが影響力はありそうだ。
早速俺はその方法を実行してみた。




