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第三十話「黄金の戦士」




「大変だ! 魔物が攻めてきたぞ!!」


 オジサンのその言葉に俺たちは戦慄が走った

 一人を除いて


「はーいワンコちゃあんアダムスでちゅよお」


 どうやらコイツの耳には届いていないらしい


「おい! アダムス!」


 エディンが半ば叱責するかのようにアダムスに話しかける


「何だよお、今ワンコちゃんと戯れてるところなのにい!」

「魔物が攻めてきてるんだよ」

「へ? 魔物??」


 やっと気付いたか

 何かに夢中になるのって怖いね


「とりあえずここから出るぞ!!」


 俺たちは店の外へ出ていった


「な!?」


 俺の予想とは段違いだった

 通常街に攻め込んでくる魔物というのはゴブリンが主だと思っていたからだ

 しかし、攻めてきている魔物はどれも強力なやつらばかりだった


「アダム、ブラ、お前らのモンスターで何とかならないか?」


 いやいやいやいや無理でしょこれは


「大丈夫だ、ミリーユちゃんは意地でも俺が守ってみせるから」


 こんな時に口説いている場合かよブラ


「とにかくやれるだけやってみます」


 俺たちは”出でよ”と叫びそれぞれモンスターを呼び出した

 ヒュドラ、こいつには活躍してもらうぞ


 俺たちのモンスターは攻めてくる魔物たちと戦っていった

 ブラのモンスターは衝撃波を放ったり黒炎弾を放ったりしていた

 俺のヒュドラも負けてはいない

 だがやはりこの数には無理がある


「ミリーユ、ヒュドラにヒーリングを」

「あ、はい」

「ミリーユ、こっちのドラゴンも頼む」


 俺たちのモンスターはミリーユの援護を受けつつ何とか魔物たちに対処していった

 しかし、魔物の数が減ることが一向にない

 むしろどんどん増えていっているような気がする


「ミリーユ、ヒーリングを」

「ダメです、もう魔力が切れて使えません」


 ついにはミリーユのヒーリングも切れてしまった

 これはまずい!


「あわわわわわわ、俺のドラゴンが」


 一匹

 また一匹と

 俺たちのモンスターがやられていく

 最終的には全滅という形に追いやられてしまった

 

「ダメだ! これは逃げたほうがいい!!」


 アダムスが俺たちに指示を出した

 的確な指示だと思う


「糞! ミリーユちゃんだけは守らなくちゃ」


 一人だけ聞いていない馬鹿がいる

 こんなときに変なプライド見せるなよ

 死にたいのか

 とりあえずこいつにも逃げるように伝えないと


「ブラ、逃げるぞ!」

「うるせえ! 俺はミリーユちゃんを守るんだ」

「そんな呑気なこと言ってる場合か!」

「俺のこの気持ちを呑気という言葉で片付けるつもりか!」


 まずい! 魔物たちが俺たちの眼前に迫ってきている


「もういい、勝手に死んどけ」


 俺はそのまま逃げていった


 しばらく逃げたあと俺は立ち止まった

 まさか、本当にブラは一人で魔物たちの群れに突っ込んでいったのだろうか?

 もう死んでしまったのだろうか 

 俺は恐る恐る後ろを振り返った


 あれ?

 魔物たちがいない

 さっきまで大量にいたはずなのに……


 目の前には二人の人物が見えた

 一人はブラだ

 もう一人のほうは黄金の鎧に身を包んでいる

 彼は一体誰だ?

 いや、もしかして……




















 俺はミリーユちゃんを守るため一人で魔物たちと対峙していった

 死んでもミリーユちゃんを守る

 ミリーユちゃんを守ることが出来れば本望だ

 俺の頭の中は死の恐怖よりもミリーユちゃんを守ることで埋め尽くされていた

 アダムは俺に逃げろという

 確かに逃げたほうがいい

 だが俺の優先順位は自分の命よりミリーユちゃんだ

 俺はそれぐらいミリーユちゃんを愛している


 意地でも守ってやる

 だがそんな俺の意思とは裏腹に魔物たちは俺を吹き飛ばす


「ぐほっ!」


 俺は吹き飛びその場に倒れ込んだ

 魔物たちがそれに追撃するかのように俺に近づいていく

 ああ、死んだな

 俺はそう思っていた

 俺は死の覚悟を決め目を閉じた


「ん?」


 魔物たちの気配がない

 それと同時に俺の目の前にはとある人物が見えていた


「お前は……」

「やあ、ブラ、久しぶりだね」


 クレスだった

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