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二十二日目 王都ザクセン

 王都に向かう道には村や宿場町などがあったが、俺は無視して走り続けた。俺は睡眠不要なので休む必要は無い。更に夜目も利くので、夜旅も全く問題無い。


 勿論街道なので途中で馬車や旅人と何度もすれ違った。一応すれ違う際には挨拶をしたが、何故かぽかんと口を開けて返事を貰えなかった。もしかして、きちんと立ち止まって挨拶しなくてはいけなかったのだろうか。


 しかしそれにしてもこの辺りは森林が多い。時たま少しの平原と農地があるだけで、ひたすら木々があるだけだ。まるで森林の大海原に街道や村が浮かんでいるようだ。


 やがて街道沿いに走りに走った先で、俺は王都へと遂に辿り着いた。


「おお、すげー!」


 王都ザクセンは俺が想像していた以上の街だった。城壁は十数メートルの高さで、美しい白亜の色をしている。それが街を延々と延びて、ぐるりと街を覆っていた。俺は走るのを止めてスピードを落とし、城壁に感動しながら街へと歩いて行った。


 延々と続く入場の列に並び、散々待たされたが1時間ほどで入り口へと辿り着く。


「入場は銀貨1枚となる」

「はい」


 俺は入場料を払うと、王都へと足を踏み入れた。残念ながら中は城壁ほど綺麗ではなく、延々と雑多な街並みが続いている。それにしても広い。とても中世とは思えないメガシティだな、ここは。


「すみません、冒険者ギルドは何処でしょうか?」

「あんた、ここは初めてかい?」


 俺は道行く中年のおっさんを捕まえて、道を聞こうとする。


「ここは広いからさ、冒険者ギルドの建物は三つある。東西の門の近くにそれぞれ一つ、中央にこの国の本部の建物がある。一般の冒険者なら、東西にある支部に行くといいよ。一番近いのは、あそこのでかい建物だ」

「ありがとうございます」


 俺は捕まえた第一市民の案内でギルドと言われた建物へと向かう。石造りの3階建てという、なかなか立派な建物だ。早速開放してある建物中へと入ってみる。


 冒険者ギルド内はカウンターと冒険者達が休めるテーブルと椅子が幾つも置いてあるという作りだ。かなり広いようであったが、サイズ以外はフラオスの街と同様の造りだ。


 更にサイズに比例して、人もかなり多いようであった。俺はここでは新人だが、俺に絡んでくるような冒険者の先輩は見られなかった。まあ、単に人が多すぎるから、いちいち構ってられないのだろう。


「すみません、冒険者に剣を教えてくれる道場みたいな場所はありますか?」

「ありますよ」


 空いているカウンターで聞くと、若い受付嬢が答えてくれる。


「王都には有名な訓練所が幾つもありますが、まずはギルドでもある程度は教えています」

「ギルドもですか?」

「ええ。やはり冒険者は我流が多いので、きちんと矯正しないと、ちゃんと伸びないんですね」

「なるほど」

「それ以外ですと元傭兵や引退した騎士などが教えている道場が幾つもあります」

「おお! お勧めはありますか?」

「どのような傾向の道場がよろしいでしょうか? 修行がきつい、実践的、月謝が安い、即席コースがあるなど、様々な条件がありますが」


 うーん、どんな道場がいいかってことか。色々なニーズに応えられるほど多種多様ってことか。これはちょっと予想外だな……うーん、考えていなかった。


「修行がきつくて構いませんので、尊敬できそうな先生の元で学びたいですね」

「でしたら、ヤリック様の道場でしょうか。剣聖とまで言われた元騎士で、随分とお年を召してますが、未だに強いと評判です」

「へえ、それは凄そうですね」

「道順を書きますので、参考にして下さい」


 剣聖なんて凄い人が居るのか。そんな凄い人に師事できるかわからないけど、是非とも道場は見てみたいものだ。俺は受付嬢から道順が書かれた紙を貰い、冒険者ギルドを後にした。


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