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11. ご馳走 (表)

二年ほど前に魔法の訓練を中止されてしまった時には残念に思ったものだ。


ちなみに中止の理由としては、私は『魔力量もそれをコントロールする才覚にも特別秀でている様子はないから』だそうだ。ちょっとやれそうだと思っていた自分が恥ずかしいわね。鍛えて魔力は幼少期よりも大分伸びたと思ったのだけれど、元々が魔力のない世界からの転生者なので、基礎能力が凄く低かったのかしら。1が100になってもこの世界の平均は1000でしたみたいな、うーん残念だ。


ただ、貴族の仕事をする上ではそこまで必要とされる能力ではないと言われてなるほどなぁとも思った。ハンパ者が1人現場で働くよりしっかり勉強して良い指揮官になった方が人の役に立てるだろうからね。


まあ、趣味で魔力の練習自体は続けているんだけどね。楽しいし。




そんな私だけど、最近9歳になった。


身体もだいぶ大きくなり、活動できる範囲も増えた。現在は、貴族教育の一巻として「自由に色々試して、お金の使い方を覚えましょう」と、かなりの額のお小遣いを貰えるようになり、メイド付きでだがお忍びで町で買い物もできるようになった。


といっても、買いたいものもあまり多くなくお金があまる。アニメも漫画もないからね。それで、せっかくなので、移民の待遇改善事業や町の治安を改善する事業に、メイドの目をぬすんでこっそりと募金するようにした。こう言うのは褒められるためにやるもんじゃないしね、コソコソ善行積むのたーのしーい!


で、今日も今日とてメイドと町に出かけていると、急に後ろからズタ袋を被せられ、メイドと2人あっという間にどこかへ連れて行かれてしまった。


なになに、いったいどうしたのー!?


⭐︎⭐︎⭐︎


「あのー、ここはどこでしょうか?」


現在、ズタ袋はとり払われ屋内でテーブル席に座らされている。周りは10代から20代の移民系の男性が5人ほどいた。乱暴されなかったのは幸いだが、メイドは怯えて固まってしているし、私が色々聞いてみよう。


「おう、アンタ、最近色々な事業に金を出してくれているんだってな。まさかこんなガキとは思わなかったが、おかげさんで俺たちの生活にも大分影響がでてるんだよ」

「で、名前は明かさねえんだが、俺たちの雇用主が、どこの誰か知らねぇが、ひとつ、おもてなしをしてやれってんで、ここにつれて来たんだ」


ニヤニヤしながら答えてくれる。ほーん、これはあれだね……サプライズパーティーってやつだ!

見返り求めて寄付してたわけじゃないんだけどなぁ。でも嬉しい、何をしてくれるんだろう。期待して笑顔になっちゃう。こう言うのは素直に受け取るのが期待だよね。あと、はじめは「悪い人達かも」って思っちゃってごめんなさいね。心の中で謝罪します。人を見た目で判断しちゃダメだよね、そもそも私も年の割に迫力のある外見してるし。


「まあ嬉しい、いったいどんなおもてなしをしてくださるのかしら」


((なっ……お、おい、こいつ全然動揺してないぞ。))

((しかもなんだこの凶悪そうな笑顔は!なんか恐いんだが))


奥の方の人たちがコソコソ話しをしているけど、なんだろう?よく聞こえないな。


「落ち着けお前ら、いつまでもつか見ものだぜ。嬢ちゃん、今日は料理を振る舞おうと思ってな。一生懸命作ったんだ、残さず食べてくれよな」




男の人達が運び込んできた料理をみてシンデレラやメイドは目を見開いた。陶器の皿には、普段食べている繊細かつ上品な料理とは違い――丸焼きにされた豚の頭と、その内臓をあぶり、塩を振っただけのものが乗っていたのだ。


男達は脅しが上手くいったと目を細める。しかし、次の瞬間、シンデレラの発言に逆に肝を冷やすことになった。




「これは……ふふふ、嬉しい、私の好みにぴったりですわ。人に話したことはないのに、どうして分かってしまったのかしら?有り難く頂戴しますね」


早速食べ始める、実に美味しい。転生してからこれまで、高尚な料理を楽しむ一方で、前世の記憶から庶民的な味も食べたいと思っていたのよねー。

カリッと焼かれた表面部分と、歯を追いかけてくるような、もっちゃもっちゃとした内側の触感とのギャップがたまらない。シンプルな塩味と、脂の甘みが混ざり合って、けして高尚ではないのに、いつまでも後を引く味わいがある。


((おい、嬉しそうに食ってるぞ。祖国でも奴隷や貧民が飢えた時しか口にしない料理だっていうのに!))

((お、おちつけ、もうすぐ兄貴がくる。もう少し様子をみてみよう))


小声で何か言っているが、食事を堪能していてわからなかった。まあ、喜んでくれてて良かったとか、そんな所だろう。おお、豚の頭も美味しい、前世では沖縄料理で有名なんだったっけ。知らんけど。


「おう、お前らお客さんの様子はどうだ」

「あ、兄貴!様子も何も、こんな感じでさあ……」


「貴方が責任者ですか?大層なおもてなしをどうも、うふふふ、後で、このお礼はしっかりさせて頂きますね」


「な!?この人数相手にお礼だと……ってテメェは……いや、貴方様は、というか身体の内に秘められたこの魔力量は……」


新しくもう1人きたこの男性が、どうやらこのサプライズの責任者らしい。お礼を言っておく、ありがたいことだ。




「い、いやお嬢様……私がパーティの主催者ってわけじゃないんですよ、お礼なら是非雇い主の方にですね……」


丁寧に答えて下さってどうもありがとう。そういえばさっきも、主催者の名前は明かせないとかいってたわね。サプライズパーティを企画しときながら慎ましい方のようだ。まあきっと、移民の待遇改善事業に寄付してたから、その関係者だろう……よし!


「そう、ならこのお金を全部使っていいから、今度は貴方達が雇用主を驚かせて上げて頂戴。これだけあれば、鳴物や光り物も買えるでしょ。出来るだけ派手にやってくれると嬉しいわ。それと、やる時は貴方達が主催者と言うことにしておいて、私の名前は伏せてお願いね。」


今回寄付する予定だった金貨を袋ごと渡す。クラッカーやキラキラ紙吹雪で派手に逆サプライズをやってもらおう。関係者も、彼らから祝ってもらう体のほうが嬉しいはずだ。


男性はコクコクうなづいてくれた。貴方達の仕掛ける、ワクワクドッキリサプライズ、上手くいく様に祈っていますからね!

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