38. 善良少女が残虐悪女と逆勘違いされる話、でもハッピーエンドだよ~(裏)
「大魔法陣の起動を確認したわ!」
「やったか!?」
闇の帷が降りていた戦地跡、その外周には術者が集まっていた。ヒューマンだけでなく、エルフ姫クコロやオーガの勇者もいる。
指揮をとっているのはシンデレラの兄クラウザー
シンデレラとブリトニーが定期的にこのまま場所で密会していることを突き止めた彼は、国王、宰相の助力を借りて、まさに今日この日のために他国に協力を依頼して、内密かつ周到な用意をしてきた。
彼は幼少期よりシンデレラに取り憑いた悪魔を払うために研究してきたことを活かし、人族の魔力、エルフの精霊力、オーガの鬼力を集結することで、かつて異国の大悪魔を葬ったという神級聖魔法を発動させていた。そう、強大な敵を前に長年歪みあってきた他種族は、ここに一致団結したのだ。
ちなみに、神級聖魔法は悪魔など邪なもののみはらうため人間には害はない。文献によると悪魔を払った後、憑依された体の持ち主は意識を失うが、少ししたら目覚めると文献には書かれていた。あと、精霊や天使に対してはは聖力を回復させる作用もあると記載されていたが、今回は関係ないだろう。
やがて魔法が徐々に解けて、光がおさまると闇の帷は完全に消失していた。ここまでは予想通り。
そして予想と違ったのは、シンデレラが二本足でしっかりと立っており、側には黒い翼をもつ「私、堕天使ですがなにか?」と言わんばかりの風貌の男がいたことだ。そして、シンデレラと堕天使は何か話あっている!
「なっ…た、倒せていないじゃないの!?」
「なんと言う相手だ。おそらく、これから死闘が始まるぞ。覚悟せい!」
クコロとオーガの勇者から、驚きの声と警戒を促す檄が飛ぶ。周囲を囲む魔法使い十数名に緊張が走る。しかし、そこは精鋭揃い、戦闘に備えて各自が魔力を練り始めた。
と、そこでシンデレラから声が上がった。
「皆さん、お世話になりました。私は一度遠い地に行き立派になって戻ってきます」
そう言うと呆気にとられるクラウザー達を残して彼女は堕天使に抱えられ上空へと飛びあがった。
「逃げる気か、追撃を!」
「いや、まて、ブリトニー様が倒れている。此処を戦地にしてはまずい!彼女の保護が先だ。」
そうして、ブリトニーに駆け寄るクラウザー達を残して、シンデレラと堕天使は北の空へと飛び立っていった。
かくして、呪いの残滓が消えて植物が芽生え、何なら花も咲きはじめた戦地後には呆然とする一同と、悪魔が祓われ気を失ったブリトニー王女が残されたのだった。




