第四話:気になるあの人は悪者かもしれない
第四話
「はい、あーん」
「…あーん」
茂木…いや、モテ期ね。
モテがいきなりやってくるって超不思議な話だねぇ。
気になるあの子が全員俺の事を好きになったとか、空から女の子が振ってきて俺のことを好きになったとかじゃないよ?
何だろう、簡単に言うなら既成事実を作られたのか?
すっぽんぽんの女の子(自称、女の子だ)が四月二十四日の朝に隣で寝ていたのよ、うん。
この言葉が一番的確に原因を説明しているのかな。
「…責任、取ってくれるよね?」
シーツを纏って身体を隠したその女の子(二十は超えているはずだ)…確か、名前は闇雲紗枝さんだったか。
サイドテールの女の子(二十歳超えて女の子…)だ。
身に覚えが無いのだが、色々と破かれた(タイツとか、スーツが)ものを見ると俺がやったんだろうかなぁ…。
問題はあるんだよ。
「ほぉら、あーんしてるんだから口を開けてよ」
「…あの、先生」
そう、この人先生なのだ。
確か、教育実習生だったかなぁ…。
「他の生徒も見てますよ」
「見たい人には見せてあげて」
教育実習生の割には態度がかなりでかい気がするんだ。
初日からかなり揉めてたとか聞いたし。
「見せてると興奮しない?」
「俺はそう言う性癖ないんですけど」
「わたしもない。でもね、わたしには冬治君しか見えてないから」
ほほ笑む紗枝先生にため息しか出なかった。
おかしい、記憶が全くないのだ。
下手にお金を持っている為か、この事を注意してくる先生なんて一人もいなかった。金の力は羨ましい…不祥事起こってもねじ伏せますわよなんて紗枝先生が言っていた。
俺も金の力欲しいなぁ…じゃなくて、だ。
「わたしと籍を入れたら望むまま、よ?世界の半分をプレゼント」
「どうせ罠なんでしょ?」
どうにかして紗枝先生との関係を絶つ事が出来ないだろうか。
俺の孤独の戦いは今日始まったばかりだ。
さて改めまして作者の雨月です。今回の方向性は光、水、火、風、土だったりします。矢光という苗字を嫌ったため、葉奈の表記は風間だったりします…あと、別の理由で。今後の事は何ら考えていませんが続けられるだけ続けようかなーと思いますので前作、全前作から読んでくれている人、今作から読んでくれている人をがっかりさせないように、打ち切ってしまわないようにしようと思います。