第五十二話「スライム男」
「ねえねえ、最近流行ってる都市伝説知ってる?」
「何? 気になるう」
「”スライム男”っていう都市伝説なんだけどさ」
「うん」
「夜中路地裏でたむろってたら出るんだって」
「それで何するの?」
「”悪い子はいねがー”って歩き回るんだって」
「え? 何それ怖いいい」
「でね たむろってる人を見かけると”お前はわるい子がー?”って聞いてくるんだって」
「それで?」
「それにいいえって答えると見逃してもらえるらしいけど」
「うんうん」
「はいって答えたり動揺して逃げたりするとスライムにボコボコにされちゃうんだって」
「うわあ、怖いいい」
「だからミーナも気をつけなよ」
「うん」
現在の俺のステータス
体力70
素早さ140
攻撃力150
精神力40
人体コスト178/180
スライムレア度1コスト2レベル70
ヒュドラレア度4コスト16レベル56
ベビードラゴンレア度2コスト8レベル56
ゴーレムレア度3コスト13レベル56
ボーンスカルナイトレア度3コスト7レベル56
スカルないとリーダーレア度3コスト8レベル56
モンスターコスト54/180
現在俺はスライムを絶賛育成中である
そして現在いろんな町の路地裏を探検中である
スライムをお供にして
「悪い子はいねがー」
ナ○ハゲみたいな真似をして俺は路地裏を歩く
なぜこんな真似をしているかと言うと
暇だからである
いや、そんなことしてる暇があるならスライムの育成なりすればいいだろうという人もいるだろうが
たまには息抜きに路地裏でたむろっている悪党どもを
正義のヒーロースライム様にやっつけてもらおうと思ってね
まあそんな感じなわけです
ちなみに時々は元の世界に戻ってる
ただ元の世界での生活はそんな変わらない
学校では友達とワイワイガヤガヤと騒ぎ先生に叱られたり
家では家事をこなしつつ母ちゃんの帰りを待ったり
ほんとに変わらない
唯一気になる点は俺の友達の中にもカードバトルオンラインをやっている人がいることぐらいだろうか?
正直巻き込まれてこの世界に連れてこられないか心配ではある
そういえばクレスに言われたことすっかり忘れてたな
現実世界でこのゲームをプレイしないように伝える
しかし、そんなことをしてもほぼ無意味な気がする
ほとんどの人がこのゲームをすると異世界に巻き込まれるなんて思うはずがないだろう
それに逆に巻き込まれたほうが面白いという人まで出てきてるし
「う~ん、今日は特に目ぼしい人たちはいないみたいだな」
今日の路地裏は平和であった
そろそろ帰るか
そう思った矢先
目の前に数十人はいるであろう集団が俺の前に現れた
「お前か! 俺たちの縄張りを荒らしているスライム男とかいうやつは」
おおっとアダム選手
いかつい集団に出くわしてしまいました!
これは一世一代の大ピーンチ!
っていうわけでもないけどね
俺も
俺のスライムちゃんも
普通の人以上の力は持ち合わせている
こんな冒険者の欠片もないチンピラ共なんか簡単に一掃できるだろう
「俺と勝負しろ」
集団の先頭に立つ男が言い放つ
「オーケー、俺のスライムちゃんの餌食になってもらうよ」
「ちょっと待て」
急に止められた
何?
まさか今更作戦会議なんてするわけじゃないよね?
これだけの集団でやって来ておいて何の打合せもしてきてないってことはないよね?
先頭に立った男は後ろに率いている輩共にコソコソと話をした後
俺にこう言い放った
「俺とラップ勝負をしろ」
俺は言葉を失った




