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六十六日目 魔神ジ・ロース(後編)

本日二回目の更新

 俺はそれからジ・ロースに娘が最近喋るようになったとか単語など、育児の話題を延々と聞かされることになった。一時間ぐらいたっぷりと経った頃に、


「それで、護衛かメイドになるために来たのか、リョウは」

「建前はそうですね。本当は魔神の顔を見に来ただけです」

「ふむ、そうなのか……他に目的は無いと」

「隙あらば、倒そうと思ってました」

「ほう……この我を倒すと」


 アメジストのようなジ・ロースの目が剣呑な光を帯びる。途端に周囲のメイド達が、そそくさと退室する。


「大した自信だ……どうやって倒す気だ?」

「んー……こうかしら」


 俺は自分の口調を変え、両腕で自分の胸を圧迫する。俺の柔らかいのに全然垂れないという謎おっぱいが、ぐっと深い谷間を作る。ジ・ロースの目がぐっと谷間に寄せられる。


「ふふっ、先輩……視線がいけない場所に集中してるのだけど、どうしたかしら? そんなに胸を見るなんて、マナー違反じゃないかしら?」

「お、お主、ひ、卑怯だぞ」

「別に自重してもいいですけど……先輩はそれでいいんですか?」


 ずっしりとした片胸を片手で持ち上げながら、反対側の手で髪をかきあげる悩殺ポーズをきめる。エルフや人間のメイドを見て気付いたが、この魔神は俺と同じでおっぱい星人だ。このでかいスイカのような爆乳には弱いに違いない。


「ううう、何が望みだ」

「ベッドで先輩を倒せるか、決着をつけませんか?」

「し、しかし……お前はサキュバスなんだろう?」


 ジ・ロースは視線を彷徨わせて、大いに悩む。そんな相手に向かって、揉んでも楽しくない自分の胸をぐにぐにと揉んで変形させて、煽ってやる。


「二階に寝室がある」

「あら嬉しい。ありがとうございます」


 すっかり顔を赤くしたジ・ロースに、俺はにっこりと出来るだけの笑顔をサービスしてやった。




『くそがああああ! お主、好き放題吸いおって』

「いや、凄いエネルギーでした。オーク70体分はありますかね……先輩、ごちになりました」


 俺は十人は寝られるようなベッドで満足そうに寝ている。隣には不敵な魔神の少女ではなく、金髪の美少女が困惑したようにシーツを身体にまきつけてる。ジ・ロースとは違い、胸もあるし、身長も高い。


 魔神先輩は少女の姿はしていたが、オーガ並のモノを作り出すことが出来ていた。なので、俺は思いっきり精気を吸うことが出来たのだが……何とも羨ましい。俺なんか、幾ら変化を使っても、股間の暴れん坊将軍は復活しないというのに。


『完全憑依が解けてしまったではないか!』

「まさか、こういう形で解放されるとは思っていませんでした」


 エネルギーが減ってジ・ロースは憑依が部分的に解けてしまい、肉体は第三王女であるマトーシュへと戻ってしまったのだ。ジ・ロース先輩は仕方ないので、思念を直接俺の脳に飛ばして抗議している。


『これでは女が好きに抱けないではないか!』

「そう言われても、サキュバスを抱いた先輩が悪いかと」

『ぬうううう、ちっとも悪いと思ってないな、お主!』


 魔神を怒らせているが、思念だけなのでちっとも怖くない。


 しかし美少女の姿なのに、男のモノがついている相手と性交するというのは、貴重な体験だった。凄まじい精気も吸い取れたし、何もかもが新しい体験だった。


「あの……どうもありがとうございました」


 裸の俺を見ないように、マトーシュ王女が俺に礼を言う。


「いえいえ、とんでもございません。王女には大変失礼いたしました。どうぞお許し下さい」

「いえ……ですが、ジ・ロースが居ないと困るのですが……いま、この国をオーク禍から救っているのは、彼なので」


 身体を取り戻したはいいが、王国に危機を招き入れたのではないかと、マトーシュ王女は気が気ではないようだ。この人、本当に立派だな。自分の身体より王国の方が大事とか。


『ふははは、精気を全部吸わなかったのは過ちだな、リョウよ。数日後には我は再び王女の身体を使って、復活してくれるぞ』

「だそうです。安心してよろしいかと」

「なるほど」


 三下の魔王みたいなことを言っているジ・ロースの台詞に、マトーシュ王女はほっとしたようだ。


「じゃあ復活したら、また吸わせて下さい、先輩」

『紅茶のお替りを頼むように、気軽に頼むんじゃない! 精気を吸われ過ぎると、奈落に送還されてしまうんだぞ』

「じゃあ、エッチなことは我慢できるんですね」

『うぎぎぎぎ……』


 河豚は食いたいが、毒は怖いというような葛藤でジ・ロースが思念を送ってくる。自慢じゃないが俺の身体はめっちゃ美人な上にグラマラスだ。悩むのも仕方ないだろう。


「お嬢様! 元の姿にお戻りになられたのですね!」


 いつまでも王女を素っ裸にしておくのはマズイということで、マトーシュ王女と面識のあるメイドであるロザリアさんを呼んだ。何でも彼女はマトーシュ王女が物心ついたころからのお付きだったそうだ。


「先輩、王女のお付きに真っ先に手を出して、二人も子供作るなんて、最低ですね」

『ふふふ、ああ見えてベッドでは情熱的なんだぞ』


 ジ・ロース先輩の顔は見えないが、めっちゃドヤ顔してるのがわかる。王女を人質にしてエッチしたけど、二人ともお互いに情が通じたのかもしれない。


 まあ、何にせよ、俺は精気が吸えて万歳だし、王女は一時的にだが元に戻って万歳ということだ。何と言うかファンタジーらしいめでたい結末だったな。


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