とある冒険者ギルド受付の話
【とある冒険者ギルド受付】
俺の名前はカイトス。冒険者ギルドの受付をしている。
元々は冒険者だったのだが、数年前にスケルトンから受けた傷で膝を悪くしてしまった。何とかごまかしながらやっていたが、あるときもう我慢出来ないという時点まで来てしまった。そういうわけで冒険者を止めて、ギルド長に頼んで冒険者ギルドに就職したってわけだ。
なに、長くはやれない職業だ、いずれは足を洗っていたのだから、早いか遅いかだけだ。
膝が悪いだけで、あまり歩かなければ今でも剣の腕は悪くない。ギルドの受付なんて、そんな難しいものではないし、半分用心棒みたいな形で俺は冒険者ギルドで働いている。毎日のようにやってくる荒くれもののベテランに無理やり危ない仕事をやらせたり、初心者の冒険者にアドバイスなどをやっている。
そんな中、今日も新しい冒険者がやってきたみたいだ。
「すみません、冒険者ギルドに登録したいんですが」
そう言ってやって来たのは、まだ若い少女だった。冒険者ギルドには男女関係無く、食いはぐれた者が冒険者になるためにやってくる。当然新規登録は若いやつが多い。
だが今回の少女は目を見張るような美少女だ。田舎者丸出しという感じだが、滅多に居ない美しい顔立ちをしている。鎧も清潔感があり、三つ編みの金髪も綺麗にしているので、より美しく感じる。
「お嬢ちゃん、冒険者でいいのか? あんたほどの器量なら、別の仕事も見つかると思うが」
「いえ、冒険者がいいんです」
「そうかい。それじゃ名前をそこに書いてくれ。登録してやるからよ」
冒険者なんてやりたがる奴は少ない。特にこれといった目玉の素材を落とすモンスターが居ない、このフラオスの街では冒険者は大した金にならないモンスターと戦わなくてはいけない。普通ならばもっと安全な職につきたがる。だがここで冒険者の経験を積んでから他の街へと旅立つ者もいる。たぶん予想だが、この嬢ちゃんもそれを狙っているのだろう。
「よし、書き終わったか。名前はリンって言うのか……嬢ちゃんは読み書きが大丈夫だから、冒険者の心得みたいなものを渡すから読んでくれ。読み終わったら戻してくれ」
「はい、わかりました」
嬢ちゃんは素直に俺の言葉に従って、冊子を手に取ってテーブル席へと向かう。将来はびっくりするような美人になるだろうから、彼女には立派な冒険者になって、生き延びて欲しいところだ。
挿絵は絵師のタロヲ様に頂きました。
ありがとうございます。