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百七日目 山賊狩り

 結局、晩に山賊が攻めてくることは無かった。深夜から神殿の屋根に登って警戒していたが、特にやって来る者はいなかった。


 平和と言えば平和だが、村が随分と荒れているので、心は荒涼としてしまう。大体、労役で村人を連れていくのならば、山賊が出た時点で速やかに成敗されてなければおかしいだろう。おまけに村が荒れるほど放置しているのは無いだろう。ここの貴族はどれだけサボっているのか……。


 好き勝手に生きている俺だが、どうもこの村を見ていると義憤に駆られてしまう。本当ならば、放置して旅に出てもいいのに、去ることが出来ない。何だろう……もしかすると、こういう人を搾取する相手を見るとイライラするからかもしれない。前世で、ブラック企業に搾取された世代だった影響だろうか。


 せっかく外見は穏やかな聖女だというのに、何となくイライラしつつ夜を明かしてしまった。日が昇る前に村人が起き始める気配がするので、見られる前に屋根から下りる。井戸で水を汲んで、雑巾で神殿の掃除をしていると、幼い少女が入って来た。


「おはようございます、リモーネ様」

「おはようございます」


 ちょこちょことやって来た少女だが見覚えがある。たしか足をケガしているのを、治した子だ。


「メガン様へのお祈り? それとも私にご用かしら?」

「リモーネ様のお手伝いをするよう、村長さんに言われました」

「私の手伝い?」

「はい。少しでもお世話するようにって」

「そうですか」


 村長は見習い神官にお礼として、身の回りの世話を少しでもするよう、あまり労働力としては役に立たない少女を寄越したのだろう。しかし、身の回りの世話と言っても、俺はあまり面倒を見て貰うようなことはないからな……。エネルギーは十分なので人間の食事は取らなくてもいいし、食べないので排泄もしない。身体や服の汚れも変化で落とすことができる。


「お名前は何と仰るのですか?」

「フィフィと言います」

「フィフィ、それでは村人を呼んで下さい。オークを出しますので、朝食の準備をしましょう」

「まだオークがあるのですか!?」

「ええ、女神のご厚意に感謝しましょう」


 俺は女神像にしゃがみ込み、祈りを捧げる。フィフィもそれを真似て熱心に祈る。でも祈るったって、作法を知らないから、俺は頭の中で南無南無言ってるだけなんだが……。


 幸いにもメガン様は祈りの作法に厳しいわけではなく、天罰とかは無かった。フィフィに頼んで村人を集めると、またオークを二体ほど取り出して捌いて貰った。オークばっかりで悪いが、この肉ならば在庫が結構ある。


「すみません、頂いてばかりで」

「我が女神に感謝を。これは女神からの贈り物ですから」


 うーむ、結構適当な割に、神官らしく振舞えているかもしれない。感謝されるのを神様のおかげとしておけば、メガン様も敬われる。こういう風に信者を獲得していくんだろうな。


 骨と皮みたいな村人達も昨晩の夕食と今朝の朝食を腹いっぱい食べられたことで、随分と回復したようだ。食事を終えると、農作業へと出ていく。老人も多いが、食べることさえ出来れば元気に働けるようだ。村人達はあちこちに散って、農作業などを行っている。

 

 俺もぼーっとせずに村をぐるりと回ってみることにした。フィフィに案内して貰う。村人と挨拶しながら、村の隅々まで観察する。何か俺でも手伝えることはないか、確認するためだ。


 途中で俺が捕まえた山賊五人を閉じ込めた納屋にも入った。村人に苛められていることはなかったが、飲み食いしていないので憔悴しているようだ。まあ村人は自分達も食えてないのに、山賊に分ける物は無いだろう。仕方ないので水だけ飲ませてやる。


