第三十四話「パーティーチャット」
ギルドにクレスが入ってきた
まさか目的の人物が直接俺の目の前に現れてくれるとは
これはチャンスだ!
「ああ、クレス様」
エディンを含めたギルド内にいる複数の人々が彼をそう呼んだ
彼の功績を尊敬してそう呼んでいるんだろう
今だ、ちょうどいい
彼にフレンド申請を送らねば
と思ったら彼からフレンド申請が届いた
彼も俺に用があるってか
ついでにパーティ申請も届いた
俺はそれを受諾する
”クレス:用太郎、仲渡、話がある”
チャット欄にクレスからパーティ指定でメッセージが届く
ちなみに俺たちプレイヤー同士は思念で会話が出来る
そういうシステムだ
ブラとも何度かやっていたがしばらくしたら飽きてやめてしまったな
”アダム:アダムでお願いします”
”ブラックドラゴン:俺もブラで頼む”
”クレス:じゃあ、アダム、ブラ、話がある”
前も言ったがこの世界ではお互いのプレイヤーの個人情報が丸見えなのだ
本名は勿論、性別、年齢、電話番号、住所まで
さすがに好きな食べ物とか趣味までは表示されないが
”ブラックドラゴン:ここじゃダメなのか?”
”クレス:ああ、僕たちプレイヤーだけの大事な話だ”
”ブラックドラゴン:このチャット欄じゃダメなのか?”
ブラはよっぽどミリーユのそばにいたいのかクレスに反論してくる
”クレス:それがいいならそれでも構わないが”
”アダム:俺はクレスさんと直接話がしたいな、なあ、ブラ”
”ブラックドラゴン:はあ、知るかよ、お前だけで行け”
毎回思うのだがブラって俺より子供じゃね?
21歳の大の大人が上記のような言葉を発したら皆どう思うだろうか?
やっぱ子供としか思えないよねえ
まあ俺は大人だしブラを怒らせるのも怖いのでそのことは表には出さないが
”クレス:もう一回確認するがブラ、君は元の世界へ戻るつもりはないんだね”
元の世界
俺の気になるワード発見!!
”ブラックドラゴン:ああ、そのつもりはない”
”クレス:僕たちSSSの組織にも入るつもりはないんだね”
SSS? まあ今はどうでもいいか
”ブラックドラゴン:ああ、そうだ”
”クレス:分かった、じゃあアダム、君に話がある”
”アダム:分かりました、クレスさん、あっちなみに”
”クレス:何だね?”
”アダム:ブラに餌カード上げました?”
”ブラックドラゴン:な!?”
”クレス:ああ、その通りだが”
やったーブラのマジックナイトリーダーがレベルMAXな理由がかっくてーい
名探偵アダム様の大勝利だ
”ブラックドラゴン:別に俺は欲しくてもらったわけじゃない”
”クレス:え?”
ブラよ…………堪忍しなさい
”アダム:まあ、その話は置いときましょう”
”クレス:あ、ああ”
”ブラックドラゴン:…………”
ブラよ
お前は何だかんだでクズニートだが友達だ
見逃しておいてやったぞ
”アダム:ではクレスさん行きましょう”
”クレス:分かった”
クレスはそのメッセージを受信した途端ギルドを出ていった
「ちょっと用事があるので俺出ますね」
「ああ、いいが」
アダムスが許可を出してくれた
俺もクレスと同じようにギルドを出ていった
ブラの殺気めいた視線を感じながら……




