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002 女神

「きゃ…─────」


 少女の声が聞こえなくなった。

 同時に視界も奪われ、自分の体も言うことを聞かなくなる。

 それだけではなく、自分の体の感覚も失われ思考もぼやけ始めた。


(なんだこれ!?)


 急速に薄れていく意識を必死につなぎとめようとするが、どんどん拡散して行くのを止められない。

 少女は無事だろうか。


(やば、もう無理…)


 意識が途絶える寸前、何か暖かい光を見た気がした。


 ◇


『ふう、うまくいきました』


 直接脳内に語りかけるような、それでいて不快感のない声で僕は目を覚ました。

 辺りを見回すが、ただただ白い空間だ。僕の横には少女も倒れていた。


『大丈夫ですか?』


 再び、声が聞こえた。

 声の主を探して振り返ると、そこには絶世の美女が居た。

 優しい雰囲気で、まるで女神様のようだ。


『ふふ、ありがとうございます。私はあなたの言うとおり、女神です』

「え...」


 今、心を読まれた?


『はい、私はあなたの心の声を聞くことができます』

「そ、それはそれは、商売とか上手くいきそうですね?」

『あらあら、私は商売上手になれそうなのですね』


 心を読まれたことと、そもそもこの状況が分からないことで軽くパニックになり意味不明な返答をしてしまった。

 それにしてもいったい僕に何が起きたのだろう。


『それは──』

「んん...」

『そちらのお嬢さんも目が覚めたようですね』

「へっ? え、え!?」


 俺の横で少女が身体を起こす。

 慌てた様子で辺りを見回し、そして僕と女神を見て固まった。


「落ち着け、まずは話を聞こう」


 綺麗な()()()()()()()をした少女に、話しかけた。

 ...ふむ、あれ、なんで?

 髪の毛と目の色変わっちゃってるんですけど?

 え、もしかして僕も?


『はい、お二人とも白い髪と青い瞳です。こうなった訳も説明させて頂きたいのですが...』

「おお、お、落ち、落ち着け? まずは話を聞こう」

「貴方が落ち着いてくださいよ...」


 白い髪とか絶対先生に怒られる。

 なんなら死んだ爺ちゃんにも殺されそうだ。

 僕が慌てだしたのを見て逆に落ち着いたのか、少女は女神の話を聞く準備が出来たようだ。


 慌てていても仕方ないか。


『すごいですね、このような状況で落ち着いて居られるのは...。では、まず何が起きたのかを説明させて頂きますね』

「「よろしくお願いします」」


 ──女神の話を要約するとこうだ。

 まず、女神の名前がユウェル様だ。

 次に僕達の住んでいる地球とは別に、ユウェル様が管理するリトスという異世界が存在する。


 そこで1000年前にとある大戦が起こった。

 1000年前の大戦は悪魔王討伐を目的とした戦争だ。

 神話の時代、悪魔達を率いる悪魔王が現界し、リトスは一晩でほぼ壊滅した。

 しかし、創造神ユウェルが人々にギフトと呼ばれる異能や、異世界から勇者や聖女、賢者と呼ばれるもの達を召喚し、彼らに自らの力の一部を分け与えた。その結果人々は悪魔王と拮抗するようになった。

 そこに聖獣(知能があり人を護る獣)や龍(知能があり無闇に人を襲わないドラゴン)が人の味方として加わり、形成は逆転。

 悪魔王最強の手下である炎氷雷岩風の5大巨人を封印、悪魔王を討伐した。


『その時に悪魔王達が使っていた魔法は、魔素を消滅させる代償に強力な威力を発揮するものでした』

「魔力を、消滅...?」


 通常、魔法というものは魔素とよばれるエネルギーを物質や事象に変換するものだという。

 そして発動し終わった魔法は再び魔素へと還る。そうして世界には一定の魔素が保たれていた。


 しかし、悪魔王達が使う魔法は魔素を消滅させる。

 その結果、世界の魔素が圧倒的に足りなくなり、徐々にリトスは歪み始めた。


『その結果、リトスは壊れてしまったのです。空気で例えるならリトスは今真空状態に近く、その近くに空気(魔素)が豊富な地球という世界があった』

「なるほど! リトスの方へ魔素が流れ込むってことか!」

『そうです。地球にあった魔素は世界の壁を破り、リトスへと流れ込んだ。その際に空いた穴が、お二人を巻き込んだゲートです』


 そう言うと1度、ユウェル様は目を閉じた。


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