ヘイトスピーチはそう単純な話ではないと思う
ヘイトスピーチの認定には中々に厄介な問題があり、単純に判断出来るモノではないと思います。
人種差別を例に挙げると、黒人への蔑称として使われてきた「ニガー」(英語の綴りにはしません)です。
確かジャッキー・チェン氏が主演を務めていた『ラッシュアワー』だったと思いますが、クリス・タッカー氏演じる刑事が、情報提供者だったか協力者だったかの黒人に、親しみを込めて「ニガー」と言います。
それを隣で聞いていたジャッキー・チェン氏が、真似して「ニガー」と言ったので相手が激怒する、というシーンです。
これって、「ニガー」という言葉が二面性を持っている証拠ではありますよね?
「ニガー」という単語自体に来歴があっても、寧ろその来歴故に使う相手によっては親愛の情を表す意味にもなり得ます。
まあ、映画ですけども。
これは所謂オタクの間でも概ね了承出来る感覚ではないでしょうか。
似た様な趣味を持った仲間同士で、自らの趣味を卑下して使う場合です。
世間的には侮蔑の眼差しを向けられている趣味だけれども、寧ろそれ故に、同じ境遇の者同士で互いをこき下ろす、みたいな。
それは侮蔑では無くて、親愛の情でしょう。
互いに肩身が狭いけれども、俺はお前を認めるぜ、的な。
ヘイトスピーチは人権侵害で許されないと主張される方々は、では一切の表現を規制しようとでも言うのでしょうか。
先に見た様に、どんな侮蔑的な表現であれ、多義性を持ち得ます。
人種差別に当たる表現であれ、使う間柄によっては人種差別でなくなります。
問題になるのはえてして関係性から生じるのであって、その言葉自体では無い場合もあります。
逆に言えば、どんな表現であっても、ヘイトだと感じる人は存在しうるという事です。
徒に表現を規制する方向には向かわない方が良いと考えます。
勿論、公共の場等で使うべきでない表現というのはあると思いますが。
何と言うか、ヘイトスピーチに断固反対されている方々には公平性を感じないのです。
例を挙げると在日米軍への抗議です。
「在日朝鮮人は日本から出ていけ」がヘイトスピーチであれば、「在日米軍は日本から出ていけ」も同じヘイトスピーチの筈です。
片方には断固反対し、片方には見向きもしない様に感じられます。
在日米軍は権力側だから、とか詭弁でしょう。
弱者が容易に特権階級となりうるのは歴史の常です。
強者だからといって、不当な貶めは許されません。
そんなダブルスタンダードに見える姿勢が、私には受け入れられないのです。
特定の民族に対するヘイトスピーチに反対するなら、この世のあらゆる集団に対するヘイトスピーチにも反対して貰わないと不公平です。
だから共感出来ないのです。
そんな暇は無いのが実情かもしれませんが、それは言い訳です。
今の便利な社会では、SNSというツールがあるからです。
また、ヘイトスピーチが人種や国籍等、個人の努力では如何ともしがたい事への憎悪表現であるのなら、日本国内での外国人による日本人への憎悪表現もヘイトスピーチの筈です。
また、同じ日本人同士であっても、安倍首相の人形を踏みつぶしたりする行為には、断固として抗議の声を上げて貰わねばならないと思います。
ヘイトスピーチには職業へのヘイトも含まれるみたいですから、総理大臣であるからといって、人形を踏みつぶす行為もヘイトでしょう。
公人だからヘイトには当たらない、でしょうか?
そんな所が私には受け入れられません。
たとえ同じ日本人同士であっても、された方がヘイトだと感じたら、それはヘイトになるのではないでしょうか。
セクハラと同じですね。
関係性によってはあらゆる表現が差別になり、ヘイトスピーチになりうるのですから、徒にヘイトスピーチを規制するのは危険なのではないでしょうか。
そして、ヘイトスピーチだと誰がどうやって判断するのかも問題となります。
まさか事実の列挙がヘイトスピーチに当たると言う方はおられませんよね?
例えば、「在日○○人は生活保護受給率が高い」とか、「在日○○人の犯罪率は日本人の何倍だ」とか。
統計上の数値の列挙を以てヘイトスピーチだと仰る方はおられないと思いますが、では「日本で犯罪を犯す率の高い○○人へのビザの復活、入国基準を厳しくしろ」はどうでしょう?
これってヘイトスピーチでしょうか?
ヘイトスピーチをされたとされた方が感じたら、問答無用でヘイトスピーチを行ったとして処罰されるのでしたら、最早表現の自由以前の、とんでもない言論統制社会ですね。
では、「訪日外国人への入国審査を厳格にしろ。指紋と顔写真を撮れ」では如何でしょう?
これってただの法整備への提言ですよね?
普通の政治運動です。
現にアメリカでは、外国人のアメリカ入国時には指紋と顔写真を撮っています。
国際テロ組織への対策もあり、日本でも是非とも実施してもらいたい制度です。
この訴えはヘイトスピーチですか?
そもそも誰がそれを判断するのですか?
何を基準に判断するのですか?
その基準はどうやって決まったのですか?
また、判断する者をどういう基準で選ぶのですか?
国民の側で、審査の過程を調査出来るのですか?
ヘイトスピーチの規制は、恣意的に運用されかねない、厄介な問題だと思います。
因みに、所謂在特会の主張していたモノは認めがたいです。
事実の列挙に留め、外国人への生活保護受給は止めろ、特別在留許可は他の外国人への差別だから停止しろ、くらいにしていれば良かったと思っております。
それに関連し、とある作品がアニメ化中止、出版物の停止がなされましたね。
確かにヘイトスピーチだと、誰が判断してどんな裁定を下したのですか?
その様な訴えが為されたのですか?
誰がどこに?
魔女狩りに似た状況になっていませんか?
ヘイトスピーチが許されないのは了解するとしても、その疑いを持たれた時点でアウトなのでしょうか?
確か、日本におけるヘイトスピーチ規制法は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律の筈ですよね?
これって日本国内に住む外国人へのヘイトスピーチを規制する法律(罰則は無いにしても)の筈で、日本に住んでいない外国人へのヘイトスピーチそのものは問われていないのではないでしょうか。
というか、問えないのでは?
ヘイトスピーチに関する国際的な取り決めとか、まだ出来ていませんよね?
だから出版社や声優に脅迫紛いの声明を送り付けるのかもしれませんが、これは立派な威力業務妨害ですよね?
問題となった作者のツイートを見てみましたが、日本に住む韓国、中国の人には言っていない様に思われますが、何が問題となったのですか?
仮に「韓国は反日政策を止めろ」とか、「中国は著作権を守れ」とか言ったとしても、確か国家への批判もヘイトスピーチには当たらない筈ですよね?
出版停止もアニメ化中止も一民間企業の判断でしょうからそれ以上は言えませんが、随分とおかしな状況になっていると思います。
言うなれば部下にセクハラだと訴えられた上司が、確かにセクハラだと認定された訳でもないのに、会社に解雇されるは奥さんには離婚を迫られるは、仮にセクハラでなかったと認められた所でボロボロな状況に似ている気がします。
誰かがそれはヘイトスピーチだと訴えたら、その時点でその発言はヘイトスピーチなのですか?
違いますよね?
その権威の正当性は置いておくにしろ、しかるべき機関による裁定が下るまで、軽々しく断罪するべきではないのではありませんか?