1.悪魔の子、誕生(表)
ん、ここはどこかしら?
猫を助けて崖から落ちたところまでは覚えているんだけれど……病院ではなさそうね。
豪華な部屋に見えるが、目を傷めたのかぼんやりとしか見えない。壁にかかった蝋燭とか本物に見えるんだけど、よくできた電球なのかしら。よくわからん。裸眼視力1.0はあったはずなんだけどなあ
というか、北欧系のしらないおじさまに抱き上げられて、のぞき込まれてませんかこれ!?
はわわ、美形と目が合っちゃった。お、重くないかしら、私小太り体型なのだけれど
「○○○○ーー○○」
そしておじさまは知らない言語を話している、英語ではなさそう、知らんけど。でも、優しい笑顔を向けてくれて緊張がほぐれた
(あのー、ここはどこでしょうか?)
日本語が通じるといいなーと思いながら話かけるがうまく言葉が出ない。「ウゴー」って感じの変な音になっちゃった。というか、口だけじゃなくて、全身がうまくうごかせられない。美形のおじさまが驚いた顔でこちらを見ている、ご心配おかけしてごめんなさい。
「○○ーー〇ーー」
続けて不安そうな顔で続けて話しかけてくるオジサマ
(ごめんなさい、外国語わからないです。あと、なぜかうまく話せないです。でも体調は大丈夫ですよ)
にっこり笑いかけてみたが、顔の筋肉もうまく動かずに二チャっとした笑顔になっちゃった。まあ笑顔作るのが苦手なのは昔からなんだけど。写真写り悪すぎるから、もう諦めて集合写真とかはわざとふざけた顔してたし......と、そこで思い至る、これって異世界転生ってやつじゃない?Webサイトとかで1000回は見た展開じゃん!
まじかー、本当にこんなことってあるのね!
思わずけらけら笑ってしまって、赤子で体力がないからか疲れてその日はそのまま眠ってしまう。崖から落ちてそのままお陀仏と思っていたのに夢のようだ、それもとびっきりのいい夢。これからどんなことが待っているのだろうかとワクワクする、明日から楽しみだなぁ。