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12.ご馳走 (裏)

ルナはクラウザー家のメイドだ。本日はシンデレラと買い物に出かけている。このお嬢様はあまり買い物をしないのに、どう言うわけか、少し目を話すといつのまにか手持ちがなくなっている。


どこかで誰かに多額のお金を寄付でもしているのだろうか?9歳の子供が?


そんな訳はないと思いつつ、今日こそは使い道を把握しようと彼女に注意をむけていると、急に後ろからズタ袋を被せられ、主人と2人あっという間にどこかへ連れて行かれてしまった。


⭐︎⭐︎⭐︎


現在、ズタ袋はとり払われ屋内でテーブル席に座らされている。周りは10代から20代の移民系の男性が5人ほどいた。乱暴されなかったのは不幸中の幸いだが、ルナは怯えて声が出せないでいた


「あのー、ここはどこでしょうか?」


「おう、アンタ、最近色々な事業に金を出してくれているんだってな。まさかこんなガキとは思わなかったが、おかげさんで俺たちの生活にも大分影響がでてるんだよ」

「で、名前は明かさねえんだが、俺たちの雇用主が、どこの誰か知らねぇが、ひとつ、おもてなしをしてやれってんで、ここにつれて来たんだ」


声を出したシンデレラに男達がニヤニヤしながら答える。事業と金を出すとは何だ、こんな不良達に目をつけられるなんて、彼女は後ろ暗い商売に出資でもしているのか。


実際は治安向上の事業にこっそり多額の寄付していて、それをよく思わないマフィアに目をつけられ、現在、その下請けの不良移民達から嫌がらせを受けているのだが、そんな事実をルナが知ることはない。


自分とは裏腹に、シンデレラは泰然自若としている。なぜこんな状況で9歳の女児がリラックスしていられるのか、ルナは状況よりも次第にそちらが恐ろしくなってきた。


「まあ嬉しい、いったいどんなおもてなしをしてくださるのかしら」


お嬢様、豪胆すぎるにも程があります


「なっ……おい、こいつ全然動揺してないぞ」

「なんだこの悪そうな笑顔は!怖いんだが」

「落ち着け、いつまでもつか見ものだぜ。嬢ちゃん、今日は料理を振る舞おうと思ってな。一生懸命作ったんだ、残さず食べてくれよな」


男達が料理を運び込んできた料理をみて、ルナは目を丸くする。皿には、普段貴族が食べている繊細かつ上品な料理とは違い、丸焼きにされた豚の頭と、その内臓をあぶり、塩を振ったものが乗っていたのだ。


この国に内臓を食べる文化はない。実体化した悪魔は人の腑を好むため、忌避されているのだ。庶民なら羊の腸に肉を詰めたソーセージくらいは食べるが、あれはひき肉を食べているという意識なのであって、内臓を食べたがる者はいない。

 さらに言えば、豚は家畜の中でも一段下等な動物であって、その肉ではなく内臓を、それもそのまま焼いただけのものを食べさせようとするなど、ルナには正気の沙汰とは思えなかった。


9歳の女児にそういった知識があるかは分からないが、少なくとも豚の頭と内臓などは見た目もグロテスクだ。宗教的な理由を別にしても、見た目のインパクトだけで泣いてしまってもおかしくない。


「これは……ふふふ、嬉しい、私の好みにぴったりです。人に話したことはないのに、どうして分かってしまったのかしら?有り難く頂戴しますわ」


だと言うのに、我が主人は嬉々として食べ始める。


((おい、嬉しそうに食ってるぞ。祖国でも奴隷や貧民が飢えた時しか口にしない料理だっていうのに!))

((お、おちつけ、もうすぐ兄貴がくる。もう少し様子をみてみよう))


男達も引いているが、それはそうだろう。脅しとしてゲテモノ料理を出してみたら嬉々として食べているのだから。ちなみ味付けはきちんとしているらしい。万一、警備兵に捕まった時に、「珍しい料理を振る舞っただけだ」と言い訳できるように、ギリギリのラインで保険をかけていたのだろう。



「おう、お前らお客さんの様子はどうだ」

「あ、兄貴!様子も何も、こんな感じでさあ……」


「貴方が責任者ですか?大層なおもてなしをどうも、うふふふ、後で、このお礼はしっかりさせて頂きますね」


「な!?この人数相手にお礼だと……ってアンタは……いや、貴方様は、というか身体の内に秘められたこの魔力量は……」


新しくもう1人きた男が、シンデレラをみてびびっている。少し上の立場の者として、統治者の娘の顔ぐらい知っていたのだろう。


出資者が分からず、裕福な商家の娘とでも思って拉致してみたら、少し脅しただけでも物理的に首が飛ぶ貴族の娘だったと気づいて、焦っているらしい。


「い、いやお嬢様……私がパーティの主催者ってわけじゃないんですよ、へへへ……お礼なら是非雇い主の方にですね……」


兄貴と呼ばれた男がびびっている。私達を消して事件自体をなかったことにすると言う選択肢はなさそうでよかった。そういえば、内に秘められた魔力量とはなんなのだろう。ルナは魔力について良くしらないが、実はこのお嬢様、戦っても死ぬほど強いとか……


「そう、ならこのお金を全部使っていいから、今度は貴方達が雇用主を驚かせて上げて頂戴。これだけあれば、鳴物や光り物も買えるでしょ。出来るだけ派手にやってくれると嬉しいわ。それと、やる時は貴方達が主催者と言うことにしておいて、私の名前は伏せてお願いね。」


お嬢様が恐ろしいことを言って、金貨袋を男達に渡した。火薬や刃物で、雇い主を潰せということだろう。




その後ルナは、今日は楽しかったわ、でも皆んなには内緒にしてねと上機嫌で言うシンデレラに青い顔をしてカクカク頷いた


また後日、地元のマフィアが下請けにしていた不良移民達の殴り込みにより壊滅したというニュースをきいて震え上がるのだった

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