「おい、俺たちを解放しろ」

「そうしたら、命だけは許してや……ごほっ」


 山賊達が大声でわめき始めたので、猿轡をつけ直して納屋を出る。ふと気づくとフィフィが真っ青だ。


「リモーネ様はあの山賊が怖くないのですか?」

「えっと……」


 むう、まあ普通の村人からしたら、あんな無法者は怖いだろうな。しかし俺から見たらオークより更に弱いという感想だからな。


「神のご加護がある限り、先程のような者達は私には恐るるに足りません」

「山賊を本当に倒せるのですか?」

「数は問題ではありません。問題になるとしたら、質の良い山賊が現れたときでしょうか」

「質のいい山賊?」

「強い山賊ですね。剣の達人、強力な魔法使いなどが居たら、私でも敵うかわかりません。それさえいなければ、有象無象が幾ら集まっても敵ではありません」


 まあ、そうはいっても達人の山賊なんてのは、滅多に居ないだろう。達人なんかは山賊なんてやらず、もっと割りのいい仕事につく。天下太平だった江戸時代の日本なんかと違い、この世界はひっきりなしのモンスターに襲撃される世界だ。武力なんかは引く手数多だ。貧乏農村なんか襲うより、いい腕なら幾らでも稼ぎがいい仕事がある。


「……リモーネ様は強いんですね。とってもお優しくて、癒しの術に長けているのに」

「その指摘は若干違いますね。神のご加護で非常に強くなってますが、癒しの術はまだまだ駆け出しですわ」


 昨日、神様と線が繋がってからひっきりなしにエネルギーを神に捧げてる甲斐があって、線は大分太くなっているが、正直に言えば俺の力はまだまだだ。今朝は、より強い神聖魔法が使えるようになっているが、十階位ある神聖魔法の三位を使えるようになっただけだ。


 ただ神聖魔法のいいところは、使える魔法が増えた時点で、全ての魔法が頭に入ってくることだ。以前聞いた話では、秘術魔法はスクロールを読むなどの方法で魔法を覚えないと、魔術師は魔力が幾らあっても魔法は使えないらしい。感覚で魔法を使う妖術師、ジ・ロース先輩みたいな魔神、または竜なんかは勝手に覚えるらしいが……。


「リモーネ様が山賊を倒す様子なんて、想像つかないです」

「そうでしょうね。私もご加護がなければ、フィフィさんにも負けてしまいますわ」


 俺の冗談に、フィフィはクスクス笑う。まあリモーネは虫も殺さないような外見を設定して、変化しているからな。暴力は似合わないのは確かだ。


 フィフィとのんびりと話しながら村を回っていると、俺の視線が村の方角へとやって来る集団をとらえた。一晩経ってから、ようやく山賊のお出ましらしい。俺は山賊が来ている街道の方角へと向きを変え、早足で歩き始める。


「リモーネ様、どうされました?」

「山賊のようです」

「えっ、山賊!? ど、どうしましょう……」

「村人に武器を持って、村の中央に来るよう言って下さい。まあ、村には入れないようにしますので、戦うことはないかと思いますが」


 怯えるフィフィの背中を叩いて押してやると、慌てて駆け去って行った。さてと、お仕事しないとな。


 二十人近くの集団が近づいて来る。鎧などを着て武装していて、非常に薄汚い……ああ、間違い無く山賊だな、こりゃ。冒険者や傭兵であれば、もう少しマシな格好をしている。幾ら金を稼いでも、街に近寄れないんで山賊の格好はどうしても不衛生になる。


「おい、そこのお前!」


 街道へと向かうと、山賊達の方から声をかけてきた。部隊を分けずに、ひとかたまりで来ている……好都合だ。


「お前、神官か……何者だ?」

「メガン信徒のリモーネと申します」

「メガンの神官か……」


 馬に乗っている山賊が三人、残りは徒歩か……山賊達は俺を見ながらニヤニヤしている。


「頭、こいつよく見たらいい女ですぜ」

「是非とも味わいたいもんだ」

「待て! 確認したいことがある、女」

「何でしょう?」


 手下を押さえて、馬上にいる山賊の一人が声をかけてくる。リーダーだろうか。


「お前、この村で何をしてた?」

「我が神は慈悲の神……困っていた人々を助けるのは私の助け」

「昨日、俺の部下がここに来たはずだが……どうなったか、知ってるか?」


 やはり戻らなかった手下が気になって来たか。俺は返答を少し遅らせて、少しでも近くに引きつける。


「知っております」

「どうなった?」

「神の御業を受けたのです」

「どういう意味だ? 言っている意味がわからん」

「捕まえて閉じ込めてます」

「なにっ!?」


 山賊が俺の台詞に驚いた瞬間に、ノーモーションで足首の力だけで跳躍する。サキュバスの驚異的な筋力だからこそ出来る芸当だ。宙で一転して、馬上で固まっている山賊のリーダーに蹴りを叩き込む。


