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デトロイト・メタル・シンデレラ  作者: いのりん
魔界からの使者 編
31/43

29.外務大臣との交渉

ワシの名前はテリー

ヒューマン国の外務大臣を務めるものだ。現在、外交は舐められたら終わりの世界で、自国の利益を得る為には上手く相手を畏怖させる必要がある。やりがいはあるが、汚れ役もあり、大変な仕事だ。プレッシャーで胃も痛い。。できればそろそろ辞めて、大切な家族とゆっくりしたいとも思う。しかし、客観的にみて自分の以上の適任がおらず、外交のミスは家族の不幸にも繋がるので仕方なく続けているのが現状だ。


そんな日々をすごしていると先日、宰相のビスマルク様より、補佐官を一人つけようと考えているので、実際に交渉して能力を審査して欲しいと話があった。なんでも、国中で恐ろしい女だと噂になっているシンデレラという人物らしい。


そんな彼女と、たった今、審査の為に向かい合っているが……確かに、凶悪そうな見た目をしている。


部下に調べさせてみると、様々な噂があった。

眉唾なものも多く、齢15にして裏ではマフィアとして活動している武闘派組織の、影のリーダーだと言う噂まであった。


ただし、どの噂に関しても全く証拠はつかめなかったそうだ。悪事をして上手く隠ぺいしているのか、それともハッタリを信じさせる情報操作が巧みなのか。もし悪事の隠蔽なら褒められるものではないが、どちらにせよ、外交の仕事を楽にしてくれる有能な人材なら、歓迎すべきことだと思う。


さあ審査開始だ。見極めさせて貰うとしよう。



⭐︎⭐︎⭐︎


「どうも、はじめましてテリーさま。今回は私を外交補佐官として抜擢する場ということですが、まず、わたくしは外交をお互いの利益となる穏やかな話し合いの場にしたいと考えてております」


テリーは「いきなり何を言い出すんだこの娘は」と思った。外交は戦いの場だ。そんな弱腰で海千山千の猛者たちと渡り合えるものか。宰相から試験を依頼された手前、もう少し話は聞いてみるがこの調子では不合格だろう。


「それで、まず相手に喜んでもらおうと、テリーさまのことを調べさせて頂きました。どうやら、随分とご家族思いのようですわね」


「なっ!?」


テリーは動揺した。何故それを知っているのかと。いざという時に弱みや脅しの材料にならないように、家族を溺愛しているのは腹心達にすら隠して、「家族など全然大切にしていません」と言うスタンスを貫いてきたと言うのに。いったいこの女はどんな情報網をしているんだ。


ちなみに、情報の出所は、テリーから家族への手紙や贈り物を依頼された一部のメイド達である。メイドの中だけで「実はご家族想いのツンデレ」として良い意味での噂になっており、「それは美徳であり、浮気や不倫と違って弱みにはならない」と判断したリーリャ経由でシンデレラに伝わったものだった。


「娘さま、バレエの習い事で帰りが遅くなっているようですね。1人、護衛の方はついているようですが、帰りは暗い道もあり心配もあるでしょう。」


「な、なぜそんなことをしっている!?」


テリーは思った。友好的な態度のようで、その実、今自分は、何より大切な娘の命を盾に、脅されているのだと。


「知り合いに、民間で警備事業を営んでいる方々がいるので、こっそりとテリーさまのご家族について調査して頂いたのです。それで、少々警備に心許ないところがあったようなので、勝手ながら彼らに依頼して交代でこっそりと、家族の皆様を護衛してもらっていますの。」


「……」


テリーは絶句した。「民間で警備事業を営んでいる方々」のいうのは、おそらく表の顔で、裏ではマフィアとしても活動している武闘派組織のことだ。


そいつらが家族について監視しているのだ。

いま、家族の命はシンデレラの手の上にある!


「それで、実はテリーさまは、もっとご家族との時間もとりたいと思っているのではないでしょうか。どうかわたくしに席をあけていただき、その望みをかなえさせて下さいませ。」


⭐︎⭐︎⭐︎


この面談の少し後、テリーは外務大臣を辞任することになる。


新しく外交の最高責任者となったのはシンデレラ・メダル・デトロイトその人であった。外交補佐官の適正をみる面談から、いったいどうすれば外務大臣をを辞任させその席を奪うことが出来るのか?人々は彼女に畏怖の視線をむけることになるのだった



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