第十二話「ブラのチート疑惑」
アダムの……お便りコーナー!!
パチパチパチパチパチイ
さあやってまいりましたアダムのお便りコーナー
皆さんのご愛顧を受けて現在も続いております
誠に感謝の極みであります
このコーナーではリスナーの皆さんのカードバトルオンラインについてのあんなことやこんなこと
疑問に思ったことなどをお便りとして紹介いたします
それでは早速をお便りを紹介していきましょう
まずは岩手県(仮県)在住のみつひこ(仮名)君から頂きました
何と彼、サッカージュニア大会で金メダルを獲得したそうです!
おめでとうございます!
では彼のお便りを拝見します
「前回アダムさんはみゆさんのお便りの回答で排泄はしないとおっしゃいましたが性欲などもないのでしょうか?」
なるほど的を得た質問です
答えから言いましょう
答えは
「YES」
です
というのもこの世界では三大欲求は制限されているように思います
試しにAV女優を思い浮かべて自分のアソコをいじったこともありましたが
全然起つ気配がありませんでした
ただブラがミリーユに下心丸出しで接している以上
プレイヤーによって個人差があるのかもしれません
何か下品な話になってしまいましたね
このラジオは子供も聞いているので自重しなくては……
ということで答えは”性欲はない”ということになります
続いてのお便りは
おお! またみゆちゃんからです
いつもご贔屓にしてもらってます! 感謝です
それでは彼女のお便りを拝見していきましょう
「スライムは脱糞するの?」
……唐突な質問ですね
まずはスライムの体の構造から考えていきましょう
皆さんはスライムと聞いて何を想像するでしょうか?
現実世界のドロドロヌメヌメとした液体を想像する人もいるかもしれません
ですがこの世界のスライムはそれとはかけ離れています
そうですね
例えるなら某ゲームのスライムに近いと言えるでしょうか
では質問の真意に迫ります
スライムに脱糞する穴はあるかどうか?
もう分かりますね
ありません
個人的にはスライムの脱糞シーンがあるなら見てみたい気もします
尚、現在、他の魔物の脱糞状況については調査中ですのでおって報告したいと思います
みゆちゃーん、聞いてますかー?
スライムは脱糞しないんですよー
これで一つ賢くなったね!
さてアダムのお便りコーナー
これにて終了です
これからも皆さんのお便りをじゃんじゃん募集します
お便りくださいねー
それでは皆さん、アデュー
という夢を見た
全く変な夢だ
そう言えば昨日俺は数名の輩に囲まれた女性を助けた
ここでも俺のスライムちゃんが活躍した
スライムちゃんはそのムッチムチなボディーで輩どもに体当たりし撃退してくれた
ただ、なぜか女性も悲鳴をあげて逃げ出した
そんなに俺のスライムちゃんが怖いのか?
まあ別にいいけどさ
朝
朝食を食べに食卓に集まるとそこにはブラの姿があった
「!!!」
俺は驚いた
なぜならブラのステータスが異常だからだ
まずは自分のステータスから確認する
体力22
素早さ22
攻撃力16
精神力15
人体コスト68/100
スライムレア度1コスト2レベル31
ジャーガリアンナイトレア度2コスト6レベル31
ボーンスカルナイトレア度3コスト7レベル31
スカルナイトリーダーレア度3コスト8レベル31
モンスターコスト23/100
対するブラのステータスは
体力35
素早さ33
攻撃力25
精神力30
人体コスト70/100
異常としか言い様がない
俺が二晩かけて上げた能力値を
ブラは一晩で追い抜いていったのだ
それだけじゃない問題はモンスターだ
マジックナイトリーダーレア度3コスト8レベル70
衝撃波レア度3コスト4
モンスターコスト12/100
カードバトルオンラインではレア度ごとにレベルの上限も決まっている
レア度1なら50レベ
レア度2なら60レベ
レア度3なら70レベ
レア度4なら80レベ
レア度5なら90レベと
ブラは一晩でマジックナイトリーダーをレベルMAXまで引き上げたのだ
チートを使っているとしか考え様がない
もしもしブラさん? チート使ってますか?
「アダム、良かったな」
「ん? 何が」
「お前アナウンス見てないのかよ」
俺は目を閉じゲームメニュー画面を開きチャット欄を確認する
アナウンスが流れている様子がない
「流れてないけど」
「そうか、まあいいお前に教えてやろう」
ブラは説明してくれた
どうやらこの世界ではレベルMAXの同種のモンスター同士を合成させるとレベルの上限が一つ上がるんだそうだ
「それだけじゃない」
ブラはさらに説明してくれた
精神力25からヒーリングが使えるようになり
精神力30から初級の攻撃魔法が使えるということ
ヒーリングは一回使うたびにMPを5消費し
初期魔法は一回使うごとにMPを10消費するそうだ
MPは精神力に依存するためそう長くは使えそうにないが
「まあ良かったな、アダム、これでお前の最弱モンスターも強くなれるんじゃないか?」
ブラはそう言いながらギャハハと笑った
嫌味なやつだな
最も俺も彼の恋人を寝取ったようなものだからな
恨まれても仕方がない
俺たちは食事を終わりギルドへと向かった
「これからドラゴンを討伐する!!」
アダムスがパーティの指揮を取る
「ドラゴンは我々にとって初めての相手だ」
「……」
「しかあし、この二人の召喚魔術師の力があれば倒せない相手ではないだろう」
おいおい少し他力本願じゃないですか?
まあいいけど
「それでは出発する」
ドラゴンはカードバトルオンラインの中でも無課金、初心者殺しとして強力な相手でもあった
多分、それはこの世界でも変わらないだろう
本当に倒せるのだろうか
でもブラのレベルMAXマジックナイトリーダーがいるから大丈夫か……
何か強力な補助カードも入っていたし
って俺も他力本願になってしまったな
俺たちはドラゴンを討伐する
どうか死にませんように
俺はそう願いながらギルドサービスの車に乗り目的地へと向かった