「なっ……ぐは」


 剣を抜く間も与えず、山賊の頭領を蹴って、その反動で別の馬上に居る相手へと向かう。


「げはっ」

「ぎゃっ!」


 三段反動蹴りで、馬上に居た山賊三人を落馬させる。蹴りの反動で飛ぶので、三人目になった時点で飛び蹴りの威力は激減している。だが足の脚力だけでアバラの骨を折るぐらいのダメージは与えることが出来た。これで少なくとも馬での逃亡は防げたはずだ。


「村人を苦しめる貴方達を、悪いですが捕獲させて頂きます」


 地上に飛び降りた俺の宣告に、山賊達は唖然とする。剣も抜かずに信じられないものを見たような顔をしている。呆けているのならば、絶好のチャンスだ。


「ほあたー!」


 適当な掛け声と共に、俺の飛びまわし蹴りが山賊三人を吹っ飛ばす。通常、旋風脚なんてものは一人に当たった時点で威力の減退が起こるが、俺の筋力にかかれば問題無い。吹っ飛ばされた山賊は高速でスピンしながら、数メートル吹っ飛んだ。


「こ、こいつ……ぐはっ」


 抜剣しようとした山賊の一人に間合いを詰め、裏拳を顔面に叩き込む。そして剣を抜くのにモタモタしていた山賊を更に二人、飛び蹴りでぶっ飛ばした。


 さて剣を構える前に九人、ほぼ半数の山賊をぶちのめすことが出来た。だが剣を抜かれて構えられると、慎重にならざるを得ない。うっかり切られたりすれば、貯めてあるエネルギーを修復にごっそり奪われてしまうだろう。


「な、何なんだおめえは!」

「ただのメガン教徒ですわ」


 一先ず逃げ腰になっている山賊からかたをつけることにした。無造作に近づくと剣や槍を振るってくるのを避けて、正拳突きを顔面に叩き込む。腰が入ってない攻撃など、全くもって問題ではない。俺程度でも簡単に躱せる。


「うわあぁ!」


 雑魚から順番に倒していると、残った山賊達が背を向けて逃げ出す。なんてこった、士気が崩壊するのが早すぎる。だがまあ、これで苦労する手間が省けた。背を向けて逃げようとしている山賊の延髄に、片っ端から飛び膝蹴りを食らわす。逃げようとしている相手にはこれが一番で、背後からの一撃に倒れなかった相手は今まで居ない。


「おめえなんなんだよ、なんなんだよ」


 逃げるのが敵わないと悟った最後の一人が、逃走を諦めてこちらに剣を向ける。その剣を手元で作り出した鞭で絡めとり、引っ張って無理やり武装解除した。



「ですから、ただのメガン教徒ですわ」


 脳天にチョップを叩き込むと、山賊は頭を抱えて転げ回る。よし山賊討伐完了。しかし怪我をしているとはいえ、意識が残っている者達も多い。うーん、縄ぐらい普段から持っておけば良かったな。これだと、山賊に逃げられる危険性がある。


「……当身」

「ぐあああああ!」


 後頭部にチョップを当てるが、山賊は頭を抱えて七転八倒するだけだ。何でも相手を気絶させる当身なんていうのは、相手に後遺症が残るくらい殴らないと、意識を刈り取れないらしい。山賊に実践して、初めてそれを学習できた。


「仕方ない……裸絞はだかじめ

「ぐええ……」


 気管を圧迫させないよう、頸動脈を締める。俗に言うチョークスリーパーというやつだ。気管を絞めるチョークが名前に入っているのはおかしいらしいが、要は背後から絞め落とすという技だ。意識の残っている山賊をこれで片っ端から落とす。最後の方は俺が仲間を絞め殺したと勘違いしたのか、勝手に気絶した山賊までいた。


