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8.厨二病(裏)

僕、クラウザー・メタル・デトロイトには7つ下の妹がいる。


彼女が生まれて数年の間、僕はデトロイト家の長男としての教育やコネ作りに忙しく、ほとんど彼女と接することができていなかった。


父様は、この国の貴族の子女はみんな同世代の友人を作る暇もないほど忙しいと言っていたが、本当にその通りだと思う。ただ、最近は時間に余裕ができて彼女と触れ合う時間が持てている。


この数日でよくわかった。彼女は、身内のひいき目を抜きにしても、とてつもなく良くできた妹だ。


まず、顔立ちが美しい。それもただ美しいのではなく......5歳の少女に適切な表現ではないかもしれないが、誰もいない暗い森の中に咲いている1本の薔薇のような、怪し怖い美しさがある。刀剣の様に輝く銀髪、雪花石膏(アラバスター)の様に白く輝く肌、勝気というよりも冷徹さを思わせる長いまつ毛と切れ目に、危うい吸血鬼のような大きい犬歯。あと、本人は無自覚の様だけれど、笑顔がすっごく怖い。このルックスは、舐められると碌なことにならない貴族社会では大きな武器となるだろう。


さらに、5歳とは思えないほど賢く、受け答えも礼儀正しい……本当に5歳の女の子か少々気味悪く感じるほどに。

珍しい品物や植物や魔術について、あれこれ教えてあげようかと色々話しかけてみたら、彼女はこちらががっかりするくらい、すらすらと答えてきた。しかし、ある時からすべての質問に「わかりません、教えてくださいお兄様」と返事をするようになった。


はじめは喜んで教えてあげていたが、ある時気づいた。僕が答えられない質問があったときのほうが喜んでいたのを見て、最近はわからないふりをしているのだと。賢い大人の女性は無知のふりをすることもあると父親から聞いてはいたが、僅か5歳の女の子が自然とそんなことは出来るものなのだろうか?


そう考えていると、先日の占い師の言葉を思い出した。「あなたの家に悪霊がいますよ」といって十字架を渡してきた男だ。危険を教えてくれるいい人だと思っていたら、後日詐欺容疑で捕まっていてがっかりしたのでよく覚えている。


しかし、もし彼が詐欺師ではなく、本当にいい占い師だったとしたら……?




言いようのない不安に駆られた僕は、十字架を手に持ち妹に声をかけていた。


「娘の中に巣食う汝は何者ぞ、正体をあらわせ」


疑ってすまない、妹よ。急にどうしたのとか冷静に言ってきたらすぐに謝ろう。ごっこあぞびをしたかったんだよと、僕が恥をかいて終われるならそれが一番だ。


しかし、彼女は言った。


「ほう、小僧め気づいたか。我は残虐の悪魔。貴様の妹の魂を封印して身体を乗っ取っておる。この国の人民が我が策により阿鼻叫喚となるのが楽しみでたまらぬ」


啞然とした。ま、まさか本当に悪魔が憑いていたとは。いや、しかし呆けている場合じゃない!目的を暴き、妹を助けなくては


「な、なぜ、おまえはそんなことを企んでいるんだ」


「我は力は現在不完全だ。身体を乗っ取り続けるには魔力を消費し、枯渇すれば我は霊体として地獄に帰らねばならぬ。しかし一方で、混沌と暴虐により生まれる憎悪にて我が力は増してゆくのだ。まあ逆に幸福の気が満ちると我が力は弱まるのだが……人の本性は悪で利己的。よほどの善人でもいなければあり得ぬことさ。おっと、この娘を殺しても無駄だぞ、新しい宿主を見つけるだけだからな」


悪魔は恐ろしいことを言いだした。この国全体を阿鼻叫喚の地獄絵図にしようと企んでいるなんて!

そうはさせないぞ、父上たちと協力して食い止めて見せる!


「小僧よ、今から貴様に高度な呪いをかける、今言った秘密を他言すれば、貴様もその血縁者全ても死ぬ呪いをな。小さきものよ、せいぜいあがくがよい、我が復活までの暇つぶしとなれ」


の、呪いをかけられてしまった。しかしこの悪魔に弱みは見せられない。貴族家の長男として気持ちを強く持ち、沢山の善行を積んでこの悪魔の力をすこしでも弱めていかなくては。


……でもやっぱり心の奥底は恐怖で震えている、絶望的な状況に泣きそうだ

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