第四十七話「悲しみ」
「ん?」
目の前には見知った天井があった
俺の家だ
俺は急いで目を覚まし携帯電話の日付と時刻を確認する
朝の7時だ
しかも日付は一日経ったぐらいで何も変化はなかった
おかしい
あっちの世界では何日か経過してたのにこっちの世界では一日しか経過してない
それも8時間ぐらいしか……
俺は台所のキッチンへ向かった
「あ、母ちゃんおはよう」
「おはよう、用太郎」
「俺が作るよ、かわって」
「今日は私が頑張るからいいのよ」
「でも……」
「いいから用太郎はリビングで待っていなさい」
「分かった、今日はお言葉に甘えようかな」
「ええ、そうしてちょうだい」
今日の俺の朝飯はオムライスだった
母ちゃんの作るオムライスは美味しかった
「母ちゃん美味しい」
「でしょ! 結構頑張ったのよ」
「父ちゃんにも……食べさせてやりたかったな」
「用太郎……」
「あ、気にしないで」
俺はいつの間にか泣いていた
何であんなやつなんかのために泣いているんだろう
あいつは俺たちを置き去りにして勝手に死んだんだ
同情する余地はないし
悲しむ必要はない
「それじゃあ母ちゃん。行ってくるね」
「気を付けるのよ。用太郎」
「分かってるよ」
俺は学校へと向かった
今日の学校も何一つ異常はなかった
強いて言うなら火災探知機を鳴らして騒ぎを起こしたくらいか
さて、家に帰る
時刻は4時半
俺は家事をし
その合間にカードバトルオンラインをやっていた
「あれは……夢だろうか?」
いや、夢なんかじゃない
確かにあの世界は存在する
実際に現実世界のブラの電話番号を知っているわけだし
彼は入院中でもある
そういった根拠があるから夢だとは言えない
「ただいまあ」
時刻は9時を回った
母ちゃんがパートから帰ってきた
「あ、母ちゃん、今日はカレー作っといたよ」
「そうかい、用太郎、ありがとうねえ」
俺は母ちゃんに今日学校であった出来事を話したり
母ちゃんの職場であった話を聞いたりしていた
本当ならこの会話に父ちゃんが混ざってないといけない
何考えてるんだろうな俺
あいつは勝手に死んで俺たちに迷惑をかけた
さっきも言ったが同情する余地なんてない
「用太郎、どうしたの?」
「いや、今日見てたアニメのこと思い出してさ」
「そう、今度お母さんにも見せてね」
「ああ、もちろんだよ。母ちゃん」
俺はまた泣いていた
あんなやつのために流す涙なんてない
けど……泣いていた
時刻は11時を回った
「もうこんな時間か」
カードバトルオンラインをやっていると時間があっという間に過ぎていくのを感じる
俺は明日に備えて眠りにつく
「ん? ここは?」
目の前には見知った天井があった
グランガの宿の中だ