 十数人の山賊が転がっているが、俺は数人を馬に載せると、村へと運ぶことにした。


「リモーネ様、これは……」

「山賊が来たので、神に祈って倒して頂きました」


 手に手に武器を持っている村人達が驚きながらも、俺を迎えてくれる。続けて比較的元気な村人を連れて、残りの山賊も運ぶために更に二往復を要した。馬に山賊を軽々と乗せる俺を見て、かなり驚いたようだが……まあ力持ちの見習い神官も居るだろうから、気にしないことにした。


 村の中央に集めた山賊達は縄で縛られることとなった。


「リモーネ様、こいつらですが、どうしましょうか」


 村の村長に、俺の意見を求められた。納屋に転がった山賊も、今は村の中央へと引き出されている。


「出来ればアジトの場所を聞いて頂きたいのですが」

「わかりました。おい、お前ら起きろ」


 今まで搾取されていた人間が、立場が反転したら恐ろしい。餓死に近づいていた村人は、自分達から食料などを奪っていた山賊に、老若男女問わず袋叩きにされた。恨みがこもっているので容赦が無い。山賊のアジトは聞いたようだが、すぐに止める様子は無い。


「リモーネ様」

「はい、何でしょうか」


 そんな中、フィフィが俺の服を引っ張った。


「リモーネ様はメガン様の神官なんですよね」

「ええ、そうです」

「その……メガン様は優しい神様だと聞いています。止めないのですか?」


 確かに俺の女神様は慈悲の神様だ。こういうリンチは好かないだろう。フィフィの言うことは尤もだ。


「本来ならば止めるべきでしょう。ですがそれでは村の方の怒りは収まらないでしょう」

「そうですよね……」

「ですので、こうします」


 俺は村人に頼んで、山賊へのリンチを一旦止めて貰う。それで怪我している山賊を片っ端から、神聖魔法で回復してまわった。当然、村人達からは不平が出た。


「リモーネ様、こんな奴らを治してやる必要はないです」

「いいえ、我が神は慈悲の神です。怪我をされている方は放っておけませんわ」

「ですが、こいつらは俺達が飢えるまで食料を奪っていったんです」

「ええ、その怒りはわかります。回復し終わりましたら、また怒りをぶつけるのは仕方ありません。幾らでも治しますので、心ゆくまでどうぞ」


 俺の言葉に村人も山賊も唖然としている。基本的に俺は山賊が村人にボコボコにされるのは仕方ないと思っている。それだけ酷いことをしたのだ。ただそれで命を落としたり、後遺症が残るのはやりすぎかなと思う。


「私はこの国に来たばかりでこの国の法は知らないのですが、法に委ねるのを勧めたいと思います。ですが村の方のお気持ちを救うのも大事です。罪を犯した報いとして、加害者として被害者から報いを受けて貰いましょう。私が幾らでも治します」


 なんか山賊を庇ったつもりだが、山賊達は逆に震え出した。よく考えれば、幾らでも治されるのだから、延々と殴られる恐怖に怯えているらしい。


 だが俺は怪我人を治すことで魔法の練習が出来る、村人は気が済むまで加害者に報復できる、山賊は私刑で後遺症や命の危険が無いとメリットづくめだ。誰もが得するいい提案に違いない。


