第十七話「仲直り」
「ミリーユさんヒーリングを! ブラが……ブラが!!」
「ん?」
「あっ気が付いたようね」
俺の目の前にはエディンとミリーユがいた
「あっ! アダムとブラは!?」
「隣の部屋にいるわよ」
「あれからどうなった?」
「……」
ミリーユは黙りこくっていた
「実は……」
「いいわ、エディン、私から話すわ」
ミリーユがエディンの言葉を遮った
「アダムが血まみれのブラを抱きかかえて私たちのところに戻ってきたの」
「え……」
俺は言葉が出なかった
「ごめんなさい、私のせいなの、私がブラに酷いこと言ったから」
「ミリーユ、気にする必要はない、あの時は誰だってあんな言葉をかける」
エディンがミリーユをフォローする
「それでブラはどうしたんだ?」
「ヒーリングで何とか傷口を塞いだけど未だに意識は戻ってないわ」
「ブラが休んでいる部屋に行こう」
「アダムスは休んで」
「いや、俺はもう大丈夫だ」
「そう」
俺たちは隣のアダムとブラがいる部屋に向かった
「ん? ここは……?」
「気が付いたか」
目の前にはアダムがいる
「俺……死んでなかったのか……ハハハハハ」
「……ふざけるな!!」
急にアダムの声色が荒くなった
「お前は最低な屑やろうだよ、周りに迷惑をかけやがって」
「……」
「お前に人生で一番してはいけないことを教えてやろう」
「……」
「それは……自殺だ」
「……」
「お前はニートでだけでなく、自分の命を絶つというとんでもないことをしてくれた、もう一度言うお前は最低な」
「うるせえ!! 俺だって……俺だってなあ!!」
俺たちは互いの感情をぶつけ合った
ぶつけにぶつけ合った
それで分かったことがある
こいつも俺と同じだっていうことが
俺はブラを見直した
こいつはただ親の金をかじる糞ニートだと思っていた
だけどこいつの過去を聞いて納得がいった
ニートの言葉に”俺は悪くねえ、社会が悪いんだ”というものがある
俺は最初、その言葉を馬鹿にしていたが
ニートの中にもブラのように苦しい思いをしてきたものたちもいる
そう思うと責めることなんてとてもじゃないができない
「でさっそいつは何て言ったと思う?」
「何だ」
「俺は何も言ってないってさ」
「ギャハハハハハ」
「ブラ! アダム!!」
急にアダムスが俺たちの部屋の中に入ってきた
ノックくらいしようぜ
「アダムスさん体調は大丈夫なんですか?」
「ああ、それよりブラは」
「見ての通りですよ」
「良かったあ」
アダムスは安心した様子で俺たちにこう言い放った
「二人共、もう喧嘩するんじゃないよ」
「分かってますって」
「それじゃあ二人の仲直りのお祝いとしてパーティでも開くか」
「え? ほんとですか!?」
「俺は嘘は付かないよ」
こうして俺たちはパーティを開くことになった
「二人の仲直りを祝ってえ、乾杯!!」
「カンパーーーーイ」
アダムスが乾杯の音頭を取る
「ミリーユちゃん、あの時はごめんな」
「こちらこそ酷いこと言ってごめんなさい」
この二人の関係も修復しつつある
応援しているぞブラ
俺たちは夜になるまで飲み明かした
とても楽しいパーティだったよ、うん
飯の味は分からなかったけどね
そんなこんなでパーティは終了し
皆、就寝しに部屋に戻る
俺は寝る必要がないので軽い依頼でも受けようと思い宿を出ようとした
そこに丁度ブラがいた
「おう、ブラじゃねえか」
「アダム、話がある」
そういえばこいつとちゃんと元の世界についての話をしていなかったな
またレアカードゲットしたあって話だったら怒るぞ
「何だ?」
「俺は他のプレイヤーと会ったことがある」
「え?」
俺は耳を疑った




