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3.虫退治(表)

1歳になった。


片言ながら言語が理解できるようになり、多少動けるようにもなった。そこで集めた情報を統合すると、どうやら私は剣と魔法の世界に転生したらしい。しかも貴族の娘として!


ちなみに、名前は『シンデレラ』前世で有名だったプリンセスと同名だ。て、照れる〜(恥ずかしいけど嬉しい)


前世の様に金銭面での不安がないだけでもありがたいと、正直思う。しかも両親は美男美女だし。メイドの噂話を聞くに父親は相当賢いやり手らしい。加えて母親も胸はでけぇ、腰はほせぇ、実家は太ぇという3拍子揃った優しい女性なのよね。


この体になってから物覚えが異様に良くて、なんだか頭もよく回る。思考内容は前世と変わらないと思うんだけれど、その速度が速いというか……ソフトはスーファミだけどハードはSwitchみたいな感じだ、知らんけど。


たぶんだけれと、父親の遺伝で脳の出来がいいのだと思っている。母親のナイスバディもしっかり遺伝してくれるのかしら、期待しちゃう。


ただ、恵まれていることに胡坐をかくつもりはない。私は信心深いのだ。前世お世話になっていた児童養護施設にボランティアできていた、とある和尚さんの話に感銘を受けたんだよね。『神様で金儲けしようとする奴は碌なもんじゃないが、神さま自体はいいもんだ。信じてみると暮らしていると人生楽しくなるよ』とかいう面白い人だった。

因果応報というし、なんやかんやで前世まっとうに生きてきたことで、神様が今世をサービスしてくれたのではないかと勝手に思っている。


前世でよく読んでいた、なろう系の漫画のように、『転生前に神様と面談』みたいのはなかったけれど、今世の行動指針もすでに決まった。


目標は『この異世界を、少しづつでもより良い世界に変えていけるように力を尽くしていこう。来た時よりもいい世界にしてから昇天する』だ。いろいろ恵まれた今世には、たぶんそれをある程度実現できる力があるし、ノーブレスオブリージュってやつね。


と、そんなことをリビングで一人絵本を読みながら思っていると、カサカサと音が聞こえた。視線だけ向けてみると……うぉ!前世の古い養護施設では梅雨の常連客だったあいつだわ。でっかいムカデ!しかもこっちに向かってきてるんですけど~


きれいな屋敷で、防虫の魔術もしているみたいだけど、出るときは出るのね。メイドや幼い兄が噛まれてしまうといけないし、前世みたいに私がやっつけないと。いまこの部屋、他に誰もいないしね。




両手で本を持ち、気づいていないフリをする。そして、ムカデが近づいてついてきたのを見計らって~そおい!


よっしゃ、手ごたえあり......と思ったらまだ動いとる!?そうか、腕力も体重もないからか。靴も履いているし、そのまま、げしげし踏みつけてみるが、なかなか致命傷を与えられない。と、どったんばったんしているとメイドが駆けつけてきて悲鳴を上げた。ああ、普段虫を見慣れていないとそういうリアクションになりますよね。


動揺するメイドを安心させようとなだめているうちにムカデは逃げてしまったようだ。私ってこういうところ詰めが甘いんだよなー、失敗失敗。その後騒ぎになって周りからもひどく心配されたが、しょせん虫ですよ。前世で噛まれたときはそりゃあ痛かったけど、たかが知れてるって。骨折とかもっと痛い経験したこともあるし。治癒魔術もあるのに気にしすぎじゃないかしら


結局ムカデは庭で専門の人が処分したらしい。その後、警備担当の責任者がきて、危険に巻き込んで申し訳ございませんとか、土下座せんばかりにひどく謝られたけれど、虫一匹でそんなの恐縮です。とりあえず、退屈していたからいい運動になったし、「また来ても大丈夫よ」と笑顔で答えておいた。


さーて、この世を天国に近づけるため、これからも頑張るぞい!

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