閑話「クレスとエレーナ中編」
「そこの貴方、大丈夫ですか?」
巫女姿の女性が問いかける。
「え、あ、はい、大丈夫です」
「何故、こんなところを一人で? それに軽装ですし」
「ええと」
「とりあえず、ここはブラックドラゴンの住処なので危険です。私の白虎に乗ってください」
「え、あ、はい」
僕は女性が使役しているであろう白虎に乗り、ブラックドラゴンの住処から離れた。
――。
「白虎、止まりなさい」
巫女姿の女性の指示で白虎が止まる。そして、女性が白虎から降りたので、僕も降りることにする。
「ここまで来れば安全でしょう」「あの」「はい?」「助けて頂いて有難う御座います」「礼には及びませんしかし」「しかし?」
巫女姿の女性は顎に手を当てて、僕を見つめながら
「何故、あんな危険な場所に軽装で一人で赴いたのか? それが気になります」と問い詰める。
「それは、その」「死ぬ気だったのですか?」「え?」
この女性。鋭い。まあ雰囲気からしてそうは思ったけど。
「何故、僕が死ぬ気だったということが分かるのですか?」「目を見れば分かります」
なるほど。目を見て人の感情を察するとは、やはり鋭いな。
「逆に聞きたいのですが」「はい?」「何故、僕を助けたのですか? しかも何故、僕がここにいることが分かったのですか?」「ただ単に心配だっただけです。なので、失礼ながら後を追いました」「はあ」
しばらく沈黙が続く。
「私は何故、貴方が死ぬ気なのかは分かりません。ですが」「ですが?」「命を粗末にするのはおやめなさい」
その叱責に僕は何も返せなかった。
「そう言えば名乗っていませんでしたね。私はエレーナと申します。貴方の名前は?」「僕はクレスと言います」「ではこれからよろしくお願いしますね。クレス」「へ?」
よろしくって?
「私の直感が貴方を助けろと言っている気がするのです。だからよろしくお願いします」「はあ」
こうして僕はエレーナと旅をすることになった。




