第五十六話「キングレオタイガー」
「皆、新しくメンバーが加わることになった」
俺はSSS本部に来ていた
もちろん、新しく入る仲間として
「さあ、アダム」
俺はクレスに促されるまま前に立った
「あ、お前!」
一人の男が叫び声を上げた
前回一抹の不安もあると言ったが
それはこいつの事だ
この前俺がここに来て皆に元の世界に帰ったほうがいい旨を伝えると
大激怒した困ったちゃんなのだ
「クレスさん、こんなやつ仲間に入れる必要なんてないですよ!」
男はクレスに対して抗議する
「グレ、彼は僕たちSSSの案件”スラッシュハンド”の問題を解決した人物でもある」
クレスのその言葉に周りの者たちは感嘆の声を上げた
「それでも」
「反論は……ないよね」
クレスさん口調怖くなってますよ
「…………」
クレスのその口調に圧倒されたのかグレという人物は何も言わなくなった
そういえばよくよく見ると彼の頭上には”グレネードランチャー”という名前が表示されている
……うわあ……痛え名前だな
ブラックドラゴン並に痛え
彼の個人情報を確認すると
彼も日本人みたいだ
本名はプライバシーなので伏せておいてやろう
「とにかく彼が新しいメンバーだ。皆、仲良くしてやってくれ」
ということで俺はSSSに正式なメンバーとして入ることになった
「クレスさん、地獄界で狩りに行きません?」
メンバーの一人がクレスに話しかける
「悪いが僕は今日も地図作りに専念しようと思う」
「そうですか、それは残念です」
クレスは踵を返しSSS本部を出る前に俺に一声かけてきた
「悪いけど今日は君のスライム育成を手伝うことは出来ない」
「そうですか……」
「その代わり」
クレスはそう言って手にカードを出現させ俺に投げ渡した
俺はそのカードを受け取る
「!!」
「このカードがあればレア度5ぐらいの依頼なら軽くこなせるだろう」
彼が渡してきたカードはレア度5コスト30のキングレオタイガーというモンスターだった
しかもレベルMAXだ
キングレオタイガーはカードバトルオンラインでも一二を争う強力な激レアモンスターで
このカードは専用の補助カードがあればより一層強いモンスターになる
キュアリス同様廃人様なら誰でも持ってるモンスターだ
「あっありがとうございます!!」
「いや、お礼はいいよ。しばらくこのカードで頑張ってくれ」
クレスはそう言い放つとSSS本部を出ていった
いやあ、ありがてえ
これで俺のスライム育成も捗る
俺はキングレオタイガーというカードを手に取り
早速ギルドの依頼を受けに行くのだった




