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カードゲームで世界を救う!?  作者: ライプにっつ2
ゲームの世界と現実世界
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第四十六話「元の世界へ」


「アダム、僕の部下が申し訳ないことをしたね」

「いえ、いいんです。俺も半ば強引でしたし」

「僕の部下の中には現実世界にトラウマを持っている人もいるんだ」

「……」

「君の言いたいことは分かるけど理解してやってほしい」


 確かにそうなのかもしれない

 現実世界に戻るのが当たり前

 家族の心配をするのが当たり前

 よくよく考えてみればそれはエゴだ

 

 俺も彼らのことを理解するべきなのかもしれない

 元の世界に帰りたくない人たちの気持ちを……


「しかし、君はイレギュラーだな」

「え?」

「二度もこの世界に迷い込む人は初めて見た」

「……」

「ちなみにどうやってこの世界に来た?」

「寝てたら来てました」

「二度目も?」

「ええ」


 クレスは考えるような素振りをした


「しかし、現実世界の僕たちは植物状態か」

「ええ」

「だとしたら君も元の世界に戻ったほうがいいんじゃない?」

「どういうことですか?」

「またこの世界に来たということは君はまた植物状態になった」

「……!」

「そういう可能性もある」


 馬鹿だ俺

 よく考えてなかった

 この世界に来たということはまた俺は植物状態になったということ

 この世界に来て数日は経つ

 これはまずい

 急いで元の世界に戻らねば!


「そうでした! クレスさんもう一度元の世界に戻る手伝いをしてくれませんか?」

「その必要はなさそうだけどね」

「え?」


 クレスの考える素振りは続く


「これは推測の域を出ない話だが」

「……」

「君がこの世界で眠りにつけば元の世界に戻れるんじゃないかな?」

「……どういうことですか?」


 俺が眠れば元の世界に戻れる!?

 意味が分からない


「君のこの世界にたどり着く経緯を考えればの話だよ」

「……」

「来る方法も同じなら帰る方法も同じなはずだ」

「しかし、俺この世界だと眠れないんですよ」


 そう肝心なことを忘れてる

 俺はこの世界では眠れないのだ


「ちょっといいかな?」


 俺はクレスに連れられて宿に辿り着いた


「一回この宿に入ってみようか」

「どうしたんですか急に」

「いいからいいから」


 俺はクレスに促されるまま宿に入った


「!!」

「どうだい? 僕の予測だと今頃君にアナウンスが流れているはずだよ」


 クレスの予測は当たっていた

 俺の頭の中に

 ”宿のベッドで数分目を閉じると元の世界に帰れます”

 というアナウンスが流れたのだ


「その様子だと流れているようだね」

「……どうして分かったんですか?」

「あくまで推測の域は出ていないよ、ただ」

「ただ……」

「アナウンスはある条件を満たすと流れる。この世界ではそういう仕組みになっている」

「……」

「帰りたいと思う人にはその条件に見合ったアナウンスが流れる」

「ってことはつまり……」

「そう、君は元の世界に帰る条件を満たしているんだ」


 なるほど

 俺は一度元の世界に戻った

 そして、俺はまたこの世界に来ることが出来た

 そして条件は整ったのだ

 俺はこの世界と元の世界を行き来できる

 そういう条件が

 だから宿の中に入った瞬間にあのアナウンスが流れた

 そう考えると辻褄が合う

 しかし、クレスという人物

 とても頭がいいな

 そこに痺れる憧れるうううう!!


「クレスさん。ありがとうございました! これで元の世界に戻ることが出来ます」

「いや、いいよ。恐らく君はまたこの世界に来ることになるだろう」

「……そうですね」

「また会う機会があれば現実世界での状況を教えてほしい」

「はい!」


 俺は宿の部屋を借り

 ベッドにダイブし目を閉じた

 元の世界の俺はどうなっているのだろうか?

 また病院の中にいるのだろうか?


 そうなるとまた母ちゃんを心配させちゃってるな


 そうこう考えているうちに俺の意識は消失した

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