第二話「地道な作業」
「”カードゲームの世界へようこそ”」
俺、アダムこと新垣 用太郎はよくわからない状況に立たされていた
辺りは平原
目を瞑るとゲームのメニュー画面が開く
もしかして俺はゲームの世界の中に入っちゃったんじゃね?
「おおっアダムじゃねーか」
ふと辺りを見渡す
そこにはブラックドラゴンがいた
ああブラックドラゴンは前も言ったがユーザ名で俺のネトゲ仲間だ
「おおっブラックドラゴンか」
ふと瞬きすると彼の情報が入ってきた
ユーザ名ブラックドラゴン、本名市松仲渡
って個人情報ダダ漏れじゃねーか
「へえ、お前新垣 用太郎って言うんだ」
彼も俺の情報を読み取ったらしい
「それよりもどうなっているんだ?」
俺は彼に今のこの状況を聞き出した
「俺もわからん、朝になったと思ったら急にこの平原に立ってたんだよ」
どうやら彼も俺と同じ状況に陥ったらしい
「とりあえずここにいても仕方ないしどこか行くか」
「そうだな」
俺たちは適当に歩くことにした
しかし
「あれ?」
足は動く
動くんだが
妙に動きが遅い
スローモーションといったところか
「どうなってるんだ?」
仲渡も同じくスローだった
俺は目を瞑ってゲームのメニュー画面を見た
そして気づいた
普通のモンスターコスト画面のタグの他にもう1つコスト画面がある
そこには人体コストと書かれていた
能力値も書いてあった
体力1
素早さ1
攻撃力1
精神力1
「何だこりゃ?」
仲渡も気づいたらしい
「仲渡、これは推測なんだが」
「ブラと呼べ」
俺はゲーム内ではいつも彼ことブラックドラゴンを”ブラ”と呼んでいた
「そうだな、それでブラ、これは推測なんだが」
「何だ?」
「俺たちのこの鈍い動きは恐らく素早さが関係しているんだろう」
「確かにそうかもな」
しかし、それがわかったところでどうすることも出来ない
俺はどうしたらいいか迷っていた
動きが鈍いのは何かと不便だ
「あああ!!!」
そう言うとブラが驚いた様子で声を上げた
「どうしたブラ?」
「買い物欄の売れる一覧を見ろよ」
俺は言われた通りに見る
そこには
草100g1G
石100g1G
と書いてあった
「今俺たちがいる場所にいるのは平原だ」
「ああ」
「草と石を拾って売って”瞬足”っていうカードを買って人体コストに設定すれば速く動けるようになるんじゃないか?」
「瞬足?」
「買い物欄の買える一覧を見ろよ」
俺は目を瞑って確認する
確かに”瞬足”というカードが売られていた
しかも1Gだ
「そうと決まれば早速草むしりだ」
俺たちは浸すら草を集めた
「おっ!」
ブラが声を上げる
「どうした?」
「草がカードになった」
確かに彼の手にはカードが握られていた
「おっ俺もだ」
俺たちは早速”草”というカードを売り
”瞬足”というカードを買って人体コストに設定した
「おっ少し速く感じたな、アダムはどうよ」
「俺も同感だ」
「よしこのまま続けるぞ!!」
俺たちは再び草むしりの作業に戻る
地道な作業だが今はそうすることしか出来なかった