第二十一話「黒歴史」
「う~ん、残念アダムさんの女装姿もっと見たかったのになあ」
「いや、もう勘弁してください」
「まあいいか、これがあるし」
「な!?」
ミリーユが俺に写真を見せびらかした
その写真には舞台の中央の道をトボトボと歩く俺
そして審査員の前で思わずしゃがみ込んでしまった俺の姿が写っていた
「これ私の女装男子コレクションに加えちゃおうっと♪」
「そ、そんなあ……」
これで俺の黒歴史が1ページ増えたわけだ
恥ずかしいが他にもある俺の黒歴史をちょこっとだけ紹介しておこう
中学校一年生の頃
自習中だった俺たちクラスは先生をはめようとドアの上に黒板消しを設置するというメジャーな罠を仕掛けた
もちろん提案したのは俺だ
だが俺は途中でトイレに行きたくなってドアを開けてしまった
要は自分の罠に自分がかかったわけだ
あまりの尿意に自分の罠に気づかなかった
頭中白い粉だらけの俺……
それでクラスは大爆笑の大嵐となったわけだ
それともう一つ
俺は嫌いな先生にダイナミック浣腸をお見舞いしてやろうと先生の尻を背後から狙った
「うっひょひょひょひょおおおおおおお!!」
という奇声をあげながら思いっきり飛びかかったが
先生が偶然それを避けてしまい
その先にある階段を転げ落ちてしまった
あの時はマジで死ぬかと思ったね
幸い打ちどころが良くて軽傷ですんだわけだが
その時その先生にガチで心配されて
ああ、この先生も根は悪い奴じゃないんだなあと自分の中で思い直したっけな
まあだいたいこんな感じだ
他にも黒歴史はあるがこの辺にしておこう
恥ずかしいし
「皆、話がある」
急にアダムスが重い声で俺たちに話しかけた
「何だ? アダムス」
エディンが聞き返す
「俺たちアダムとブラに頼りっぱなしで全く頑張っていないと言えないか?」
「それはそうだが……」
「そこでだ、今度の依頼は俺とエディンとミリーユ三人だけでこなしていきたいと思う」
唐突な提案だな
「別に構わんがその依頼はどうするんだ」
「ジャイアントスパイダーリーダーの討伐」
「な!?」
エディンは驚いた様子だった
俺も驚いた
ジャイアントスパイダーリーダーはレア度3コスト8の強力なモンスターだ
それを俺とブラを使わず三人だけでやろうというのか?
「そんな無茶だ!!」
「無茶でもやるんだ」
「俺は反対だ」
「じゃあ俺一人だけでやる!」
アダムスのこの言葉に俺を含めパーティの皆が驚いた
「ふんっ! 勝手にしろ! 死んでも知らんぞ」
ということで俺たちはジャイアントスパイダーリーダー討伐の依頼を受けた
まさか本当にアダムス一人だけでやるつもりなのか
俺たちは不安で不安で仕方がなかった




