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第十三話:気づけば彼女が

第十三話

 学園に言っている限り、やっぱりテストはあるもんだ。

 馬水さんも、七色も、友人そして俺も全員が中間テストを乗り越えた。

「死んだ」

「おわった」

「おかしい…良くつるむ友人ならせめて片方が超優秀って設定が多いはずなのに俺の友人二人組は机に突っ伏して涙を流している…」

 乗り越えたなんて言葉はこの場合適切ではない。俺がもうちょっと言葉を知っていれば『満身創痍でうんたら』『敵と相打ちになった』といった言葉を使わなくてもよかっただろう。

 只野友人、七色虹は十中八九追試は免れないだろうな。偉そうな事を言っている俺も危なかった。胴体着陸と言えばある程度納得してもらえるかな。

「冬治君はテスト、どうだったの?」

 成績優秀の俺の彼女から後光を感じ取ることが出来る。

 全く及ばない俺の友達二人はあまりの眩しさに目を伏せていた。サングラスはどこだろうと鞄の中に手を突っ込んで探している。

 サングラスを探すより先に返答しておいた。

「勿論、駄目だったよ」

 テストの話はこれで終わりだ。これ以上、苦しみを他人に投げかけるのは非常によくない。

 そんな通過儀礼の週の休み、俺と雫さんは一緒に水族館へと向かっていた。

 男女二人でお出かけだから単なるデートだ…ドキドキしっぱなしの二人きり。

「どんな動物が好き?」

 俺のことを好きだと言う女の子に極力引かれないような、それでいて個性がありそうな動物をチョイスしたいと思う。

 つまりは珍獣辺りを狙っていけばいいだろう。年に一回テレビに出るかでないか…そんなお笑い芸人辺りを狙えばいいのだ。

「…ソレノドンかな」

「冬治君…これから水族館に行くんだからクラゲとかって答えてよー」

「ごめん」

 クラゲって動物かしらん。水分九割のぶよぶよした奴が動物なら空気九割の生命体が居てもいい気はするよなぁ…。いるのかもしれないけどさ。

 水族館内はちょっと暗めだし、イルカショーもついでに見る事が出来た。俺にだけ水をぶっかけた事は絶対に許さない。

 太平洋辺りで再会した時は討伐したいと思う。

「今日は楽しかったね」

「うん、最近熱くなってきてたからなぁ…また水族館行く?」

「今度はまた別の場所がいいな…海とか」

 上目遣いでそんなことを言うのは反則である。

 脳内が急激に活性化されて行き、約二秒で雫さんが水着姿に変わっている…もちろん、頭の中でだ。水泳の授業でちらりと見たことあるけど、なかなかいいプロポーションをしていた。その筋の話によるとたった一年で更にいい感じに仕上がっているらしい…是非、確認してみたいと思う。

 そんな雫さんを見る事ができるのなら俺は…。

「刺されてもいい…」

「え」

「ううん、何でも無い。じゃあさ、期末テスト終わったら一緒に行かない?」

「うんっ」

 二人で約束するなんて恋人っぽい。実際に彼氏と彼女だ。しかも、ラブラブ相思相愛ときた。

 ま、兄妹とか、姉妹とかそこら辺でも約束はするけどさ。

「あいたっ」

「雫さん…大丈夫?」

 のろけていたのが悪かったのか、それとも神様が嫉妬したのかは知らない…雫さんが転んでしまった。

 転んでひざをすりむいたようだった。

 偶然、ハンカチを持っていたのでそれで傷口を拭くと驚いていた。てっきり、俺がハンケチを持っていた事に驚いていたのかと思った。

「え、いいよ、大丈夫っ。汚れちゃうっ」

 凄い抵抗だった。目が泣きそうだし、最初は居たいのかとも思ったよ?どうやら、俺のハンカチーフが汚れる事を心配しているようだった…信じられない事に、本気で。

「気にしないでいいからっ…痛む?」

 軽く当てるとちょっとだけ眉をひそめていた。

「だ、大丈夫」

「うん、まぁ、軽いから大丈夫だと思う」

 ハンカチを治そうとしたら凄い勢いで奪われた。

「あ、洗って返すよ」

「気にしなくてもいいのに」

「私が…気にするからっ」

 顔を真っ赤にして、ハンカチをしまい込んだ。

 うーむ、女の子の膝をハンカチで拭いてあげるのはそんなに恥ずかしい行為ではないと思うんだけどなぁ…。


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