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第二十二話「アダムスの意地」

 俺たちはジャイアントスパイダーリーダーを討伐しにギルドサービスの車に乗った


「アダムスさん、本当にいいんですか?」

「ああ、アダムとブラはそばで見守るだけでいい」

「はあ」


 アダムスの目は真剣だった

 本気でやるつもりなのか

 あのジャイアントスパイダーリーダーを複数相手に

 一人で……


 目的地へ辿りついた

 森だ

 俺たちは森の奥へと進んでいく

 しかし、妙な森だ

 嵐の前の静けさと言ったところか


「いたぞ!!」


 エディンが叫び声をあげる

 エディンが見た方向を見るとジャイアントスパイダーリーダーの群れが俺たち目掛けて突進してきた


「よっしゃ行くぞ!!」


 アダムスは一人でその群れに突っ込んでいった

 いくらなんでも一人じゃ無茶だ

 と思っていたが対等に戦っていた

 敵の急所を的確に斬りつけている

 どうやら俺は彼を見くびっていたようだ

 彼も立派な戦士

 それを今俺たちに証明しようとしている


「糞! アダムスの戦いぶりを見ていたら俺の血も燃え上がってきたぜ!!」


 そう言ってエディンもジャイアントスパイダーリーダーの群れに突っ込んでいった


「ミリーユ! ヒーリングを!!」

「あ、はい分かりました」


 ミリーユが体力が落ち傷ついたアダムスにヒーリングをかけた


 しかし、対等と言ってもこの数だ

 次第に二人は劣勢になっていった


「う、うわああああああ!!!」


 エディンの目の前にジャイアントスパイダーリーダーが迫る

 これはまずい

 このままではエディンが


「あれ?」

「何をしているエディン! 油断するな」


 何とアダムスがエディンをカバーしたのだ

 ただでさえ厄介な敵を前にして仲間を庇う余裕を持っていたなんて

 信じられない


「助かったよ アダムス」

「それより敵に集中しろ」


 ミリーユが二人にヒーリングをかけ

 エディンとアダムスも見事に連携して戦っている

 しかし、エディンとアダムスの動き

 彼らには大きな違いがあった

 いつもエディンがピンチになりそれをアダムスが庇う

 アダムスのその動きはまるでバーサーカーと呼べるものであった


 しかし、状況は劣勢

 そろそろ支援しないとまずい


「出でよ!」

「やめろ! アダム」

「しかし!」

「言ったろ、俺たちだけで何とかするって」


 アダムスが俺の援護を断った

 彼は本気だ

 エディンは疲れきったのか

 ジャイアントスパイダーリーダーの群れを抜け出してきた

 アダムス一人だけで戦っている

 勝負は見えたようなものだった


「うおおおおおおおおおおお!!」


 アダムスが突然大きな叫び声をあげる

 その叫び声と同時に彼の動きに変化が現れた


 今までも充分すごかったが

 彼の動きがさらに一段と向上している

 やはり彼はバーサーカーだ


「ミリーユ! ヒーリングを!!」

「あ、はい!」


 俺たちは彼の戦いぶりを見守っていた


「これで……最後だあああああああ!!!」


 アダムスが最後の一匹のジャイアントスパイダーリーダーに止めをさす


「依頼達成」


 発信機から声がした

 まさかほんとにあの群れを一人でやっつけるなんて……


「やった! やったぞ!!」


 アダムスはジャイアントスパイダーリーダーの群れを倒した達成感に浸っているのか歓喜の声をあげた


「どうだ、これが戦士のそ……こぢ……か」

「アダムス!!」


 アダムスがその場に倒れ込んだ

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