君の幻
夢で見たんだ。君を。
夢で見ている時は、それは新鮮で、色鮮やかで、これが永遠に続けばって思ってた。
ねえ、君が話していた言葉、笑顔あれって本当にあったことなのかな?
僕には分からないんだ。
あの時が現実だったなんて、今はもう分からない。
今は美しくないから。
あの頃はなんだったのだろう?
今はあの頃よりも、社会的に自立し、何よりも自由なのに。
なぜ毎日がこんなに空しいのだろう。
なぜあの頃の、あの君が思いだすのだろう。
もう長い年月が過ぎた。
今を懸命に生きて、尚後ろを振り返る。
君の幻影を見ている。
光は確かにある。けれども、僕には何故か届かない。
懐かしくて、暖かくて、永続的な。
自分の砂漠のような心を満たすような。
僕は間違ったものを追っているか?
そう思うか?
端からみればそうかもしれない。外側からみれば分かった気になり、物事を、人物を分かったように真実はどうあれ、俯瞰して見ることができるのだから。
光は少しずつ確かに消えていく。
心地よい不思議な懐かしさも。
君の笑顔がもう僕にははっきりと思い出すことができない。
確かな 底の知れない暗闇が 横たわっているだけ。