plume4 能力
「えっと……苺花ちゃん、この方達は知り合いですか?」
「知らない人……」
なんでこの人達、苺花ちゃんの名前を知っているのでしょう……って。
「あ、貴方達には、苺花ちゃんが見えるんですか?」
「あ? 女ぁ、お前何言ってるんだよ?」
「あ、えーっと……」
優夜が言っていたことをそのまま話してみる鶉だが、逆に言い換えされてしまった。
「とりあえず、そいつは主がすっげぇほしがっている材料なんだ。くれよ」
「材料……?」
「そ。だからくれよ」
………。
カチン。何かがキレた音(?)
「ちょっとそこの貴方ぁ! 名をなんと仰るのですかぁ!」
ビシッと指を立てて叫ぶ鶉。八重歯の生えている口をポカーンと開ける少年。
その後ろで仮面の者はボーッと様子を伺っている。
「……未鶴だけど」
「未鶴さん! 貴方も貴方の主も、何て考えをお持ちですか!」
「あ?」
「人間を材料と言ってモノ扱いなんて……! 酷すぎます!」
「えーっと」
「だいたいなんですか貴方達は! 新手の誘拐犯なのですか!」
「えぇーだってそいつ、人間じゃねぇよ?」
「はや?」
「だいたいお前こそ何だよ、人に名ぁ聞くんだったら自分から名乗れよっ」
「む……申し遅れました。私は、夏野鶉と申します」
「鶉? ……へぇ……お前、可愛い顔してるな」
気が付くと、未鶴は鶉の目の前にいた。苺花はさっきよりも強く鶉にしがみつく。
「そ、そんなことありません。だからなんですか」
「主ほどではないが、お前みたいな強気な女は好みだぜ」
と、未鶴は鶉の頬に触れる。
そして、未鶴の顔が近づいてきたかと思うと……――
「………!」
鶉は目を閉じた。
が、いつになっても何も起きないので、彼女は目を開ける。
「……あ……? ……んだこれ……?」
未鶴の身体は、静止していた。だが、瞳はパチクリしており、先程のフクロウのようではなかった。
うずらはそーっと、未鶴の手からはずれる。そしてちょっと遠くへ。
「……はいセーフ、大丈夫か? 鶉」
「優兄!」
鶉の頭にポンッと大きな手が置かれる。
そこには、先程と同じように左手をかざしている優夜の姿。
「っく……動かねぇ……てめぇ、能力持ちか……!」
「あぁ」
優夜はゆっくりと閉じていた目を開ける。
「俺は翼在る者の烏丸優夜、能力は『時の追想』!」
「時使いか……!」
と、優夜が未鶴めがけてナイフを突きつけると同時に、2人の戦いは始まっていた。優夜はナイフを、未鶴は体術を駆使して目にもとまらぬ速さで宙を舞っている。ローブの者は、それを遠くで伺っている。
「?」
鶉の頭の上にはてなマークが飛び交う。
「鶉お姉ちゃん」
苺花が口を開いた。
「あ、あの……ごめんなさい……私が、見えるから……」
「あ、いえ! 苺花ちゃんのせいではないですよ!」
「地獄の隆起!!」
未鶴が叫んだかと思うと、優夜の周りの地面が鋭い鋭利になってもり上がる。
地面は崩れ、優夜は体勢を崩しかけたが、間一髪で、地の刃にはのまれなかった。
「お前も能力持ちか……」
「俺の能力は『波動の大地』!! このフィールドでは、俺が超有利だぜ!!」
また2人は、目にもとまらぬ速さで宙へ舞う。
「あの……どうして2人とも、そんな人間離れした力を使っているんですか?」
「………」
「教えてください! 苺花ちゃん!」
「……我が教えてしんぜようか?」
「?!」
鶉達の真横、先程かなり遠くにいたはずの仮面を被ったローブの者がいた。
「あ、あなたは……未鶴さんの傍らにいたはずじゃ……?」
「あぁ。案ずるな、攻撃はせずに至る」
言っている言葉と声色はかなり温厚だが、その仮面の下の素顔は分からない。
「ほ、本当に何もしないんですよね……? だったら教えてください! 皆さんはどうしてあんな力を? 苺花ちゃんが人間ではないって……」
「……むゆうに期せ。初心から、教えようぞ」