「ああ……私達はもういいです」


 無限リンチの恐怖に失禁してしまった山賊達を見て、村人の気が収まったようだ。幾ら自分達を搾取した憎い相手でも、あまりの哀れな姿に復讐心が消えたのかもしれない。


「そうですか。山賊への報復を思いとどめた皆様の心に、我が神も満足されていると思います」

「それで、この後はどうされるんですか?」

「アジトの場所もわかりましたから、残りの仲間も捕まえます。我が神は皆さまの安全の確保を望んでます」


 俺の宣言に村人達がざわめく。やはり半信半疑なのだろう。だが戦う場面は見ていないにしろ、これだけの山賊をとっ捕まえた実績は無視できない。


「お一人でされるのですか?」

「危ないですので、私一人の方がいいかと。神のご加護があるので、ご安心ください」

「……それでしたら、リモーネ様に何もかも押し付けて申し訳ございませんが、よろしくお願いします」


 村人達は一人、また一人と俺に祈るように膝をつく。


「私への感謝は結構です。我が神、メガンに感謝の祈りを存分に捧げて下さい」


 俺の指示で、村人達は神殿に赴き、感謝の祈りを捧げてくれた。その間に俺は山賊に水を与えて、失禁した股間を浄化(ピュリファイ)の魔法で綺麗にしてやる。 


「リモーネ様は本当にお優しいのですね」


 山賊の世話をしている俺の横に、フィフィがやって来る。何だか俺の行動に感銘を受けているような顔をしている。


「私自身はそれほど優しいという自覚は無いのですが……我が神が慈悲深いのです」

「リモーネ様も優しいと思うのですが……」

「真に慈悲深いのであれば、幾ら無法者の山賊とはいえ、殴ることはできませんわ。相手に怪我をさせている時点で、優しいとは言えないでしょう」


 俺の回答にフィフィは腕を組んで「うーん」と考え込んでいる。彼女自身から見て神官の俺は慈悲深く見えているが、俺が正論で否定したことで困っているのだろう。俺の意見は正しく聞こえるが、受け入れると優しい神官から格下げしなくてはいけない。だけど山賊をボコボコにしておいて、優しいっていうのは無いだろう。


「ですが、フィフィが私を優しいと思ってくれているのは嬉しいですわ。私自身も村の方々には何らかの助けになりたいと思っていますから」

「そうですか」


 フィフィの頭を撫でてやると、非常に嬉しそうな笑顔を見せる。うーん、少女に慕われるってのは嬉しいものだ。前世ではそんなことは滅多に無かったから、頬が緩むのを止められない。これだけでもこの村に滞在して良かったと思えた。


 さて、山賊のアジトが分かれば、後は殲滅するだけである。山賊は昔に砦だったという、廃墟に居を構えているとのこと。こういうときにうってつけである化身に変化して、夜半に俺は山賊のアジトへとお邪魔する。


「この界隈を荒らす山賊とはお前たちのことか! 神に代わり、この騎士リガクラウが成敗してくれる」


 女騎士リガクラウの姿でアジトの入り口に現れると、すぐさま山賊がわらわらと集まってくる。山賊は、まだ十数人いた。最初は「何だこのバカは」という目で見られるが、無駄にグラマラスな身体に山賊達の目つきが変わる。適当に暴れてから、俺はすぐさま捕まった。


「くっ、殺せ!」

「ぐへへ、こんな上玉、殺すには勿体ない」

「ちげーね。楽しませて貰うぜ」


 牢屋に放り込まれて、腕を鎖で吊り上げられた俺にすぐさま山賊が群がってきた。


 いや、山賊とはいえ十数人分の精気は美味かった。オークではなく人間なので、質が違う。娼館では精を吸うのをセーブしなくてはいけないのだが、山賊相手ならばさして手加減する必要が無い。八割吸精して、存分に絞らせて頂きました。


 翌朝、ぶっ倒れた山賊を、村から持ってきたロープで数珠繋ぎにする。もちろんリモーネの身体に変化している。


「ど、どうなってやがる!?」

「身体に力が入らねえ」

「外せ、ぶっ殺すぞ」


 山賊にしてみれば、訳が分からないだろう。女騎士の身体を楽しんでから寝たはずが、朝起きたら自分の身体が痩せるくらい衰弱している。おまけにメガンの神官が自分達を縛り上げて、村へと連れて行こうとしているのだ。


「畜生、放しやが……うおおお」


 山賊は数に任せてロープを引いて抵抗しようとするが、全くの無駄になった。俺は座り込んで足を踏ん張ろうとしている山賊を、思いっきり引き摺りながら歩き始める。


「さっ、村に行きますよ。お仲間もお待ちかねです」

「何だと!?」

「どうなってやがるんだ」


 山賊は精気を奪われた身体で、木に掴まったり、岩にしがみついて抵抗しようとするが、完全に無駄だ。数珠繋ぎの山賊を引きずりまわしながら、俺は村へと帰還した。


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