plume11 青春
多分3週間後です。
華やかに華麗に意味不です。
「いらっしゃいませ! お嬢様! ご指名はどなたですか?」
「鶉」
「かしこまりました! ……うずらちゃーん!」
「はいはーい。あ、つばめちゃん、来てくれたんですね!」
「あぁ、えっと……鶉、今日は、何かの祭りか?」
「今日はね、学園祭なのです!」
聖桜学院附属高校、本日、『聖桜学院祭』の幕開けなり。
広すぎる校内、どこもかしこも飾り付けてあり、人々で賑わっていた。
とにかく何をやっても良いという自由さから、今年の聖桜祭は、高橋花鶏生徒会長の力によってかなり大規模な祭りとなったのである。
お化け屋敷やメイド喫茶などの定番モノは良いとして、体育館では他の学校の部を呼んでバスケやバレーなどの招待試合をやっていたり、講堂では軽音部や演劇部などで盛り上がり、花鶏がニコニコとカウンター越しに座っている図書館兼本部は開放されていて、自由に中を行き来できる。
そして鶉たちのクラスでは、お好み焼き喫茶を営んでいるのだが……定員が皆メイド服なのがミソであった。
ジュワ~ッというソースが焦げた音が青のりと共に豊かなハーモニーを奏で、かつお節が紅ショウガの上で踊っている。メニューも豊富で、メイドさんの輝かしいスマイルを皆タダで貰っていた。
「大丈夫? 熱くないですか?」
「あぁ、美味しいよ、鶉」
「えへへ、運んできただけですけど」
ほんわかとした空気が流れる中、悪い意味でKYな連中がやってくる。
「君たち可愛いねぇー、一緒にお茶しようよ?」
「それとも、もっと楽しいコトしようかぁー?」
その時のつばめの顔を見た次の瞬間、2人の悪な感じのお兄さんは消えていた。
「あれ、今の人達どこへ……」
「鶉、コレはなんだ?」
「あ、えっとですね、ベリーベリーパイナップル焼き……」
という和やかな会話をしている中、
「鶉ぁー!」
「あ、みーちゃん! ……と……鶫君に隼斗君!」
後ろに立っていたのは、クラスメイトの鳩川水姫と、唐沢兄弟だった。
「そこで唐沢君達に会ってさぁ。鶉、そろそろ交代の時間だし、皆で一緒に烏丸先輩のクラスに遊びに行こうよ!」
「わぁ、いいですねぇ!」
「烏丸先輩のクラスは何をやっているんですか?」
「鶫君、アレです。世にも楽しいお化け屋敷ですよ!」
「……え……」
「どしたのー? 隼斗君」
「鶉……私も、良いのか?」
「当然です!」
ということで、ネームプレートを外している最中、鶉がひらめいたように水姫に言った。
「あ! みーちゃん、今年の文芸部、ファッションショーやるんだよね?」
「あ、うん」
水姫の所属する聖桜学院附属高校の文芸部はマフラーやセーターなどの初歩的なモノだけを問わず、服をデザインしたりコスプレモノを作ったり、自由かつ本格的に活動している。そして、今年はファッションショーを開催するのだ。
「ね、ね、みーちゃんは何着るの?」
「えっと……今年作った新作の秋服と………共同作品で作った………ウェディングドレス……」
「わぁー、ウェディングドレス! みーちゃん背ぇ高いしスタイルも良いからすっごく似合いそうです!」
「胸は鶉に負けるよ」
「な、なな……何言ってるんですかぁ……!」
すると、2人の目の前に、1人のウエイターが現れた。
「へぇー! 水姫がウェディングドレスとか、お前その図体で似合うのかよ?」
水姫の幼なじみである雁原春。通称・ハル。
いつもこの2人が出会うととたんに口げんかが始まるそーゆーの。
「な…っ! う、うるさいな、ハルはそんなんだから私の身長越せないんだよ! 男子極小サイズめ!」
「……っぐ……なんだと?! 女らしさの欠片もねー奴がよく言うぜ!」
2人の身長差、5㎝。
そして、タイミング悪く厨房の方からハルを呼ぶ声。
「早く行きなさいよ! 私は部活で忙しいんだからね! いーだ!」
「はっ! 俺だって超忙しいんだからな!」
そう言い放って教室の奥へ消えていくハル。
何気にハルが行った後を見つめる水姫。
あぁ、青春。
……?
「み、みーちゃん……」
「ほら! 皆、烏丸先輩のクラスへれっつらごー! だよ! さぁー、進んだ進んだ」
廊下に押し出されるように進んだ5人は、流れるように、7号館へと向かった。
みーちゃんもハル君も……もっと素直になればいいのに。
そんなことを思っちゃう鶉。
……。
ドンッ!
「あ、あぁ、すみません!」
誰かとぶつかり、颯爽とその人物に詫びを申し上げる鶉。
「あぁ、大丈夫です。こちらこそすみませんでした」
その人物がニッコリとしてくれたのを確認すると、鶉は少々前を歩いている4人に辿り着くために走っていった。
鶉たちの足音が消えたあと、そのスーツを着込んだ若者は、
「……今の方は……まぁいい、それにしても……雛乃様は、どちらにいらっしゃるのでしょうか……?」
何も映っていない目をうっすらと開け、一人呟いた。
ちなみにほぼ野澤の学校の文化祭のパクリです。
ファションショーやばかった…。
文芸部って凄いね!
好きな子はいじめたくなっちゃうアレだね!