第五話「スライムVS!?」
俺たちは平原にある草を毟ったり石を拾いながら
スライムを狩り続けていた
「アダム、そろそろ街に戻らねえ? お金も溜まってきたしさ」
「ブラ、俺はほぼ無一文だ」
「そりゃお前スライムなんかを育成してるからだろう?」
「何が悪い」
「スライムみたいな雑魚より普通のレア度2のモンスターを育成したほうがましさ」
「それはお前の価値観だろ」
「はあ」
確かにスライムは最弱モンスターだ
だがそれの何が悪い
俺はスライム愛好家だ
カードバトルオンラインでは暇さえあればレベルMAXのスライムを増殖させてデッキに並べたこともあった
俺はスライムの良さを世界で一番良く知ってる
あのむっちむちなボディーを見よ!!
「とりあえずもう街に戻ろうぜ」
「あ、ああ」
さて、現在の俺たちのステータスを覗こう
体力5
素早さ10
攻撃力7
精神力5
ちなみにブラは人体コストに関係するカードを一切買っていない
よっぽどあのガシャを引きたいんだなあ
ああ、それともう一つ報告がある
スライムから出るガシャはほとんどスライムばかりなのだが
一つだけおかしなものを発見した
”木刀”というカードだ
レア度1、コスト5だ
カードバトルオンラインでは存在しないカードだ
このカードは攻撃力を2上げるカードだ
この時もアナウンスが流れた
”人体コストに装備しているカードは念じることで所有者の手元に出すことができます”
試しに右手に木刀が出ないか念じてみた
「おお!」
念じた通りに木刀が右手に出てきた
”ただし空中に出現させるなど一般的に不可能な思念は実現しません”
試しに空中に木刀を出そうと念じてみた
「ふうむ」
試しに左手に木刀が出ないか念じてみた
「おお!」
右手にあった木刀が消え左手に出てきた
試しに両手に木刀が出ないか念じてみた
「やはり出来ないか」
試しに
「おい」
「ん?」
「何遊んでんだよ」
「え? だってゲームでしょ!? 遊ばなきゃ」
「真剣にゲームをやってる俺の身になってみろ」
出たあああああああ!!
ゲームを遊びじゃなく本気でやってる馬鹿
「何だその顔は!?」
「いや、別に」
「お前、俺のこと馬鹿にしてるだろ」
「だから何でもないって」
「ちっこれだから無課金は」
「はあ!? ゲームに親の金かけてるニートに言われたくねえよ!!」
「何だと!!!」
ブラが俺の胸ぐらを掴んだ
「出でよ!」
俺はスライムを出現させようとした
「ちょいまち」
「ああ!?」
「やめよう、ここでマジでやったら死ぬだろ」
「ああ、そ、そうだな」
危ない危ないここはゲームだがリアルな世界だ
マジでやったらマジで死にかねん
とまあこんなかんじで進んだわけだが
皆もネトゲの人間関係では気を付けようねえ
どこかの国ではリアルPKも起こったみたいだし
さてシャイリアに辿りついた
「フフフン、フフフン♪」
ブラが鼻歌を歌う
ガシャが楽しみなのが嫌でも分かる
「よってらっしゃい見てらっしゃい」
「オジサンガシャ引かせてください」
「おお、若いの引いてくれるか」
ブラがガシャの宣伝をしているオッサンに話しかける
「ブラ、いくら持ってるんだよ」
「300G以上はあるよ」
「ってことは三回引けるか」
ブラが100Gほどのコインをガシャに入れる
ガシャガシャガシャガシャ
ガシャからカプセルが出てきた
「さて、何のカードかなあ?」
ブラが恐る恐るカプセルを開ける
「え……」
ブラが沈黙する
俺はそれを見て察した
「どんまいスライムよりはまs」
「マジックナイトリーダーが当たった!!」
「はあ!?」
マジックナイトリーダーはレア度3コスト8のレアカードだ
「嘘だろ」
「ホントだよ! 見てみろ!!」
ブラがカードの表を俺に見せる
「ほん……ほんとだ……」
そこには輝きを放つレアカードがあった
「オジサン!! レア当たったよ!!!」
「おお!? 本当かね1回目でレアを当てるなんて君相当な運の持ち主だな」
オジサンも喜びの笑みをブラに向ける
「さて、あと200G」
「引くのか?」
「いや、やめておこう」
「何で??」
「しばらくはこのカードでやっていけそうだからな、それに」
「それに……?」
「武器屋で一番安い武器を買ってみようと思う」
なるほど武器屋で武器を買ったらカードになるか試そうとしているな
俺たちは早速武器屋に向かっていた
「それにしてもマジックナイトリーダーは強いなあ」
「ああ」
「お前のレベル25スライムよりも強いなあ」
嫌味か……こいつは……
「ふん、俺はこれでいくもん! これでやってやるもん!!」
「なあ、アダム」
「何?」
「別にスライムでも上位種はいるわけだしこのスライムに固執する必要はなくね?」
「わかってないなあブラは」
「何がだよ」
「青いからこそスライムなんだよ」
「うん、分からん」
あっさり切り捨てられてしまった
いいもん! 俺だけ分かっていればいいもん!
そう思っているうちに武器屋に着いた
俺たちは武器屋のドアを開ける
さて、武器屋の武器を買ったらどうなるか
楽しみだな