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plume10 文学☆生徒会長

で、次の日の話です。




「優兄、ありがとうございます! 手伝って頂けて嬉しいです」

「や、全然」

 4号館の廊下を歩いているのは、優夜、そして図書委員の2人。

 3人は、大量の本を腕に抱え、よたよたと歩いていた。

 ちなみに鶉は前が見えていない状態。

「うちの図書委員長、本好きだからたーくさん入荷するのです」

「……先輩、少しお持ち致しますか?」

 (つぐみ)が聞いた。

「大丈夫ですよ~、隼斗(はやと)君。ありがとー」

「…………」

 ということで優夜はここにいる。

「それにしても鶉、その本好きの委員長って……」

 誰? と、優夜が言おうとした瞬間、誰かの走ってくる音が聞こえ、曲がり角にさしかかり、


 どーんっ。


 誰かにぶつかる。

 どさどさどさザザァーと本が雪崩(なだれ)る。

「え、何々? 何か起きたの!?」

 本を床に置いた鶉と、顔を上に上げた優夜は、そのぶつかった対象物を目にとめた。


「生徒会長?!」 「図書委員長!」


 優夜と鶉が同時に声を上げる。


「いったぁ~……廊下は走っちゃいけないって、校則で決まっているのよ~」


 ほんわかとしてゆったりとした口調。

 優夜の上でちょこんっと座っているまさに校則を優雅に破っている少女は、3年の、生徒会長・高橋(たかはし)花鶏(あとり)

「図書委員長……?」

 鶉の疑問をぶつける優夜。

「あぁ、生徒会長はね、本が好きすぎて、先生とかに頼んで図書委員長も一緒にやっちゃってるの」

「へぇ………って!」

 優夜の視線の先には、ピンク色のしましま。

 花鶏は膝上までスカートを長くしている。

 特にどうでも良いが。

「せ、せせ、先輩!!」

「ふふっ、……だーって私は文学少女ですから~」

「会長!」

「あら、烏丸君、頭上げて?」

「へ?」

 手を伸ばす花鶏。その度にうごめくしましま。

「大丈夫? 『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』! フィツジェラルドも無事ね! あぁ、読みたい、読みたいわ!」

 そして、グリンと鶉の方へ身体を向ける。

「鶉ちゃん、特にね、この『狼と香辛量』! 主人公と狼娘の言葉遊びのような掛け合いや、行商人のシステムとかが難しいけれどさくさく読めちゃうおもしろさ満載なのよ!」

「……委員長、烏丸先輩が……」

「ん…烏丸君……? ……ひゃあぁぁぁ!」

 今頃(きわ)どいその状況に気づいた彼女はぴょんっと跳ね上がり、顔を真っ赤にする。

 ほっそりとして控えめな身体の白い肌がまるで真っ赤なリンゴのようになった。

 長い黒髪を後ろで一つにリボンでまとめている彼女は一見大和撫子、とりあえず落ち着きを取り戻し、言った。

「もぉー、烏丸君は、一生図書館に入っちゃいけないからね! 絶対よ! 女の子の心は繊細なんだからね!」

 と言っても、子供のように頬をふくらませる花鶏。

「もぅ! 鶉ちゃん、唐沢君! 本は全て烏丸君に任せちゃいなさい!」

「と、図書委員長……優兄はもう図書館に入っちゃいけないんじゃぁ……」

「あ! そうだったわ……よし、烏丸君、鶉ちゃんに免じて許してあげる。そんな貴方は、モンゴメリでも読みなさい!」

「は、はぁ……」

 花鶏から『赤毛のアン』を手渡される優夜。

「それじゃあね、3人とも。廊下は走っちゃいけないし、本は持てる分だけ持つのよ。それと、堅い呼び名は禁止、花鶏先輩で良いからね~」

 スクッと立ち上がり、廊下を歩き出した彼女だが……ふと後ろを振り向く。

「あ、ねぇ、隼斗君。貴方のクラスに昨日転校生来たわよね?」

「……あ……はい……」

「その子、私の従妹よ、きっと。よろしく言っておいてね」

 そして彼女は、パタパタと走って見えなくなっていった。が、また誰かの転んでいる音が響いた。

「わぁー、転校生ですか! 隼斗君、何ていう子ですか?」

 鶉に興味津々に聞かれた鶫は、冷静に頭の整理を俊敏に行い、今日弟が話していた少女の名を言った。



「……あぁ、えっと、流浪野(るろうの)雛乃(ひなの)さん……だったかな。多分そう……です……」






あとりちゃん登場。

いろいろごめんなさい。

あぁー…。

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