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第二十四話「アダムスの復帰」

 ジャイアントスパイダーリーダーの討伐

 結論から言おう

 簡単だった


 特にブラのモンスターの活躍が凄まじかった

 彼は衝撃波を扱えるレベルMAXのマジックナイトリーダーに

 黒炎弾を扱えるドラゴン二体


 勝負は既に見えていた

 ジャイアントスパイダーリーダーたちはそれらを前にしてゴミクズのように消え去った

 さすが、チート選手権トップ候補のブラさん

 容赦ないぜ 


 しかし、これではアダムスがあまりにも不憫だ

 彼は気絶するほど頑張ってまで戦士の意地を見せてくれた

 そんな彼が苦戦した依頼をブラのモンスターがラクラクとこなすのを目の前にしていたら

 今頃絶望していたことだろう


 このことは言わないほうがいいだろう

 アダムスのためにも


「ただいま」

「あらお帰りなさい、早いわね」

「まあちょっとね」

「俺のモンスターの活躍のおかげであっという間だったよ」

「……そうですか」

「ブラ、ちょっと来い」


 俺はブラの耳を掴んで引っ張った


「いてててて、どういうつもりだよ」

「ミリーユを落胆させることは言うなよ」

「俺、何か悪いことでも言ったか?」


 こいつは何も分かっていない

 空気を読むということを知らない

 だからニートなんだよ

 いい加減気づけ


「お前、アダムスの頑張りを踏みにじるつもりか?」

「俺、そんなこと言ったか?」

「はあ……お前ってやつは」

「何?」

「もういい」

「何だよおおお!!」


 俺はミリーユの方に向き直り

 彼女に近づいて言い放った


「アダムスの容体は?」

「まだ目覚める様子がありません」

「……そうですか」


 辺りはすっかり夜だ


「ミリーユさん、俺が代わりに様子を見ますよ」

「いいんですか? ジャイアントスパイダーリーダー討伐で疲れてるのでは?」

「大丈夫です、俺寝なくていい体質なんで、それにミリーユさんも疲れてるでしょう? 休んでいてください」

「はあ」


 っていことで俺がアダムスの様子を見守ることになった

 アダムスの顔色は悪かった

 本当に大丈夫なのか? これは

 まさか死んでるとかじゃ……


 念のためアダムスの心臓に耳を当てる

 大丈夫だ、彼の心臓は機能している


 俺は徹夜でアダムスの様子を見守った


 朝


 一向にアダムスが目覚める気配がない


「アダムさん」


 ミリーユが部屋の中に入ってきた


「ミリーユさん」

「アダムスの様子は?」

「ダメです、目覚める気配が全くありません」

「まあ、あれだけ無茶をしていましたからね」

「これ、ミリーユさんのヒーリングで何とかならないんですか?」

「残念ですが私は気絶まで治すヒーリングは扱えません」

「……そうですか……」

「代わりましょうか?」

「いえ、このまま様子を見守り続けようと思います」

「でも、寝てないんでしょう」


 ミリーユが心配した様子で尋ねる


「前も言いましたが俺、寝なくていい体質なんです」

「……分かりました、でもきつかったら言ってくださいね」

「はい」


 ミリーユが部屋を出て行く

 俺はアダムスの様子を見守る

 そんな生活が何日か続いた

 徐々にだが彼の顔色が良くなっていることが分かる


 ある日


「ん?」


 アダムスが目を覚ました


「アダムスさん!!」

「俺は……一体……」

「ジャイアントスパイダーリーダーを倒したあと、あなた倒れてたんですよ!」

「そうか」

「エディンさんが言ってましたよ”こいつはいつも無茶ばかりする”って」

「そうだったな、自覚しているよ、俺は無茶ばかりする馬鹿人間だって」


 アダムスは感傷に浸っている様子だった


「でもブラはあなたのことを褒めていましたけどね」

「そうか、それなら良かった」

「大丈夫ですか?」


 アダムスがベッドの上から起き上がろうとしていた


「ああ、大丈夫だ、それより皆は?」

「依頼を受けに行ってますね、そろそろ帰ってくる頃かな?」

「とりあえず腹が減ったな、何か食べるものが欲しい」


 俺たちは宿の食卓へと向かった

 そこには偶然、エディンとブラとミリーユの姿があった

 ブラがミリーユと楽しげに話している

 こいつらまた仲良くなったのか

 前も思ったがブラはニートの癖に妙にコミュ力がある

 そこは俺も見習わないとな


「あ、アダムス!」


 エディンのその声と同時にブラとミリーユも彼の方へ向き直った


「済まないな、迷惑をかけちまって」

「全くお前は無茶をする」

「ごめんな、それが俺の性格なんだ」

「まあ、無事で何よりだよ」


 丁度皆揃ったことで俺たちは食卓を囲みワイワイガヤガヤと騒いでいた

 とにかくアダムスが無事に回復してくれて良かった

 俺はそれに安心しつつ食事を口に運ばせるのだった

 味は分からないけどね

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