第二話:気になるあの子は○○デレかもしれない?
第二話
中学時代にそれまで家族と言える存在が母だけだった俺の元へ、どこの馬ともしれぬ妹と、見知らぬおっさんが入りこんでくれば動揺すると言う物。
そして、その妹がヤンキーだったからこれまたぶったまげた。
妹って可愛い存在だと思ってたよ…この事を以前学園で出来た友人に相談すると『妹なんてうるさいだけよん。がんばってね、お兄ちゃん』と言われた。
こっちから歩み寄ろうかと思った矢先、新しく出来た父親とやらから言われた。
「葉奈ちゃんは凄くデリケートなお年頃なんだ…だから、冬治君、君に一人暮らしをしてほしいんだ。お金は僕が払うから」
久しぶりにブッ飛ばしたくなる人間にあった。こんな奴が父親に成るのかと思うと正直、反吐が出る。
新しく出来た父親は闇討ちするとして、一人暮らしをさせてもらった事には感謝している。
ヤンキーな妹の顔なんて見たくない。
「…硬派な感じだったなぁ」
長いスカートに、女子生徒の制服の上から長い学ランを羽織っていた。髪はぼさぼさで切れ長の瞳、木刀も握りしめている。
転校一日目、一人暮らし三日目。
家に帰るとヤンキーが扉の前でうんこ座りしてた。
数は一、何処かで見た事があると思えば戸籍上の妹だった。
「どいてくれよ」
心の中ではぶん殴られるんじゃないかとびくびくしながら口から言葉を吐く。
勿論、相手に気取られないように声音は平常通りだ。堂々としていなければなめられるからな。
男の意地みたいなものだ。
「ごめん」
あっさり相手はどいてくれた。鍵を開けて中に入ると、ついてきた。
「何か用か?」
「話があるんだ、兄さんっ」
両腕をしっかりと押さえつけられた。そのままヘッドバットされるのかと思ったぜ。
「話?」
「あ、ああ。ちょっと兄さんは勘違いしていると…あたしは憧れの兄さんの前だと言うのになんつーはしたない事をっ」
慌てて両手を離してあたふたしている。
な、なんだ一体この子は…。
「いつものあたしだ。いつものあたし…っしゃー」
両頬が腫れるほどはたいて気合を入れているようだった。
「兄さんと一緒に暮らしてぇんだ。それを許してほしいんだっ」
やたら男らしい…いや、漢らしい娘さんだった。
「あたしは兄さんに心を打たれたんだ。これは運命…いや、宿命だって思っている」
嫌な話だ。
「心を打たれたって…初対面じゃないのか」
「いいや、兄さんに一度…二度は助けられてんだ」
良く意味がわからなかった。
「五歳のときと、先月だ」
「先月?」
「ともかく、一緒に住むって決めたんだ。今日からよろしく」
そういって一つの部屋に入って行った妹…葉奈を見かけて首をかしげる。
「はて?」
どうやら、勘違いをしているようだ。