plume19 吃驚
サブタイトルは、ノリです。
パリッパリの、ノリです。
秋。
涼しげな風があたりを包み込み、食、芸術、スポーツ、読書などの欲の精神を一気に掲げ上げる季節。
そんな、紅葉がはらりはらりと舞い散る縁側で、1人の少女がロッキングチェアの上で静かに目を覚ました。
その少女の名は、夏野鶉。
……あれ……まだ、つばめちゃんの家に居たっけ……。
しかし、そこは春咲つばめの家ではなかった。
「おはようございます、鶉さん。あ、といっても、もう夕方ですが」
「……あ、おはようございます……って! あ、貴方は……えっと……」
「久方振りでございます。雉倉一です」
音使いであり、その不協和音は鶉の友達までもを巻き込んだ。
雛乃という雷使いの少女と共に、学園祭で、鶉を狙ってきた能力者。
「翼無き者さん……あ、あの、ここは……? 私は、一体……」
「まぁまぁ、落ち着いてください。あ、そうです、露天風呂など如何ですか?
?
いきなり、何を言い出したのかと思えば。
「今の時期、紅葉が見頃ですよ。ささ、どうぞどうぞ」
一応敵同士。何だろう、このお客様扱いは。
悪い意味で考えてみた。
……もしかしてこの人、空気が読めないんじゃぁ……?
かぽーん。
温泉だった。
天高くグラデーションの空が広がり、赤や黄色の紅葉達が、光に反射して映え盛る。
それに囲まれるは、温泉、まるでどこかの旅館に居るようであった。
鶉は、ゆっくりと自分の記憶をたどった。
自分は、誘拐されたと。
春咲家の門の前の階段を全て下り終えても、5人兄妹はまだ2人を見送っていた。
手を振り、鶉が優夜の元へ向かおうとすると、その2人の距離の丁度真ん中に、綾鷹が立っていた。
つばめが階段の一番下についた時、そこにはもう、鶉と綾鷹は居なかった。
一さんも、綾鷹さんもここにいる……ということは、もしかして……。
「……あれぇ? 鶉じゃん」
茶髪の少しハネッ毛のある髪を持つ、風呂場という似つかわしくない場所にまで左目に眼帯を付けている少年。
「み、未鶴さん……?」
「お、おぅ、元気か? 俺は超元気だ!」
「は、はい、なによりです。あ、お体の調子は如何ですか?」
「ほぼ完治!」
そんなゆったりとした会話してどうすんの、そこはそういうとこじゃないでしょ。
鶉さんも何気に両手で構えた桶を何故投げないんですか。
「それにしても鶉」
そうそう。
「お前、良い身体し……ぎゃごっ?!」
あぁ。……青春盛りの男子の言葉を止めたは、
「こら、未鶴様! 女性がお入りになっているのに、何しているんですか!」
「き、きゃあぁぁぁぁぁ!!!」
実際もう少し前にするはずだった行動をした鶉は、その人物に向かって桶を投げた。
そして華麗に当たって転けた。
そこで、鶉は気づいた。
「あの……もしかして……一さんは……」
こう、入浴場でないと分からないくらい、一のは平坦だった。
「……女性の、方なんですか……?」
「え、あ、はい。こうみえても私は女性ですよ……ひゃぁぁぁ!!」
女性だ。
というか、女性だった。
そして、ドジッ子属性+KYだった。
石畳の風呂場の床は、水でツルツルだった。
一さんって……なんか、可愛らしい。
鶉は、そう思った。
未鶴を撤去した後、改めて一と共に湯へ浸かる鶉。
その振る舞いから声色まで見ると、ずっと男性だと思っていたのだ。
「鶉さん」
「え、あ、はい!?」
「手を出してくださいませんか?」
「は、はい」
「失礼致します」
鶉が湯から手を出すと、一は自身の手を、真っ直ぐに鶉のもとには行かず、探るようにして向かい、掴んだ。
その手は、手から腕、肩、首筋、そして頬へと辿り着く。
「はぁ、聖なる大樹を継承された少女、といっても、普通の人間なのですね……」
それを聞いて、少々考えた鶉は、とある一つの答えに辿り着く。
それは、今までの彼女を見ると、有り得ないことだった。
「一さん、貴方のことで、もう一つビックリです」
一はうっすらと、闇の続く目を開く。
「貴方は、目が見えてませんね……?」
その瞳には、光がなかった。
「はい……。昔、色々ございまして……あ、そろそろあがりましょうか」
一は、その話から逃れるように、ゆっくりと、湯から上がった。
秋の縁側を歩く鶉。
“鶉さん、散歩などいかがですか……?”
そういって、どこかへ行ってしまった一。
どうしよう、何か気に障ってしまったのであろうか。
そう思いながら、一つの部屋の前を通り過ぎた時だった。
「あーかーく燃えたーつ太陽にー、蝋でー固めた鳥のーはーねー」
歌が、聞こえた。
「みーるみる溶けてーまーい散ったー、翼ーうーばわーれーイカロスはー」
?!
「落ちてー命をーうしなーったー」
……あ……花鶏先輩……?
ということで。
言っちゃいます。
でてきました、新キャラ。
もう正直増えてほしくないですよね。
にょほほ。
すいません、まだいます。